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はなまる 髙口裕之氏「MBAは“欠けたピース”のある人に大きな意味がある」

投稿日:2024/02/21

MBAの真価は取得した学位ではなく、「社会の創造と変革」を目指した現場での活躍にある――。グロービス経営大学院では、年に1回、卒業生の努力・功績を顕彰するために「グロービス アルムナイ・アワード」を授与している(受賞者の一覧はこちら)。

今回は2023年「変革部門」の受賞者、髙口 裕之氏にインタビュー。マーケターとしてキャリアを築いてきた髙口氏がMBAを志向したきっかけ、そしてその学びの中で感じた、全てを引っ張る「パッション」を持つことの意味とは。(インタビュアー:清水 香奈慧)(前後編、後編)(前編はこちら

強い思いがグロービスの学びと重なり、殻から飛び出す結果に

清水:ここまで髙口さんのキャリアを伺ってきましたが、マーケターとして成果をあげていた中で、なぜMBAで学ぼうと思うようになられたのでしょうか。

髙口:先ほどお話しした、ミツカン時代にマーケティングと経営が結びつく感覚を得て、「ひょっとすると自分の価値は、頑張り次第で思った以上に広げられるのでは?」と、ぼんやり思うようになったのです。
また、携わった商品が「当たった」ことで、新しいキャリアの連絡を頂くようになったこともあったと思います。でも、当時の私はアカウンティングやファイナンスが分からなかったし、マーケのチームを動かしたことはあっても、「会社全体を動かすというのはこんなレベルじゃないよな」と。

ですから、経営全般を知ることでより選択肢が広がるのではないかと考えたのです。グロービスを知ったのはその頃で、40歳のとき単科を受講し始めました。

清水:激務をこなしながら学ぶことは、大変ではありませんでしたか。

髙口:大変ではありましたが苦ではありませんでした。中学生の頃、「数学が嫌い」と言っていた私は先生に理由を尋ねられ、「正解が1つしかないから」と答えたことがあります。数学は正解が2.5なら2.4でもバツ。それが窮屈で面白くなかった。
でも、MBAのカリキュラムやセオリーは過去に使われ、統計的に整理された1つの武器でありながら、活かすも殺すもそれは自分の気持ちや熱意次第です。客観的に説明できるロジックは必要ですが、マーケティングもアカウンティングも「こうしたい」と思うかによって解釈の余地があって、100人が100人同じ答えでなくても市場が受け止めてくれればいい。その面は楽しかったです。

また、私はもともと「1回きりの人生、負けるかもしれないけれど外に飛び出して他流試合をしたい」といった思いがありました。その熱意がグロービスの学びとオーバーラップしたのだと思います。アルムナイ・アワードには「創造部門」と「変革部門」がありますよね。創造も変革も新しい領域に踏み込むこと。私にとってグロービスで学ぶことは「殻から飛び出そう」という営みでした。

新しい領域でも、自分のポータブルスキルを意識する

清水:修了後は実際に、ミツカンを出て新たなキャリアに踏み出されました。

髙口:自分に意思があって動いていたからこそ、自分がどんな人間で何ができるのかが理解され、踏み出す機会をもらえたのだと感じます。その意味では、誰かがどこかで見ている中で、目の前の試合で一生懸命小さくとも結果を出し続けていくことも大事なのだと思います。出せる能力は全て出して取り組むことだと思いますね。

清水:直近ではおやつカンパニーからはなまるに移られると同時に、複数の企業で引き続きマーケティングに携わっておられます。新しい環境に移られて、どのようにお感じでしょうか。

髙口:新鮮に思う一方で、「何年か前もこうだったな」という感覚もあります。「この時期までに課題をキャッチアップして、この頃までにフレームをつくって」と、自分のなかに黄金律のようなものがあるというか。自分のポータブルスキルとして、数年のスパンで、最もリーズナブルで、かつ最大のパフォーマンスにつながるプロセスを1つのパッケージにして動くということを意識しているのです。

そのうえで、「今は“フェーズ1”だから、ここまでやらなきゃ」と、時間軸が今までの経験と比較して遅れていないか見ながら、たとえば「想定外に時間がかかっているから、並行してこちらにも手を回しておこうかな」とか、いろいろと考えていきます。 そんな風にしていると、もう寝ていても、「あ、これいいな。明日やろうかな」といった感じで没入するようになります。「楽しい」とか「大変だ」といったことでもないんですよね。もうモグラのような感じで、「ここを掘ったら見えるかな。いや、こっちかな」と。根底は「好き」なんでしょうね。

MBA生活で大切なことは「使い倒し方を考える」こと

清水:最後にグロービスで学ぶ方や、MBAの道を進む方に何かメッセージをいただけますか。

髙口:MBAを取得したから何かが変わるわけではありません。ですが、やりたいことのなかに「これが欠けているのでは?」と感じるものがあるのであれば、ぜひ学んで欲しい。「このピースを埋めれば、自分はロケットを発射できる」、「これがやりたいんだ」というパッションを持つ人にとって、大きな意味があるものだと思います。

また、グロービスでは多様な業界の人々に出会えます。飛び立てる人ほど人脈をつくり、活用しますよね。そこも仮説を持って人を見ているかどうか。業界や会社に関係なく、「こういう知恵をつけたい」と考えていたり、自分に足りないものが明確に分かっていたりする人は、「この人との繋がりは自分にとって大切だ」と分かります。そうした思いがあればカリキュラムも出会う人も、有効に、有機的に活用できると思います。

グロービスを出たあとも、すべての学びを満遍なく使うというより特定の学びを活用するケースが多いかもしれません。目的や貪欲さに応じて「使い倒し方」が変わるわけで、大切なのは、そのためのパッションや目的や仮説を持つこと。そうして何かで突き抜けた人が自分の強みを伸ばして平均値を超えるのだと思います。

私もそうでした。マーケターとして、お客さんの感情とお金はセットで考えなければいけない。しかし感情は動くけれども予算のほうが動かないケースがありました。だから、MBAでの学びを通じプラクティカルな部分も分かったうえで感情との合理的なセットを考えていこう、と。そうしたファインダーの調整が必要なのだと思います。

清水:「MBAを修得したい」という気持ちの中に、「好き」や「やりたい」、そしてそれに対する課題感を明確に持つことが重要なのかもしれません。本日は貴重なお話をありがとうございました。

(執筆:山本兼司)

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