プレゼンではまずプロセス全体を俯瞰せよ 

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『グロービスMBAで教えている プレゼンの技術』から「プレゼンを準備する際の基本ステップ」を紹介します。

プレゼンテーションにおいて最も重要なのは、準備です。その際、いたずらに「自分の言いたいことをどう伝えるか」にフォーカスするのではなく、一段高い視座に立ったメタな視点でプロセス全体を見ると同時に、相手の視点に立つことが必要です。どれだけ堂々としたプレゼンテーションを行ったところで、それが相手にとって全く関心がないことであったり、あるいは、関心をもってもらったとしても、こちらが期待する行動を引き起こすものでなくては何の意味もありません。プレゼンテーションはあくまで手段です。まずは目的を意識し、どうすればその目的を効果的に達成できるかをしっかり考えることが大事なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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プレゼンを準備する際の基本ステップ

プレゼンテーションの「準備」のステップとは、どのようなものでしょうか。私たちは、日夜スクールや研修で開催している「クリティカル・シンキング」や「ビジネス・プレゼンテーション」のクラスで得た知見をもとに、以下のようなステップが重要だと考えるに至りました。

プレゼンテーションの成功はこの準備にかかっており、準備とはこのステップ一つひとつを考えることです。この整理ができているだけでも、あなたのプレゼンテーションは格段に変わるはずです。言いかえると、このステップを意識しないまま、ただやみくもに準備をしても上手くいきません。

個々のステップでの具体的な方法論については次章以降で詳説しますが、その前に以下に概観を記していきます。

ステップ1:目的を押さえる

プレゼンテーションをすることになった時、まず最初にやるべきことは、そのプレゼンを行う目的とは何かを考えることです。プレゼンを行う目的を一般的に大きく捉えれば、「聴き手を話し手に共感させ、行動を起こしてもらうこと」です。この大枠の中で、今回あなたがプレゼンをすることになった文脈、状況に従って、プレゼンの目的が具体的に定まってくるはずです。

これは、言いかえると、聴き手がどんな状態になってほしいのかを考えることでもあります。プレゼンは自己満足で行うものではありません。相手の感情や思考に働きかけ、行動を起こしたり、態度を変えたりしてもらうものです。だから、皆さんは聴き手について、「何を知ってもらう必要があるのか」、「何をどの程度納得してもらう必要があるのか」、「どんな気持ちになってもらう必要があるのか」など、はっきりとしたイメージを持つ必要があります。

ステップ2:聴き手を理解する

ステップ1で考えた「プレゼン後の聴き手の状態」に至る過程をよりはっきりさせていくために、ステップ2「聴き手を理解する」に移ります。

相手がどんな人で、どの程度の情報を持っているかなどがわからなければ、どんな筋道でその人の認識や行動を変容させていくか、作戦の立てようがないからです。

特に、コンサルティング営業で取引先のキーパーソンに初めて提案するとか、社内の重要人物にプレゼンをするなど、聴き手のことをよく知らなかったけれど、このプレゼンをきっかけに関係を築きたいというような場合には、情報収集が非常に重要になってきます。聴き手自身に関する情報収集のみならず、聴き手に影響を及ぼすであろう力のある人の名前、たとえば役員の中で最も高いポジションにいる人物や、決定権限をもっている管理職の名前なども確認できるとよいでしょう。

このように、聴き手について情報を集め、聴き手を動かすのに何が効果的なのかを理解するのです。

ステップ3:聴き手の導き方を決める

ステップ1で定めた「プレゼン後の聴き手の状態」にするために、ステップ2で得た「聴き手の理解」を基にどう導くかを考えます。このとき意識したいのは、聴き手の認識、意見、感情はプレゼンの間じゅう、移ろっているということです。それを想像しながら「何を伝えるか」を考え、そのうえで聴き手に「どのように伝えるか」、すなわち聴き手の導き方を決めていきます。

本書では、「何を伝えるか」と「どのように伝えるか」を以下のように区別していきます。

1. 何を伝えるか

ほとんどの場合、プレゼンにかけられる時間には限りがあります。話し手の言いたいことを好きなだけ話せるプレゼンというのはめったにありませんし、仮にできたとしても聴き手にとって有益とは限りません。繰り返しになりますが、プレゼンは自己満足ではできません。常に、聴き手の視点で聴き手が持つであろう疑問や質問を考え、取り上げるべき話題と、伝えたい内容(メッセージ)をどんな表現で言うかを決めます。自分が言いたいことではなく、聴き手が何を求めているのかを考えるのがポイントです。

2. どのように伝えるか

ここでは、1で決めた話題とメッセージを「どんな順番で」「どんな演出効果とともに」伝えるかを指します。一見して同じ話題やメッセージでも、伝える順序や伝え方によって聴き手の理解・納得の度合いは大きく変わります。特に、どんな順番で話題やメッセージを展開していくかを「ストーリーライン」と呼び、このステップでは非常に重視しています。

なお、ステップ3内では、1「何を伝えるか」⇒2「どのように伝えるか」と表現しましたが、この二つは必ずしも「1が定まってから2へ移る」というものではありません。2を考えているうちに、「このストーリーの流れならこの話題についても触れておこう」というように、1を変えていくこともありえます。言わば、1と2を行きつ戻りつしながら導き方を決めていくことは十分ありえます。

(本項担当執筆者:グロービス・コーポレート・エデュケーション 講師 山臺尚子)


『グロービスMBAで教えている プレゼンの技術』
グロービス経営大学院  (著)
1800円(税込1944円)
 

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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