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仕事に「意味づけ」をしてみよう

投稿日:2016/06/13更新日:2019/07/26

「仕事に対するモチベーションが湧かない」、という悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。私は教員という立場で多くのビジネスパーソンと接していますが、懇親会などの場面でモチベーションに関する悩みを聞く機会は数知れません。多くの悩みは相槌を打って受け止める程度にとどめるのですが、たまにスルーできない時もあります。それは、「頑張っているのに上司から評価されない」「報酬が見合ってない」といったことが悩みの中心であるケースです。

この手のことがモチベーション不全の最大の理由になってしまう場合は、暗黙の前提があります。「モチベーションは外から与えてもらうものだ」というものです。たとえば報酬や評価といった第三者による人為的な動機は「外発的動機」と呼ばれますが、これがモチベーションの中心になると不満ばかりが溜まります。世の中は自分のために動いているわけではありませんから、欲求が一時的に満たされても長続きしないのです。したがって、モチベーションを維持していくためには、「外発的動機」の対極にある「内発的動機」に着眼することがポイントになります。

内発的動機とは、自分の内側から純粋に湧き上がってくるモチベーションのことです。報酬などを抜きにして、シンプルに「やりたいからやる」ということです。たとえば勉強をするとしても、「資格を取るため」とか「母親に認められたいから」というのが主な理由であれば、それは「外発的動機」ですが、「未知の世界が知りたいから」という理由であれば、「内発的動機」となります。

もちろん、ここで言いたいのは「やりたい仕事をやれ」という単純なメッセージではありません。そうなれば理想ですが、そういう「内発的動機」が沸き起こってくる仕事に巡り会えない、という人も多いでしょう。私が言いたいのは、「内発的動機」が起きるように仕事の見方を変えてみよう、仕事に「意味づけ」を与えてみよう、ということです。

「意味づけ」によって、仕事に対するモチベーションは大きく変わる

個人的なエピソードをお話ししましょう。はるか昔、商社の人事部にいた時、社員の健康管理を担当していた時期がありました。どの部署の方がメンタルダウンしたとか、病気療養中といったことを管理する仕事でした。正直言うと、なぜこのような仕事をやらなくてはならないのかわからず、モチベーションが全く上がりませんでした。ところが、ある日を境にものすごくモチベーションが上がる経験をしたのです。

その頃、私は学生の採用にも関与していたのですが、目をキラキラに輝かせた学生たちが私の前に来て、「荒木さん、商社の人事でどんな仕事をしているのですか?」という問いかけをしてきたのです。さすがに、そういう学生を前につまらない話はできないと悟った私は、担当している仕事の「意味」を、精一杯話しました。

商社のビジネスにおいては、現場にいる一人ひとりが小さな意思決定をどれだけスピーディに正しくできるかどうかが勝負になるということ。そのためには、社員が100%の力を出し続けていることが大事であり、社員の健康状態というのは極めて重要な指標になるということ。したがって、健康管理という業務は、商社の各ビジネスラインの戦略実行がうまく機能しているのかを見極める重要なサインということでもあり、重要なミッションを帯びているのだ・・・と。

その時は「心にもないことを語ってしまった」と思ったのですが、改めて冷静に考えてみると、「ひょっとしたら本質的にはそういうことやっているのかもしれない」、「自分は今まで仕事の意味を理解していなかったのではないか」とすら思えてきました。その瞬間、やらなきゃいけないこと、やりたいことが見えてきました。単にエクセルを使った無機質な管理をするのではなくて、それぞれの部署で何が起きているのかという仮説を立てるとともに、具体的な働きかけをする必然性を理解したのです。そういうストーリーが浮かんできた瞬間に、仕事の中身も報酬も変わっていないのに、モチベーションの悩みは吹き飛んでいました。

やや単純すぎる話ではありますが、これこそが「意味づけ」のパワーです。つまらない仕事であっても、つまらなくしているのは自分なのであり、「意味づけ」ひとつで仕事に対する見方はどうにでも変わる、ということなのです。

もちろん「外発的動機」も大事ですが、長く続く社会人人生を生きていくためには、このような形で「内発的動機」を起動させることの方が100倍大切です。上司が認めてくれないから、とか、報酬がいまいちだから、といったような「外発的動機」が理由で仕事を変えたところで、また結局同じサイクルに陥りかねません。

さて、かつての私と同じように、ぜひ我が社に採用したい人が目の前にいる、と想像してください。その人に向けて、論理の飛躍に過度にとらわれずに、あなたの仕事の意味を少し大きな視点に立って語ってみましょう。ひょっとしたら、自分が語る言葉から、気づきをもらえることもあるはずです。

仕事の意味というのは他人に与えてもらうものではなくて、自分が与えるものです。モチベーションが上がらずに苦しんでいる人は、ぜひ「意味」を精一杯与えてみてください。そこに道は見つかるかもしれません。
 

※本記事は、FM FUKUOKAの「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容を、GLOBIS知見録用に再構成したものです。音声ファイルはこちら>>

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イラスト:荒木博行

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