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どうすれば稼げる大人になるのか?――藤原和博氏が若きリーダーに贈る言葉

投稿日:2018/03/19更新日:2019/04/09

2017年12月に行われた第4回G1カレッジより、「世界の模範となる日本の若きリーダー~G1カレッジが実現する100の行動~」の内容をお伝えします。(全2回) 動画版はこちら>>

年収ではなく時給で考える

藤原さん1

藤原和博氏(以下、敬称略):皆さん、おはようございます。最初に聞きたいことがあるんですよ。「稼げる大人になりたい」という人は、ちょっと手を挙げてみてください。稼げる大人に。(会場を見渡して)…そう、なりたいですよね? あ、堀 (義人氏:グロービス経営大学院学長)さんも挙げています。亀山(敬司氏:株式会社DMM.com取締役会長)さんはいいそうです。「もう十分稼いでいる」と(会場笑)。

ということで、稼げる大人になりたいと。親に食わしてもらっているリーダーなんてあまり聞いたことがないし、NPOやNGOをやるにしたってお金は自分で持ってこなきゃだめですよね。そこで今日は、まず「稼ぐというのはどういうことか」「どうすればもっと稼げるようになるのか」ということの本質について話をします。このセッションは30分しかないけれど、中身は3時間分を超えますから覚悟してください。すごいスピードでやります。

まず、日本で働く場合の時給というものを表にまとめてみました。時間あたりどれぐらい稼ぐのか。たとえば君たちのなかにもバーガーショップやコンビニで店員のバイトをやったことがある人はいると思います。これ、時給はだいたい800円ぐらい。表ではそれが一番左のほうにあって、そこから右へいくにつれて時給が高い仕事を並べています。右へいくほど時間あたりで生み出す付加価値が高い、つまり稼ぎが大きくなるということです。

図1
たとえばIT系。もし君たちがちょっとプログラミングできたりすると、時給は2000円ぐらいにまで上がりますよね。さらにゲームのプログラミングができるような人なら2万円ぐらいにまで上がるかもしれません。じゃあ、サラリーマンや公務員や教員はどうか。もし結構大手の現金をたくさん持っているような銀行や商社に入れば、時給は3000円から5000円のあいだぐらいになります。

今日帰ってから働いているお父さんやお母さんに年収を聞いてみてください。昨年度の年収をね。そのあとに昨年度の年間労働時間または仕事時間が何時間だったのかも聞いてみて。ほとんどの人は答えられません。そういう意識で働いていないから。でもね、それっておかしいと思わない? 一定の時間効率で稼げるから稼ぎになるわけで、月給が2割上がったと言ったって3割余計に仕事をしているなら、それって上がったことになるのかな、と。でも、日本人はそういう感覚がないから、「稼ぎを増やすためにはもっともっと働かなきゃいけない」なんてことになっちゃう。それで精神的におかしくなっちゃったり体を壊しちゃったりするわけです。

ということで、これからは時給で考えて欲しい。それでお父さんお母さんに…、大学の教授にでもいいけれど、年間の仕事時間を聞いてみてください。そうしたら、すごくラクに働いているような感じの人で1600時間ぐらい。普通は1日8時間の週5日で、年間50週働いて2000時間ぐらい。割と真面目に、ときには土曜も出社したりしている人は2400時間ぐらい。さらにそれがマネージャーやリーダーになれば、まず3000時間は下らないと思います。自営業の人、たとえば八百屋さんを営んでいるお父さんなんて1日10時間が365日なんていう人もいますよね。そうすると4000時間近くになるわけ。

とにかく、そんな風に2000時間や3000時間、あるいは4000時間ぐらいで年収を割ってもらうと時給が求められます。すると、大企業の課長だろうと部長だろうと、皆、そんなに変わらないことが分かる。年収1500万といったって3000時間働いていたら時給は5000円じゃないですか。だから、これからは時給で換算するようにしてください。

そのうえで表のさらに右側を見てみると、そこから先は僕が「エキスパート」と呼ぶ領域です。エキスパートとかプロの領域。たとえば、大工さんでも家を1軒丸ごと建てられる棟梁とか、庭師でもランドスケープのデザインまでできる人だと、だいたい1時間1万円ぐらいまで課金してきます。

また、弁護士は…、今は数が増えちゃったからすぐには食えないけど、顧客が付いている弁護士なら1時間3万円ぐらいまで課金してきます。それが君たちもよく知っているマッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアコンサルタントあたりになると8万円ぐらいになる。時給8万ということは、マッキンゼーが企業に課金するときはその3倍ぐらいになるわけですね。高いオフィスを借りたり、オフィスで受付を雇ったりして、一般管理費がかかるから24万円ぐらい課金してくる。ただ、個人に渡るのは8万円ぐらいですよ。

時給に差があるのはなぜ?

そうすると、800円から8万円まで100倍の開きがあるじゃないですか。この謎を今から解いてもらいたいんです。どうして100倍もの差が出るのか。表の左から右のほうへ、みんなも行きたいでしょ? 行きたくない人いる? いないよね。

ただ、最初に断っておくと、この左右の序列というのは「どれだけ尊いか」とか「どれだけ大事か」とか、そういうことじゃないですからね。1時間で生み出す付加価値の量だけを基準にして、ざっと並べたものです。その証拠に、左側には有償無償のボランティアがいくらでもあります。マザー・テレサがやっていたことに代表されるような、本当に尊い仕事がたくさんあるわけですね。

さらに言えば「時給なんて関係ない」という、亀山さんのレベルの仕事もあるわけ。亀山さんなら時給にすれば500万円とか簡単にいくと思いますよ。こないだ落合陽一(筑波大学 准教授・学長補佐)君と飲んでいたんですが、彼はそれを自分で換算しているんだよね。それで1時間あたり128万円だと言っていました。「(今飲んでいる)この1時間で128万円です」とか言われちゃうと、ちょっとこっちの立場がなかったりしますが(会場笑)。とにかく、なぜ800円から8万円までの差があるのか。左から右へ行くにはどうしたらいいか。それを今からみんなにブレストしてもらいたい。近くにいる3~5人で。

最初に2~3つ、答えを消しておきたいと思います。僕が小学校の授業で同じ質問をしたらどうなるか。5~6年生ならこれと同じ授業ができるから「左から右へ行くカギはなんだと思う?」って聞いてみるわけ。小学生だって左から右へ行きたいと言うから。そうすると、手を挙げて「大変さ!」とか言ってくれるの。だけど「大変さ」だったらマクドナルドの深夜バイトだって結構大変じゃない? 「年齢かな?」とか「熟練かな?」なんて言う子もいる。でも、マッキンゼーのシニアコンサルタントには若い人間がたくさんいますよね。弁護士だってそう。だから、そういうのじゃないんです。

あと、たぶん大抵の人は頭の中に「技術」という言葉が浮かんでると思うんですよ。技術を高めれば右へ行くことができるんじゃないかって。でも、それも少し違うの。なぜならプログラミング技術の高さと庭師の技術の高さは比較できないから。だから横軸を支配してる原理は技術じゃないんです。プログラマでも時給2000円から2万円、あるいは20万円まであると思うから、おそらく縦の軸が技術や熟練の度合いになると思う。でも、左右の横軸を支配するのはちょっと別のカギですね。

そこで、君たちに今から1分半ほどでブレストしたうえで答えを出してもらいたいと思います。なお、ブレストのコツが2つほどあるから言っておきますね。まず、ブレスト相手がいろいろと言うことを絶対に否定しない。これはみんなも知ってるよね? それともう1つ。できれば、みんなの意見をまわす最初の1~2周はバカなことから言ったほうがいい。

まともな正解がいきなり出ちゃうと、そのあとみんな黙っちゃうわけ。「もういいよそれで。俺も恥かくの嫌だし」みたいに。だから、たとえば先輩が後輩と、上司が部下と、あるいは親が子どもとブレストするときも、むしろ先輩や上司や親が先に馬鹿なことを言うこと。すると「そんなんでいいのね」という感じで脳がつながるから。

分かる? 佐藤さんと鈴木さんと田中さんがそれぞれ独り言を口にしてるだけなら、それはブレストじゃないの。佐藤さんと鈴木さんと田中さんの脳が混じり合って化学変化が起きなきゃいけない。だから「脳がつながる」という表現を僕はよくするんです。脳をつなげて自分の脳を拡張するためにブレストをやるの。だから、ぜひバカな意見から言ってください。じゃあ、いきましょう。3、2、1、スタート。

(ブレスト)

「希少性」とは何か?

図2
じゃあ、そこまでにしてください。いろいろな答えが出たと思うんですが、これについては僕なりの「納得解」があるんです。たぶん皆さんにも納得してもらえると思う。(壇上のホワイトボードを指して)ここに何気なく「◯◯◯」って書いてあるじゃない。だから、なんとなく「3文字だな」みたいな勘は働かして欲しいんだよね。漢字で3文字。「希少性」です。左から右に向かって、希少性が高まっているんです。

つまり、左側はマニュアルワークじゃないですか。たとえば中国の方や韓国の方でも、ある程度日本語ができればマクドナルドでバイトができます。そうなると、もちろんみんながやったとしても結局は取っ替えられちゃう。そういう仕事が1番左なんです。そこから少しずつ、かけがえのなさが高まっていく。その意味だと、サラリーマンや公務員も取っ替えられちゃう可能性がまだまだ高い。まだ右側には突き抜けてない。

でも、そこも突き抜けて右側にくると、もう「あなたにしかやらせたくない」となってくる。たとえば「コンサルティングは堀さんにしかやらせたくない」と、カルロス・ゴーンに言われたり。そういう風に希少性が担保されたら右側へ突き抜けることができます。

あと、一般的には「国際性」ということもよく言われますよね。国際的なリーダーの価値がなぜ右側へ突き抜けるか。簡単に言うと、日本語を話すのが1億人で英語を話すのが16億人だから。それなら英語を話すようになれば時給はだいたい16倍になると思っていい。とにかく、君たちが左から右へ行くには希少性を高めなきゃいけないということです。

それなら、みんな一緒のほうに行っちゃいけない。みんなで一緒にワイワイやってる以上は希少性なんて高められるわけがないんです。また、希少性の道を走っているときにふと後ろを振り向いて、そこで誰もついてきていないのが分かっても、寂しがってもいけない。これがすごく大事で、群れていたら希少性なんて絶対に担保できません。

後編:富士山型ではなく八ヶ岳連峰型でキャリアを築く――藤原和博氏が若きリーダーに贈る言葉>>

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