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【日経コラム】人生100年時代を見据えた5つのギア

投稿日:2017/09/27更新日:2019/04/09

人生100年時代の生き方を説くリンダ・グラットン氏の著書「LIFE SHIFT」が話題だ。僕も自分の人生について振り返ると、節目ごとに「ギアチェンジ」してきた実感がある。人生100年時代を見据えた「人生の5速」について僕なりに書いてみたい。

1速目は15歳頃までの頭脳と肉体のスタートアップ期だ。パソコンの基本ソフト(OS)に相当する頭脳のインフラができ、体も人格も骨格ができあがり、社会的、人間的に適切な振る舞い方を体得した。2速目の15~30歳頃には、社会に触れ視野を広げた。高校時代に1年間留学をして、大学進学で故郷を離れ、企業に入って組織を学び、大学院留学によって広い視野を身に付けた。時に仲間と派手に遊び、異性との関係に一喜一憂するなど青春も謳歌した。

30歳から現在の55歳までが3速の時代だ。起業という人生の勝負に出た。社会的な基盤をゼロから作りあげるのに必死だった。人間関係を構築し、組織や自分の信用を高め、社会に対して自分の考えを伝え続け、会社を成長させた。結婚して子どもが5人生まれるなど、家庭をつくりあげた時期でもある。

いつまで3速を続けようか、と自問し始めたのが昨年のことだ。内科で簡単な手術をするなど、体調に異変を感じ始めたのがきっかけになった。「そろそろギアチェンジすべきではないか」と、強く思うようになった。100年のスパンで考えたときの第4速を見据え始めた。

1速では大きなエネルギーをかけてエンジンをふかし、頭脳や体格などの基盤づくりに心血を注いだ。2速では立ち上がった頭脳や体格などを基にして、社会について学んだ。3速にギアチェンジしてからはさらにスピードアップして、社会の中で基盤をつくり続けてきた。

次の4速では、自分自身ではエネルギーをあまり使わずに、もっと高速で走れるのではないかと考えている。キーワードがいくつかある。1つは「委ねる」だ。いままでつくってきた組織、ビジネスの仕組みなどを基に、できるだけ周りの人に任せていく。省エネルギーながら、レバレッジ(てこ)の効果が働いて、多くのものが実現できるはずだ。

「健康第一」も大きな柱になるだろう。毎日階段を9階まで上り、年に8回の山登りと15回のスノーボードも続ける。毎年、日本マスターズ水泳に出続ける。これらをやり続けられるように健康維持に注力するだろう。

さらに、ロジックより「感情、感性、直観」を重視する。これまでは主に左脳を働かせて分析・戦略立案・意思決定をしてきた。4速ではロジックを昇華させ、もっと上位概念のデザインや創造性など感性に訴えかけるもの、いわゆる右脳を重視した生き方をしたい。

培ってきたものを地域や社会に徹底的に「還元」することも大きなテーマだ。僕は自分が投資で稼いだお金を故郷である水戸や茨城県にすべて返すことにしている。日本をよくするために各界の第一人者で徹底議論・行動する「G1サミット」や、社会支援活動「KIBOW」なども社会還元の一環だ。

4速の時期を終えるのは、引退(リタイア)など社会的なステータスが変わるタイミングとなる70~80歳だろう。体力の衰えもこの時期に直面する。そして、いよいよ100歳まで最速の5速にギアチェンジする。少ないエネルギーですいすい進む悠々自適な生活となるだろう。体をばりばり動かすよりは、著作活動など知識や哲学・思想を還元することが主体の生き方になっているはずだ。それとともに、今までできなかったことを一つ一つ楽しみたい。人生100年時代は一人ひとりがこのように人生設計していく時代になるだろう。

このコラムは次が最終回だ。最後は「面白く生きる」ための3原則について書いてみたい。

※この記事は日経産業新聞で2017年9月22日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

 

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