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堀義人のダボス会議2018速報(6)今年のダボス会議5つの総括

投稿日:2018/01/30更新日:2019/04/09

ダボス会議最終日。日本戦略グループ朝食会が開催された。僕は、何とモデレータ役だ。海外からはノーベル経済学賞受賞者のジョー・スティグリッツさん、「人生100年時代」で著名なリンダ・グラットンさん、S&Pグローバル会長のダッグ・ピーターソンさん、チャタムハウス代表のロビン・ニブレットさん。日本からは黒田日銀総裁、竹中平蔵さん、みずほ銀行の佐藤さんなど錚々たるメンバーが参加された。

日本戦略グループ朝食会が無事終了!参加されたジョー・スティグリッツさん、リンダ・グラットンさん、ロビン・ニブレットさんと一緒にパチリ。何とかモデレータ役を無難にこなすことができた。協力いただいた方、全員に感謝です。(^^)

コングレスセンターでバイ会談を実施してから、NHKが主催する「ベーシックインカム」についてのセッションに参加している。NHKの河野さんがモデレータで、SLACKのCEOやみずほの佐藤さん等がパネリストだ。

トランプ大統領が、ダボス会議に登場!だけどスピーチの中身はイマイチだった。プロンプターで原稿を読んで、途中に拍手もない単調なものだった。ただTPPへの復帰を示唆する内容もあり、日本にとっては悪くなかったと思う。

最後のセッションは、「Global Economic Outlook」だ。日銀の黒田総裁が登壇している。世界経済の状況はとてもよく、楽観的な議論が続いている。

コングレスセンターを出て、ホテルまで戻った。天気は良く、空気も美味しくて気持ちがいい。ダボス会議の全てのスケジュールを完了し、達成感で溢れている。これから帰路につく。

東京の自宅に戻ったので、改めて今年のダボス会議を総括してみたい。

1) 昨年の絶望感から一転して楽観的なムードが支配していた
昨年は、英国のEU離脱とトランプ大統領の誕生という戦後世界を引っ張ってきた米英の二大国が内向きに転じて、ダボス会議に暗雲が垂れこめていた。今年は英国のEU離脱はすでに織り込み済みで、トランプ大統領もダボスに訪問することもあり、「思ったよりも酷くなかったね」という雰囲気だった。

経済的にはとてもよく、「問題が見つからないのが問題である」という表現さえ出てくる状況だ。米国で大幅な法人減税が実施され、株価は最高値を更新している。IMFは世界的に約4%の成長を予測している。昨年とは一転して、とても楽観的な雰囲気であった。

2) 女性が前面に出た会議となった
#MeToo運動に呼応する形で、全ての共同議長を女性が占め、女性の登壇者も多く、女性に関するセッションが数多く開催された。クリスタルアワードの表彰式や他セッションでも、女性登壇者の中には黒い服を着て登場する人もいた。

クリスティーヌ・ラガルドIMF長官、アンゲラ・メルケル独首相、テリーザ・メイ英国首相、ジニー・ロメッティIBM社長など、数多くの女性リーダーがメインステージで登壇していた。

3) テクノロジーが称賛される時代から恐れられ規制される時代へと入った
石油メジャーの時に使われた「7姉妹(Seven Sisters)」の現代版として、テクノロジー会社の「7姉妹」と称されて議論されていた。米国のアップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトと中国のアリババとテンセントだ。

7姉妹は全て時価総額が50兆円を超えて、データを独占し、プライバシーを侵害し、Fake Newsを生み出す有害な独占企業として捉えられていた。セールスフォースのマーク・ベニオフ氏は、堂々と「それら企業を規制すべきだ」と論じていた。

4) 社会問題の議論に多くの時間が割かれた会議となった
テーマであるFractured World(断絶された世界)とは、国際化やイノベーションから取り残された人々が成長から取り残されていることから生じる社会の断絶を示している。よく使われた言葉が、「Inclusive(包摂的)」で「Sustainable(持続可能)」な成長だ。取り残される人々が生じない雇用、再教育システムの構築が必要になる。

また、システム以前の問題として、Trustがこれほど重要だと認識されたこともない。伝えようとしても、信頼されていないならば、何も伝わらない。断絶を生み出さない、感情ではなく事実に基づく理性的なコミュニケーションが重要となる。

5) 日本不在のダボス会議となった
G7のリーダーが全て結集したにも関わらず、日本からは安倍総理どころか大臣が1人も来られなかったのは、とても残念なことだ。ダボス会議には、国際機関や政治のトップばかりでなく、経済、メディア、学会、NPO、投資家、宗教界などの世界中のリーダーが一堂に会している。

これらの人々の意識を変えることができるのは、唯一ダボス会議の場のみであると言っても過言ではない。あれだけダボス会議に否定的であったトランプ大統領でさえ、トップセールスで米国への投資を訴えに来ていた。日本にはダボス会議は必要ないということはあり得ない。

この場に来年こそは、安倍総理が参加し、日本の考えを世界に主張し、多くの共感を得て、日本に多くの企業や人が関与するようにして欲しい。

一方、最後に個人的なまとめをしてみたい。僕自身は、自分なりにやるべきことをしっかりと実行できたと思う。僕が主催したイベントは3つ。共同議長を務めた会議、登壇したイベント、そしてモデレートしたセッションは合計3つ。エコノミスト、WSJ、ブルームバーグ、フォーブス等ほとんどのメディアからプライベートイベントに招待を受けるに至った。バイ会談は10を超え、着実にダボス会議のコミュニティの中に浸透していっている実感はある。米国シンクタンクのアドバイザリーボードを務めていることもあり、確実に世界的な影響力は増している。

また超多忙な中でもしっかりとタイムリーにSNSで発信して、コラムを速報としてまとめることができたのは、1つの達成感となっている。ダボス会議の実情を数多くの方にご理解頂くために、僕なりに微力ながらも努力をしてきたつもりだ。

今回ですでに11回目の参加となる。来年は、さらに僕自身を成長させて、もっと大きなステージで多くの人と会えるようにしていきたい。毎年一歩一歩前進していきたい。

2018年1月29日
一番町の自宅にて
堀義人

【ダボス会議2018速報】
堀義人のダボス会議2018速報(1)みどころと個人的目標
堀義人のダボス会議2018速報(2)分断された世界で共通の未来を創る
堀義人のダボス会議2018速報(3)社会の信頼崩壊を食い止める企業・個人の役割
堀義人のダボス会議2018速報(4)リーダーの品評会としてのダボス会議

【ダボス会議2017報告はこちら】
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堀義人のダボス会議2017速報(2) 「第二次世界大戦後に築きあげてきた世界秩序が崩壊し始めている」
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