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若手の営業担当を成長させるために必要な3つのコツ

投稿日:2018/05/19更新日:2019/04/09

ビジネスマン『法人営業 利益の法則』から「若手営業マンの成長を促すコツ」を紹介します。

若手にいち早く戦力になってほしいと考えるのは、どの業界、どの職種であっても変わりないでしょう。営業という職種の場合、若手を育てる上での難しさとして、客先に行ってしまってオフィスにいないことが他の職種に比べると多く、また同行するにも限界がありますから、先輩や上司から実際の活動が見えにくいという点があります。それゆえ、以前ご紹介したようなプロセス管理を適切に行うことに加え、若手が自己流になっていないか、顧客の本当のニーズを聞き出せているのかなどをしっかりチェックする必要があるのです。今回は、書籍で紹介している4つのコツのうち、普遍性の高い「承認・尊厳欲求を刺激する」以外の3つをご紹介します。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

若手営業マンの成長を促すコツ

自分自身はすでにひと通りの営業の手練手管は身につけており、「目下の関心事は部下や後輩の育成」という方も多いことでしょう。筆者が企業研修に出向くと、営業課長くらいのポジションの人からは「最近の若手は何を言っても反応が薄いし、厳しくするとすぐにへこむ。辞められると困るので、叱り飛ばすのも躊躇する」といった悩みをよく聞きます。

以下では、上司あるいは職場の先輩として、若手をくじけさせずに早期に戦力化するためのコツを紹介しましょう。部下育成の汎用テクニックは専門書に譲るとして、ここでは営業スタッフの育成にフォーカスを当てて述べていきます。

図
●「今の○○さんは、A社(顧客企業名)の××さんから、どんなふうに評価されていると思う?」

若手を成長させるための第一歩は、自分自身のありたい姿と、現状の自分とのギャップを気づかせることです。とはいえ上司が「お前は△△がダメだ」と責めても、弱気なタイプは自信を喪失していっそう動きが悪くなるし、逆に自信があるタイプは自己防衛の姿勢に入って指導がやりにくくなるものです。

若手の要改善点は、こちらが指摘するのではなく、本人が何らかの「鏡」に映った自分を振り返って、本人自ら気づくのが望ましいと言えます。そして営業の場合は顧客、特に関係が十分うまくいっていない顧客こそが、一番の鏡になります。

その際、「なぜ関係がうまくいっていないのか?」と問い詰めるよりも、「お客様からどう見られている?」と視点を変えて考えてもらった方が、本人にスムーズに自己の至らなさに気づいてもらえるものです。

なお、それでも自信過剰なタイプの場合、「かなり信頼されていると思います」と平気な顔で答えてくることがあります。そんな時は怒りたくなるのをグッとこらえて、「でも○○さん(部下)が100%の実力を発揮したら、もっとすごい結果を出せるはずだろ。何が障害になっているのかな?」といった具合に、自分自身を見つめ直すよう根気強く導いてあげたいものです。

●ロールプレイを活用する

経験の浅い営業マンに共通するミスは、営業のシナリオが曖昧なままで客先に出かけているということです。何をどんな順序で話すか、想定される質問にどう答えるか、商談が終わったときにどんな状態になっているべきか、最低でもどんな情報だけは聞き出しておくべきか等々。本人なりに考えたつもりでも、経験者から見るとまったくイメージが具体化できていないことが多いものです。

したがって、部下に「しっかり準備して行けよ」と励ますだけではダメです。営業のシナリオをいい加減にしたまま営業現場に行かせてしまっては、なかなか結果は出せず、せっかく高まった本人の意欲も、あっという間に萎んでしまうでしょう。

部下指導がうまい営業マネジャーが多用しているのが、ロールプレイです。実際にしゃべらせてみれば、シナリオがいかに曖昧だったかがすぐにわかりますし、改善アドバイスもその場でできます。可能ならば、部下には営業マンの役ばかりではなく、顧客の役をやらせてみるとよいでしょう。こちらのセールスを顧客がどう感じるかという想像力を、一気に鍛えることができます。

また、社内の成功事例など、ナレッジを浸透させる上でもロールプレイは極めて有効です。成功事例の概要をつかめていたとしても、個別の顧客に合わせた修正ポイントや具体的なセールストークがわからないと、商談中に持ち出すのを躊躇するケースが非常に多いのです。特に若手は、あらかじめ想定していない提案を持ち出すのを怖がる傾向にあります。ロールプレイで擬似的に実践しておけば、商談でも臨機応変に事例を引っ張り出せるようになるものです。

●「どうしてそう判断したの? お客様がそう言ったの? それとも○○さんの想像?」

頑張っているのに成績が伸びない営業マンに多いのは、事実と想像とを区別しない癖があることです。あるIT系企業の若手営業マンが担当先企業について書いた報告書には、「同社キーパーソンは価格面を最重要視」「今年度は工場設備への投資を増やすため、IT予算の確保が難しい模様」といった記述がびっしり書き込まれていました。しかし、「お客様がそう言ったのか?」と聞いてみると、実はほとんどは営業マンが顧客の言葉から勝手に解釈した内容だったことが判明しました。

経験の浅い営業マンの場合、知りたい情報を顧客に質問するのを尻込みしてしまい、聞きそびれた情報を自分の想像で埋める悪い癖が出やすいものです。そこで、営業報告の語尾が「~だと思われる」と曖昧になりがちな部下には、「顧客の状況や判断基準は、想像しないで確実に聞け」という基本動作を教えましょう。また想像の癖は、営業訪問から時間が経って、後で報告書を埋めようとする際に出ることが多いものです。そのため、部下が訪問から帰ってきたら、即、報告書に記入をさせながら口頭で報告させることを徹底しているマネジャーもいます。

なお、事実把握の大切さ、逆に言えば営業側が勝手に想像してしまう怖さは、残念ながら一度失敗してみないと自覚できないものです。そこで部下と顧客先に一緒に訪問する機会があれば、直前に「前回、我々の提案が採用された理由は何だ?」と部下に質問しておくどよいでしょう。その上で、訪問先で先方の担当者に「弊社商品を選ばれた決め手は何だったんでしょうか?」とダイレクトに尋ねてみます。得てして、部下からあらかじめ聞いた答えとは異なるコメントが返ってくるものです。これは、「顧客の状況を想像で捉えてはダメ」ということに気づかせる、格好の機会となります。

(本項担当執筆者:山口英彦 グロービス経営大学院教員)

『法人営業 利益の法則』
山口英彦(著)
1382円

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