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堀義人のダボス会議2018速報(4)リーダーの品評会としてのダボス会議

投稿日:2018/01/25更新日:2019/04/09

ダボス会議3日目。いつものように暗いうちから歩き始める。朝食会は、米国シンクタンクのウィルソン・センターとバンク・オブ・アメリカの共催によるイベントだ。ウィルソン・センターは、僕がグローバル・アドバイザリー・カウンシルの一員として関与している、唯一の超党派且つ議会が設立したシンクタンクだ。

登壇者は、IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事、ウィルソン・センターのジェーン・ハーマン代表とバンク・オブ・アメリカの副会長。テーマは、「女性のリーダーとしての役割」だ。今年のダボス会議は、女性をテーマとする議論が多いし、女性登壇者も多い。

朝食会の後はメイン会場に移動して、ARTOCグループのShafic Gabr代表とバイ会談。会場を歩いていたらバセム・アワダラ氏と会った。バセム氏は河野太郎大臣のジョージタウン大学の学友でもあり、G1グローバルにも参加頂いたことがあった。お隣は国連人権高等弁務官のZeid Ra’ad Al Hussein氏だ。

BBCが生放送する「The Fake News Challenges to Politics」のセッションに参加した。生放送だから緊張感が半端じゃ無い。Wikipediaの共同創業者、NYTの編集長、パキスタンの政党の代表などが登壇している。

ダボス会議のランチタイムは、ミュンヘン安全保障会議とダボス会議共催のランチセッションに参加した。テーマは、「東西の対立」だ。冷戦に逆戻りしたようなタイトルで「あれ?」と思ったが、ウィルソン・センター代表のジェーンが登壇しているので、参加することにした。主に米露の対立をテーマに議論した。前国防長官のアッシュ・カーター氏、共和党のボブ・コーカー上院議員等が参加。

コングレスホールで、エマニュエル・マクロン大統領のスピーチが始まった。クラウス・シュワブ氏がフランス語で紹介して、マクロン大統領は英語で喋り始めた。原稿はほとんど見ず、内容もわかりやすく、情熱的に語っている。「リーダーの品評会」でもあるダボスでは、とても高い評価を受けていた。
マクロン大統領

ダボス会議の夕刻どき。今日は綺麗に晴れ渡っていて、夕焼けに山の端がくっきりと見えていた。これからジャパンナイトへと向かう。

ジャパンナイトでは、協賛企業が一社一社紹介されて登壇する。僕は、ガッツポーズで登場した。(^^)後ろには、三菱商事の小島さん、日立の中西さん、ローソンの竹増さんなどが写っている。

ジャパンナイトでの鏡開き。26社の協賛企業が5つの樽に分かれて「ヨイショ」の掛け声で開く。アルファベット順なので、GLOBISは、DAIWA、DENTSU、JLL、KEIOと一緒の樽だった。

ジャパンナイトには、人生100年時代の『ライフシフト』を著したリンダ・グラットン女史も来ていた。以前、3年間もWEFの「次代のリーダーシップモデル」のカウンシルで一緒だったので、とても仲良しだ。(^^)

ダボス会議を主宰するクラウス・シュワブ会長がジャパンナイトに登場。ツーショットを撮ることができました。

ジャパンナイトを後にして、インドネシアナイトに向かった。そこで、エア・アジア創業者のトニー・フェルナンデス氏と再会した。トニーとは、彼がエア・アジアを創業する前からの関係だ。

ダボス会議の夜は長い。ホテル会場を移動して、Oxford Nightへ友達に会いに行き、マッキンゼーナイトへ。水曜日の夜のハイライトは、ジャパンナイトとマッキンゼーナイトというのが定番だ。生バンドの演奏で少し踊ってから、ホテルへ戻った。明日の朝も早い。登壇の準備も必要だし、コラムも書かないといけないから早めに帰路に着いた。

本日は多くのリーダーがダボス会議の場でスピーチをした。イタリアのジェンティローニ首相、ドイツのメルケル首相、ブラジルのテメル大統領、フランスのマクロン大統領等だ。昨日は、インドのモディ首相とカナダのトルドー首相。明日は、英国のメイ首相、そして最終日の金曜日に米国のトランプ大統領がスピーチをする。

G6とインド・ブラジルのトップが結集している。G7でトップが来ていないのは、日本だけというのはとても寂しいし、世界にアピールする絶好の機会を失っているのは、とても勿体ないことだと思う。

僕は、ダボス会議は「リーダーの品評会」でもあると思っている。常に参加しているリーダーが相互に品定めされているのだ。良いリーダーがいる組織の評価が上がり、数多くの企業・人々の関与が深まり、成長するきっかけとなる。

「組織のトップの力量によって、組織の良し悪しが決まる」ということは、誰もが共通に認識していることだ。これはスポーツチームでも、大学でも、企業でも、国家でも同様だ。したがって、リーダーは常に前面に立ち、自らの考えを訴えかけて、信頼を勝ち得る必要がある。

スポーツチームであればコーチや代表がファンの前面に立ち、信頼を得る必要がある。大学であれば学長が、学生や企業の前面に立つ必要がある。企業であれば社長が、顧客・株主・社員の前面に立ち、信頼を勝ち得て商品/サービスを買っていただき、投資をしてもらい、社員になってもらう必要がある。

国家であれば大統領・首相が様々なステークホールダーの前面に立つ必要がある。国民、投資をして雇用を創出する企業、資本を投下する資本家や諸外国のリーダーたちの前面に立ち、自らの考えをさまざまなメディアで訴えかける必要がある。

各組織のステークホールダーが一堂に会する場があれば、もっとも効果的に自らの考えを伝えることができる。その「場」としては、ダボス会議はまさに格好の場なのである。世界のほぼ全てのステークホールダーのトップが結集しているからだ。だからこそG6のリーダーがみな結集しているのだ。

組織の顔であるトップがその場に不在だと、その国のことを判断することが不能となり、他の組織に機会を奪われることになる。こういう場には必ず来て、自らの考えを主張することが、組織のトップの責務だと思う。

今回のダボス会議で大きく株を上げたのは、マクロン大統領だ。彼は、わかりやすい言葉で、情熱を持って語り、自信を持ってフランスの復活を印象付けた。「フランスは復活したのだ。欧州の中心で」と訴えかけた時には会場から拍手が湧き上がった。

メルケル首相とマクロン大統領が引っ張る欧州大陸には、大きな安心感が生まれ、EUが改革されるという期待感が生まれた。フランス人、ドイツ人、さらに欧州人は、みな自信を深め、積極的に活動をしていくだろう。また大陸欧州以外の国々からも投資が増えるだろう。これは、フランスとドイツのツートップのダボス会議における存在と言葉によって生まれた安心感だ。

明日の英国メイ首相と米国トランプ大統領の言葉と姿勢がどう評価されるのだろうか。しっかりと見極めていきたい。何度も繰り返すが、この場に安倍総理が不在なのは、とても残念なことだと思っている。

一方の僕は、グロービスのトップ、日本の代表として、ダボス会議に来ている。自らが登壇し、さまざまなイベントを主催し、ポジションを得て、影響力がある人々との関係性を持ち、日本にとって良い方向に世界の論調を向かわせるべく微力ながらも努力をしている。

リーダーは沈黙したり不在ではいけないのだ。積極的に参加して、多くの有力なステークホールダーに訴えかけて、信頼を勝ち得て、彼らの意識や考え方を変えさせる努力をすることが必要なのである。

ダボス会議の会期はあと2日だ。明日も早朝7時過ぎから、僕が共同議長を務めるコミュニティの朝食会だ。そのあとは、400人以上もが参加表明したプライベートセッションで登壇する。様々な会談も予定されている。今晩は早めに寝て、明日に備えることにする。

2018年1月25日
ダボスにて
堀義人

【ダボス会議2018速報】
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堀義人のダボス会議2018速報(5)女性リーダーの時代へ
堀義人のダボス会議2018速報(6)今年のダボス会議5つの総括 

【ダボス会議2017報告はこちら】
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