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冬休みに読んでおきたいビジネス書5選――2018【MBA教員がおすすめ】

投稿日:2018/12/25更新日:2019/04/22

まとまった時間がとれる冬休み。キャリアを深めたり成長するヒントが得られる本を読んでみませんか。グロービス経営大学院の教員がおすすめする、この冬じっくり読んで欲しい本を5冊ご紹介します。 ※2017年版はこちら>>

来年こそは自由に働きたい方へ

組織にいながら、自由に働く
推薦:荒木博行

年末年始に1年を振り返り、これからのキャリアプランに思いを馳せる人もいるのではないでしょうか。そんな人にオススメなのはこの1冊。この本は、キャリアを考える際のヒントとなる「加減乗除」というフレームワークを提供してくれます。詳細は割愛しますが、端的に言えば「キャリアのフェーズによっては好きではないことを減らしていく、除いていくことが大事」ということ。特に、「あれもやらなきゃ!これもやらなきゃ!」と仕事が「加算」された1年を過ごした人に読んで欲しいです。働き方が多様化している中、「組織にいれば不自由は致し方なし」という概念は徐々に時代遅れになりつつあります。この年末年始、私たちそれぞれの立場にとって、「自由に働く」ということの最適解を見出したいですね。

人として善く生きるためのファイナンスの知恵とは?

ハーバードのファイナンスの授業
推薦:嶋田毅

本書は、ハーバード・ビスネス・スクールで人気のファイナンスの教授が、「最終講義」のネタとして考えたものをベースにまとめたものです。テーマは「人として善く生きるためにファイナンスの知恵はどのように活用できるのか」。数式は一切使わず、古典や文芸作品、歴史等を題材に、リスクやポートフォリオ、レバレッジ、オプション、プリンシパルーエージェント理論などを援用し、善く生きる上での効用を説いています。執筆の経緯からも想像がつくように、初学者が体系的にファイナンスを学ぶ上では適切とは言えませんが、一通りなぞった人が主要コンセプトの意味を別の角度から捉え、定着させるには格好の書と言えます。不適切な年金保険がフランス革命の遠因になったなどの小ネタも満載で、読んでいて飽きません。「ファイナンスには『飽くなき欲望の物語』と『心の勤勉さの物語がある』」などの指摘は実に味わい深いです。ファイナンスをよりよく理解し、善き人生を歩む上で読んでおきたい1冊。本を書く人間としては、こんな本を書いてみたいと思わせる1冊でもあります。

新規事業を進めたい人の必携書

ジョブ理論
推薦:西恵一郎

イノベーション研究の第一人者・クリステンセンが、安定的にイノベーションを生み出し持続させるために生み出した方法論が「ジョブ理論」です。本書は消費メカニズムを、「顧客はどんなジョブ(用事・仕事)を片づけたくて、どんなプロダクトを雇用するのか?」という点から解き明かしていきます。最近、ペルソナ、カスタマージャーニー、インサイト、顧客体験マーケティング等のキーワードを多く目にしますが、ジョブ理論はこれらの概念を包括し、よりシンプルでフォーカスしやすい考え方になっています。実際、組織開発コンサルとして新規事業の現場に立ち会うなかで、片づけるジョブが明確になって上手く進展していった事例を多く見ています。新規事業を推進したい、イノベーションを興したい方にぜひ手に取っていただきたい1冊です。

日本になぜアマゾンが生まれないのか?

ファイナンス思考
推薦:星野優

目先の利益に囚われた短絡的な思考態度(=PL脳)からいち早く脱却し、答えのない時代を生き抜く武器(=ファイナンス思考)を身に付けよう――こうした意図を持ってGAFAの成功に共通する項目を紐解き、同様の経営を志向する国内外の企業を分析する内容は、低成長時代にビジネスの活路を見出したい我々にヒントを与えてくれます。最大の特徴は、企業分析の帰着としてありがちな「事例研究」で終わらず、ビジネスパーソンとして持つべきマインド・姿勢を訴えている点。つまり、読者は今日からでもその意識を実践できる訳であり、自身に引き寄せやすいストーリー展開です。また、タテ書きの本文の巻末に、財務会計やファイナンスのイロハをヨコ書きでコンパクトに纏めてあるため、本文で登場する概念を手軽に確認できる「憎い」レイアウトになっています。ユニークなキャリアを歩んできた著者と共に、少し高い目線からビジネス社会を俯瞰してみませんか。

クルーズトレイン「ななつ星」誕生の背景にあったドラマとは?

新鉄客商売 本気になって何が悪い
推薦:池田新 

国鉄解体後のJR九州は、優良鉄道資産に恵まれた本州3社と違い、赤字解消のため非鉄事業への多角化に邁進するしかありませんでした。その最前線を渡り歩いたのが、著者の唐池恒二氏です。ビジネススクールでは業種横断的に様々なケースを読み経営のシミュレーショントレーニングをしますが、唐池氏はそれを地で行きました。経営センスを磨いた唐池氏は、やがて本業の鉄道事業においても、一世を風靡したクルーズトレイン「ななつ星」を運行させました。前職でJR九州の方々と仕事する機会があったのですが、ネアカで前向きな唐池イズムが浸透しているせいでしょうか、当初思っていたお堅いイメージとは真反対。開放的かつ創造的な雰囲気で楽しく仕事させていただいたことを思い出します。新しい年を前に、ポジティブな気持ちをチャージしたい方に、おすすめです。

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