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【2017年への提言】クリシンとクリエイティビティで元気企業を創ろう(井上陽介)

投稿日:2016/12/22更新日:2019/04/09

2017年はどのような年になるのか、どのような年にしたいのか――。グロービス/グロービス経営大学院のリーダー陣10人が、それぞれの視点から展望と提言を語る。(企画・構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

グロービスの大人気講座である「クリティカル・シンキング」が作られたのは1998年。それから20年近く、マネジメント・スクール、企業研修、経営大学院などで大変多くの受講者に学んでもらった。クリティカル・シンキングは論理的思考力を鍛えるものであり、状況を丁寧に分析・分解して、何が問題であり、それをいかに解決すべきなのかを突き詰めていくスキルである。組織の「生産性」を向上させることに大いに役立ってきたと自負している。

ところが今、生産性プラスアルファの新しい力が必要とされている。それは、まだ見ぬ未来に対して想像力を働かせて全く新しいビジネスを創り出していく「クリエイティビティ」である。では、クリエイティビティを高めるためにはどうすれば良いのか。大きく2つに要素に分解して考えたい。

1つは「妄想力」、わくわくする未来をイメージする能力である。日本のビジネスパーソン、あるいは日本の組織はこれが弱い。既存の技術やビジネスモデルの延長線上に発想が集束してしまい、妄想が大胆に広がっていかないのである。

もう1つが「創造力」、妄想をモノやサービスというカタチにしていく実現能力である。妄想を実現しようというのだから、成功確率は必ずしも高くない。コツは、スピード重視で小さな実験を積み重ねることである。大規模投資を前提にするのではなく、リーンスタートアップ的に「まずはやってみる」の精神だ。

妄想力を働かせ、創造力を発揮することを繰り返すことによって、組織のクリエイティビティが引き出され、磨かれていく。例えば米グーグルには有名な「20%ルール」というものがあり、新しいアイデアを生み出すための仕組みが働き方や組織文化にビルトインされている。この話を持ち出すと「当社は経営トップの考え方が古くてそうした制度が導入されない」「会社の体質がそういうものになじまない」という諦めの反応が返ってくることが多い。だが、それでは永遠に何も変わらない。むしろ、現場の個人が先に動き、ボトムアップで変えていくべきだ。

1つ提案をしたい。

クリティカル・シンキングのスキルをフル活用することによって、あなた自身の仕事を効率化し、5%の余裕時間を生み出す。その5%の時間を「妄想」のために使うのだ。20%を捻り出すのは難しいかもしれないが、5%なら一人ひとりの努力で可能なのではないだろうか。社長や文化を言い訳にして何もしないよりもはるかに健全だし、自分自身の成長にもつながる。一人ひとりがクリエイティビティを高めれば、会社全体のクリエイティビティ水準も押し上げていくことになる。

そもそも、「日本企業の経営トップがクリエイティビティに対して理解が低い」というのは大いなる誤解だ。私が会う経営トップは皆、「新しい発想で新しい事業を創り出したい」「既存ビジネスの延長線上に未来はない」と率直に話している。目指すところや問題意識は新たなことに取り組みたいと思う現場の社員と同じなのだ。多くの場合ネックになるのは、業績目標の達成責任を負う事業部門長クラス。新規事業を始めるよりも既存事業の拡大で堅実に数字を作ることを選びがちなのだ。このサンドイッチ構造をしっかり理解し、現場からボトムアップ、あるいは、ミドルから提言をするミドルアップに取り組み、組織に揺らぎを与えることがクリエイティブな組織を作るための第一歩になる。

そして、「守り」よりも「攻め」で取り組みたい。多くの業界・企業で従来型ビジネスモデルが限界に達していて新しい発想で自らを変革する必要がある。なぜならば、ユーザーが新たなモノやサービスを求めているからである。そのユーザーに対してクリエイティビティを発揮して提案ができれば新たな価値を創り出すことができる。ユーザーの笑顔のために、楽しく、元気に、一番乗りというポジティブ・シンキングで行こう!
 

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