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たった一度の人生を変える勉強をしよう~藤原和博氏

投稿日:2015/09/23更新日:2023/07/18

あすか会議2015
第5部 分科会「たった一度の人生を変える勉強をしよう」書きおこし
(視聴時間1時間10分21秒)

藤原 和博氏(教育改革実践家/杉並区立和田中学校元校長/元リクルート社フェロー)

最初に聞きますが、私“生”藤原と初めて会う、初めてこのライブを聞くという人、ちょっと手を挙げてみて?……ほぼ全員じゃないですか。分かりました。昨日ばらしちゃいましたが、私は、ある歌手に似ているわけです。で、それは誰でしょうと、今さらのように問いかけますので、分かった人はその歌手名を眠気覚ましにでかい声で言ってください。分からない人は自分の好きな歌手を言う(会場笑)。いきますよ?私、“生”藤原は歌手の誰に似ているんでしょうか。どうぞ!(会場一斉に「さだまさし!」)。ほぼ一致した感じですかね。関西だと谷村新司がちょっと混じるのだけど(会場笑)。

マネジメントの力で学校は変わる

私は2003年から東京都では義務教育初の民間校長ということで、和田中学校というところを5年間経営しました。マネジメントの力だけで学校がどれほど変わるのか、と。それで、当初は169人しかおらず杉並区最小だった学校が450名で同区最大の学校になり、成績も23校中21位ぐらいをうろちょろしていた英・数・国でトップに立ちました。いまだにそれは崩れていないというほどで、マネジメントが変われば学校が変わるということを証明したという。

僕はその学校で「よのなか科」という授業、それから学校支援地域本部方式といって、地域社会を学校のなかにとり入れるということをやりました。で、これには文部科学省が50億ぐらいの予算を付けたので、僕は全国を行脚してこの方式を広めました。今はもう8000箇所ぐらいに広がっています。そういう義務教育改革を僕のど真ん中の仕事にしています。

ただ、今日はその話だけではないです。僕はリクルートでテリー伊藤さんに「スーパーサラリーマン」と呼ばれ、まあ、最先端を走ってきたつもりでもいます。あっちこっち、いろいろ出ている印象があるかもしれませんが、実はリクルートで18年間社員をしていました。また、そのあと同社でフェローという、年収がゼロから4000万でブレるという、すごく危ない働き方を6年もしていたので、合わせて25年ほどリクルートと仕事をしていました。そういう意味では半分以上ビジネスマンでもあるので、ビジネスマンであり、かつ教育改革実践家である立場から皆さんと共有をしたいと思うわけです。

「情報編集力(つなげる力)」を鍛えれば、稼ぎが増える

何を共有するのか。主にコミュニケーション技術を磨いていただき、今日この1時間ちょっとの間で皆さんに「情報編集力」を鍛えていただきます。なぜ、これが「つなげる力」と呼ばれるのかというのは、あとで皆さんもいろいろなワークショップをやって実感することになると思います。

この「つなげる力」を鍛えると、どんないいことがあるか。皆さんのビジネスも拓けていきますし、人生も拓けていく鍵になります。また、子育て中の方にとっては子どもの教育にも関わります。その意味で、皆さん自身にこれから鍛えて欲しい力であり、かつ、皆さんのお子さん世代にも鍛えてもらいたい力であります。これが強まると人生も拓ける、と。

そして何より、今日の最後、この話に30分ぐらいかけたいんですが、この「つなげる力」が分かると稼ぎが増えます。どうですか?皆さんの中で稼ぎを増やしたい人、もっと稼ぎたい人、ちょっと手を挙げてみて?…ほぼ全員だよね。「もうこれ以上稼がなくていい」っていう人いる?いたら、あとでその方法をお聞きしたい感じです(会場笑)。

2

お話の順番としては、まず「情報編集力」や「つなげる力」が基礎編です。左に書いた「情報処理力」と右に書いた「情報編集力」のことが頭に入っていると、これからものすごく仕事がしやすくなると思います。なので、これをしっかり頭に入れてもらって、次に「つなげる力」を高めるための非常に簡単な練習、いつも僕が講演でやっている練習をサッとやっていただきます。ここまでに40分ほどかけて、あとは稼ぎをUPする話に移行したいと思います。

「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」へ

では、さっそくはじめます。今はもう20世紀の成長社会から21世紀の成熟社会に移行しています。日本の高度成長は1997年に終わりました。山一證券と北海道拓殖銀行の破綻ですね。そこからバブルが弾けて日本は成熟社会に入ります。データを調べてみると、そこから一人当たりGDPはほとんど直線。アベノミクスでこれだけ現金をぶち込んでもびくともしないほどの直線です。一人当たり個人消費というデータもありますが、皆さんがスーパーやデパートで買い物する額も、そこからぐーっと減っています。

この成熟社会ではすべてのものが多様化して、社会がすごく複雑になって変化が激しくなります。ですが、一番大事な変化はこれです。「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」という感覚の時代になるわけです。

だからビジネスも「みんな一緒」に合わせたままだと、もう全然あかんですね。こっちの産業は今続々と利益を失っていて、「それぞれ一人一人」の方へ、すべての産業が動いています。その動きがしっかりできたところが業界の利益を総獲りするような感じです。

分かりますよね?成熟社会になってもすべての産業がそのまま成熟して終わるなんていうことはないわけで、すべての産業界で入れ替え戦が起こる。そこで「それぞれ一人一人」に合わせた方が勝つわけです。この感覚はすごく大事ですから、皆さんの頭の中にちゃんと刷り込み、インストールしたいわけです。

で、そういうとき、僕は皆さんが納得できる具体例をバンバン出します。ここでも2つほど、すごく簡単な例を出します。たとえば電話。昔は家に1台の家電(いえでん)という固定電話がありました。それが今はどうなっていますか?1人1台の時代を経て、今は皆さんなら2~3台持っている人も珍しくないんじゃないですか?という感じで、電話1つとっても時代は「それぞれ一人一人」のほうにきています。だから携帯会社が儲かる。分かりますよね?

もう1つ、すごく簡単な例を出します。小学校のとき、ランドセルを背負っていた人は多いと思うんですよ。聞いてみていい?男で黒いランドセルだった人は…、あ、割と多いですね。女性で赤いランドセルだった人は…、あ、やっぱり多いですね。これが今どうなっているか。ブルーが出てピンクが出て、いろんな色が出てきています。相当多様化しています。

もちろん黒と赤はまだ人気なんです。車だってあれほど色が多様化しているのに、白が相変わらず人気。中古で売るときは白のほうが有利なんて話もあります。あるんですが、それでもランドセルだって「それぞれ一人一人」に相当寄ってますよね。

抽象概念を人にプレゼンするうえで大事なのは、こんな風にすごく納得感が高い具体例を5連発ぐらいで話すこと。それで5回ぐらい相手に「そうだね」と言わせちゃうと、6つ目にむちゃくちゃなことを言ってもだいたい頷いちゃうんですよ(会場笑)。それが人間の慣れというか、慣習の恐ろしいところで。

抽象概念をプレゼンするときにはコツが2つあります。1つは今お話しした通り具体例を5連発ぐらいで提示して、相手に「うん」「うん」と言わせること。それともう1つは、今日はあまりやりませんが、メタファ。たとえ話ですね。たとえ話がうまい人はプレゼンがうまい人です。

いずれにしても、あと3つぐらい、皆さんに具体的な「それぞれ一人一人」の社会現象を挙げて欲しいんです。皆さんの生活の場、あるいは職場で起こっていることのなかから、「そういえばこれもそうだよね」というものを。なので、前後の席同士でも、左右の席同士でも、どういう風に組んでもいいので3人から5人ぐらいで、パッと頭を寄せ集めてみてください。

そこで、まず自分の考えを言う。それから人の考えをよく聞く。何が大事かというと、人の考えのなかでいいものがあればサッとパクって自分の考えを進化させること。昔、ポケモンのカードゲームで遊んだっていう人は皆さんのなかにどれぐらいる?…はい、若い人は結構いますね。そういう人なら「進化」って言えば分かると思うんです(会場笑)。

ブレストでは最初にバカなことを言う

頭を「進化」させるっていうのはそういうことです。今日はこういうワークを何度もやりますが、そこで一番大事なのは3人から5人集まったときに頭をすぐつなげること。すぐつなげるためには、集まったとき、一番若い、または自分が結構若手だと思う人…、本当に若いかどうかはどうでもいいんですが、若いと思う人がとにかく最初にバカなことを言う。

ブレストで最初にまともなことを言っちゃいけないんです。最初にバカなことを言ってくれると、皆が言いやすくなるので頭がサッとつながるということが起こります。逆に、一番偉そうな人が一番正解っぽい意見を最初に言っちゃったら、みんな黙っちゃいます。今僕が言っているのはマネジメントのコミュニケーション論でもあります。

というわけで、わざとバカなことを誰かが言って、そのチームに貢献する。頭がつながることに貢献する、ということをぜひやってもらいたいと思います。ではいきましょう。3、2、1、0、どうぞ。「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」になった例です。全員やってね。

(ブレスト)

できたらね、10や15ぐらいボキャブラリーがあったほうがいいですよね。それで例に出すのも相手によって使い分けたほうがいいんです。で、まあ、どんな例が出たか楽しみですが、僕ももう1つだけ、「これに気づいたかな?」というのをお話ししておきます。

昨日のパーティーで、僕は皆さんに「この5年間で葬式に出た人がいるかどうか」を聞きましたよね?今度は縁起のいいほう。この5年で結婚式や披露パーティーに出た人は手を挙げてみて?…ほぼ全員ですね。そのときにどんな引き出物をもらったかというお話です。

もしかしたら、自分の結婚式をホテルでやった30代後半から40代以上の人なら、ホテルの人に「引き出物のご予算はおいくらですか?」と言われているかもしれない。「5000円ですか?」「1万円ですか?」みたいな。で、「あ、そのご予算でしたらWEDGWOODのカップ&ソーサーはいかがですか?」なんて言われたりするわけですね。

それで、「じゃあ、それでいいです」と。もう面倒くさいし、本人たちは盛りあがっちゃって「早くハネムーンの話がしたい」みたいな感じで。そうして全員にその引き出物が渡されるわけです。で、それを持って帰ってそのまま物置に入れちゃう人もいると思うけど、一応開けるとどうなるか。WEDGWOODのカップ&ソーサーってピンクのバラが描かれていたりしていて、すごく綺麗ですよ。「綺麗だな」と思うんだけど、自分の家の食器には合わないってことがある。それで幼稚園か小学校のバザーにいくわけです(会場笑)。

「これ、おかしいんじゃないの?」と気付いたのがリンベルっていう会社です。それで、3000円、5000円、1万円、1万5000円…、今は15万円まであるんだけど、それぞれの価格帯で200~300種類の商品を揃えちゃった。商品だけじゃなくて「コトギフト」といって、たとえば普通は5~6万円する宿泊プランが「平日なら1万5000円で泊まれます」なんていう、そういうコトのギフトを含めたカタログで持って帰ってもらうことにした。

それで選ぶことができるわけです。結婚式や披露宴でそういうカタログをもらったことのある人は?…ですよね。これは「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」の象徴だと思うんですよ。でしょ!?納得でしょ?いい話してますよね?これ、拍手ですね(会場笑・拍手)。

これからは「情報処理力」が通用しない時代に

「みんな一緒」の時代は正解がすごく多かった。大きいことは良いことで、安いことは良いことだった。だから正解をたくさん教え込む教育が正しかったわけです。正解を早く正確に言い当てる力を「情報処理力」と言うんですが、それを高めてさえあげれば、サラリーマンになっても公務員になっても成功していました。だから日本の教育は正解主義偏重。正解主義で徹底的に教えるわけです。

それは悪いことじゃなくて、戦後50~60年間は正しかったんですよ。でも、それが通用しなくなったのは、成熟社会に入って正解が1つではなくなっちゃったから。皆さんのなかにはベンチャー起業家や社会起業家を目指しているような人が多いと思うけど、どのマーケットで入っていこうと、どの領域で社会起業をしようと、正解が1つなんて絶対にありえないですよね。学校の現場だってそうです。いじめ1つとったって、今はその解決策として正解が1つなんてことはありえません。

そういう時代に入っちゃったから、「早く正確に正解を言い当てる力」をいくら鍛えても通用しないことが非常に多くなりました。皆さん、実感してるでしょ?では、どういう力が必要か。状況に応じて…、ここが大事なんだけど、「自分が納得し、かつ関わる他者が納得できる解をつくる力」です。

納得解を導き出す「情報編集力」とは?

まず、自分が納得できていないと他者を説得できないですよね。でも、自分だけだったら自己中。だから自分が納得し、かつ関わる他者を納得させることのできる解が必要になる。その解は、「正解」じゃなく「納得解」と呼んでいます。

それをどれぐらい縦横無尽に、頭を柔らかくして紡ぐことができるか。自分の知識・技術・経験のすべてを組み合わせるから編集という言葉を使うんですが、その納得解を「やわらか頭」で紡ぐことのできる力を「情報編集力」と呼んでいます。というわけで、この処理力と編集力についても、なんとなく感覚としては分かるという人だけ拍手くれる?(会場拍手)…大丈夫ですね。

これをしっかり納得していただきたいので、もう1つだけ、ちょっとしたワークショップを行います。「情報処理力」と「情報編集力」でどれほど教え方が違うか。たとえばゴム。ゴムを使っている製品ならなんでもいいから1つ頭に浮かべて、それをみんな一斉に言ってください。前後左右の人がなんと言おうと気にせず、日常的なもの、自分に身近なものを。

一応、安易な答えは今いくつか消しちゃおうと思います。輪ゴム。これはダメ。女の人の髪留めのゴム、ダメ。靴の裏のゴム、ダメ。もう1個ぐらい消しちゃおうかな。パンツのゴムもダメ。男性陣にありがちです。結構消しましたね。なぜかというと、「ゴム○○」という風に、名前にゴムがつくようなものを情報処理側の頭で瞬間的にパターン認識するというのは、頭で考えていることにならないからです。

「それ以外で」と言ったとき、初めて皆さんの脳の中で情報編集側の力が発揮される。ね?自分とゴムとの生活、自分の人生35年のなかでゴムがどういう風に登場したかが編集されて、そのなかから1個だけ選ぼうという風になるわけです。

じゃあ、1つだけ大きい声でゴムを使った身近な製品を挙げてください。どうぞ!(会場ぞれぞれに回答)…タイヤが多かったですね。では、タイヤでいきましょう。ここでもう1つだけ、ちょっとした授業をやると、今回の左(情報処理力)と右(情報編集力)の感覚がすごく分かると思います。

3

たとえばタイヤについて僕が解説するとします。すると、普通は「タイヤの特徴とは…」とか「ゴムでできていて、なぜそれが黒いのか」といった解説をするわけですね。で、その要点を皆さんが番号をつけて箇条書きしていく。これが通常の授業じゃないですか。タイヤというものを知識で与えようとしたら、そういう授業になりますよね。

でも、それだとタイヤに興味がない人は眠っちゃうじゃないですか。アクティブラーニングというのはそうじゃないんです。たとえば、皆さんに今からタイヤメーカーの社長になってもらいます。ロールプレイね。そうして世の中になかったタイヤを考えついて欲しいんですよ。技術のことは気にしなくていいです。コストも気にしなくていい。すごく気軽に、「こんなんだったら素敵」みたいな、そういう感じでやって欲しいです。

いいですか?今から皆さんにやってもらうのはブレインストーミングです。例によって3人から5人で組んでもらって、「こんなのどう?」「あんなのどう?」と、どんどん知恵を出してもらいたい。そこでコツが2つあります。これはブレストで一生使えるコツだから覚えておいて欲しい。

ブレストでは人の案は絶対につぶさずに褒めまくる

1つは、たぶん結構ブレストをやっている皆さんは知ってます。人の案を絶対につぶさないこと。で、今日はそれをさらに1歩踏み超えて、褒めまくる。「素敵!素敵!」と褒めまくる。徹底的に褒めてください。褒めて褒めて褒めまくって、もう酔っ払っちゃったようにやったほうがいいんです。そのほうが、脳がつながるんですね。これが1つ目のコツです。

それともう1つ。「口火を切る人がバカなことを言う」というのは冒頭でも言いましたけれども、これをもう少し大げさにやってみましょう。グループ全員が意見を述べるということを2周するまでは、絶対にまともな意見を言わないこと。これは覚悟が必要です。バカな意見、とんでもない意見、アホな意見、ウケ狙いの意見、あるいは実現不可能な意見だけを言い続ける。それを2周回しましょう。そのあとは自由でいいですが、最初の2周はまともな意見を絶対に出さない覚悟でやってもらいたい。

なぜそういうことを言うか。今僕が解説しているでしょ?それをメモしている人は、頭がほとんど正解主義のほうに来ています。来てますよね?そこにいるままだと良い案が絶対出ないわけ。なので、そこから離れて欲しいですよ。情報編集力のポールのほうまで遠投して欲しい。で、2周目も同じように遠投する。3回その遠投ができる人は、もうドアを出ちゃってもいいですわ(会場笑)。

で、田中さんが、正解を言い当てようという正解主義のポールから大きく離れたとします。そうして鈴木さんも佐藤さんも離れました。ここが非常に大事なところです。アイディアというのは、3人でやるなら三角形、5人でやるなら五角形の面積のなかから出きます。だから広ければ広いほどいい。

でも、そこで知ったかぶりをしっちゃって、「ああ、ブレストね」なんて、情報処理力のほうでまともな意見ばかり口にしても、そこから出てくるものなんて100万人がすでに考えています。あるいは1万社がチャレンジして3社が大成功して、そして300社ぐらいが失敗しているようなものですよ。そんな意見を出したってしょうがないでしょ?だから思いっきり踏み外して、情報処理力から大きく離れたうえでやって欲しい。

そうすればいいアイディアが出ます。そういうことを、PTAの会議でもマンション管理組合の会合でも1回やってみたらいいんですよ。「バカな意見を出してみませんか?」って。そうしたらすごいのが出てきたりしますから。この2つ。まず褒める練習だけしておきます。僕が今バカな意見を言いますから、すぐ褒めて。すぐっていうのが大事よ?

あのさ、タイヤって丸いのばっかりじゃつまんないよね。だから四角いタイヤ。(すぐに歓声と拍手)…遅い(会場笑)。今0.5秒あったじゃん。そのあいだに言った当人は傷ついているわけ(会場笑)。勇気を持ってバカなことを言ってるのに、すぐ褒めてもらえず、それで「ああ・・・」ってなって情報処理力のほうに閉じこもっちゃったら、もう出て来ないからね。なぜ褒めるか。情報処理力のほうから引き離すため。自分の仲間を引き離してあげて、そうして自分もバカなことを言う勇気をもらうという話なんです。

では、大げさにやってもらいたいと思います。3人から5人で。いきますよ?3、2、1、はいどうぞ。世の中になかったタイヤです。

(ブレスト)

じゃあ、そこまでにしてください。ちょっとアンケートを取ってみたいと思います。今やってみてどう感じたか。同僚なんかに比べて自分は相対的に頭が柔らかいほうだと思っていたけど、今やってみたらアイディアが出にくかったという人。「やべーな、これ、相当頭が固くなっちゃってんな」という風に気付いた人、正直に手を挙げてみて?…ほぼ全員じゃないですか(会場笑)。グロービス、まずいですよ(会場笑)。

「脳をつなげる力」がある人=「情報編集力」がある人

ということで、勘のいい人はもう分かると思うんだけど、「情報処理力」というのは頭の回転の速さですね。一方、「情報編集力」のほうは頭の柔らかさ。お子さんを育てている方は、頭の回転が早くて、かつ頭が柔らかい子を「頭がいい子」って言うんです。とりわけ情報編集力の側に伸びしろが出てきます。情報処理力のほうはというと、たとえば塾や予備校にやって東大に入れても、厚生労働省に入った途端、使い物になんないという、つまりは伸びしろのない子というのが出てきたりもするわけです。

一方、なぜ情報編集力のほうに伸びしろがあるかというと、脳がつながる機能だから。自分1人で考えるんじゃなくて、今皆さんがやったようにパッとつながれるかどうかということ。なので、頭が柔らかい子はつながることができるから人の脳も使えるわけです。今皆さんは何をしたか。いわゆるブレストですが、それをもう少し科学的に言うと、脳を連結して自分の脳を拡張しているということなんですね。

そんな風に脳を拡張できる力がある人というのが頭の柔らかい人。ずっと拡張してるとちょっと危ないかもしれません。なので、だいたいの仕事は6~7割、あるいは8~9割が情報処理力型の仕事ですよ。こっちはこっちで集中して、処理力でばんばんやっちゃっていい。でも、今みたいに知恵を出さなきゃいけないときや、商品・サービスの改善を考えるとき、あるいは自分の人生について考えるときや、子育てをするときは、頭を情報編集側に振らなきゃいけない。

体重は情報処理力側にかかっていたとしても、頭は情報編集力側にスッとシフトすることができるかどうか。そのきっかけとして、このタイヤのブレストを覚えておいて欲しい。タイヤじゃなくてもいいから、「世の中になかった水ってないかな」とか「世の中になかったコップってないかな」とか、そういう発想をする。1人でも1人ブレストをする。

そういうことを1日に1回ぐらいやって身につけないと、もう頭が情報処理力ばかりになっちゃう。そちらの仕事が多いから。それでどんどん頭が固くなります。パターン認識しかできなくなるんですよ。自分では考えているつもりなんだけど、考えているんじゃなくて処理してるだけになっちゃうの。というわけで、情報編集側の頭の使い方というのは脳をつなげるということ。頭が柔らかいというのは脳が軟化していることじゃありません。つながりやすいということです。これを絶対に覚えておいてください。

さて、ここまでの話は、今日のテーマになっていますが、『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(朝日新聞出版)というこの本にさんざん書いてあります。この本を読んでからレクチャーに来た人いる?…あ、すごいですね、これは拍手を贈りたい(会場拍手)。あと、30代前半までの若い世代は『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』(幻冬舎メディアコンサルティング)という本、そして35歳以上、とりわけ45歳から55歳ぐらいまでの人は『坂の上の坂』(ポプラ社)という本が読みやすいです。

つなげる力UPのための「キャッチフレーズ型」「つかみ型」自分プレゼン

では次にいきます。この「つなげる力」を非常に短期的に練習したいわけです。今から10分ぐらいでやっちゃいたい。「つなげる力UPのための自分プレゼン」です。ここで何をやってもらうか。今度は2人で組んでもらいます。奇数になっちゃった人はパッと立ち上がって相手を探してください。2つの枠を2人でやってもらうので。

それで何をしてもらうか。初対面のとき、ほとんどの人は名刺を渡しちゃうじゃないですか。それを今日から止めて欲しいんです。名刺を渡すとどうなるか。相手は情報を処理します。「ああ、この会社のこの役職の人ね」って。それで終わり。だから印象に残らないの。それだと頭と頭がつながらない。脳と脳がリンクしないんです。脳をつなげてリンクした状態なら仕事や商品の話をしてもいい。でも、つながってないのに仕事や商品や会社の話をしちゃうと、相手は聞いているようで聞いてない感じになるんです。

というわけで、最初につながる技術を持っているかどうかで、皆さんのこれからの50年、60年、70年の人生はぜんぜん違ってきますから、ぜひその練習をしてもらいたいと思います。では、名刺を渡さず何をするかというと、「自分のキャッチフレーズ」を伝える。なんでもいいです。できれば相手がちょっと微笑んじゃうような、笑っちゃうようなことがいいんですよ。たとえば僕が冒頭でやった、さだまさしの話。なぜあんな話をしたのかというと、ここに結び付けるためだったんです。

ただ、あの方法を取ることができるのは、有名タレントに顔が似ているという「資産」を持ってる人です(会場笑)。これ、資産ですよ。特にさだまさしさんという人は大変な“ロングセラー”な人ですから、俺はもうこの話を一生使ってやろうと思うわけです。だって旬じゃないとね。分かるでしょ?ちょっと前までは人気があったけど今凋落してる人に似てるって言われても、やっぱり笑っていいのかどうか分からなくなっちゃうんで。

ただ、これだけいると会場にも2人ぐらいいるんじゃないかなと思うんです。自分の顔をいじるとだいたい相手が気を許してくれたり、ちょっと笑ってくれちゃったりするという人が。いたら指さないから手を挙げてみて?…あ、いますね。本当に2人、3人いました。僕はこういう講演を800回ぐらいやって20万人ほど動員してるけど、本当に面白いことに、100人に1人はそういう“顔資産”を持っているわけですね(会場笑)。

で、次に簡単なのは「名前」です。読むのが難しかったり、3文字も4文字もあるような名字とか名前とか。それをいじれば相手が気を許すという人もいると思う。そういう人って小中学校の頃は苦労したと思うんですよ。誰も読んでくれないし、試験にしたって裏返していた答案を表にして名前から書きはじめる形式だったら、隣の佐藤はじめ君はさっさと問題を解きはじめているのに(会場笑)、自分は名前を書くだけで時間がかかっちゃう、みたいな(笑)。

だけど、大人になったらこっちの勝ちですよ。できたら、その名前にまつわるストーリーを少し大げさに話して欲しい。根も葉もないことを言ったら、それは詐欺師。でも、ちょっと演出はして欲しいの。皆さんは報道機関じゃないから、正しいことを正しく言う必要はないんです。出会いのときにはエンターテインメントが求められていると思ってください。正解主義モードで出会ったらダメ。印象に残らない。そうじゃなくて、相手がエンターテインメントを求めているんだから、「ちょっとやってやろう」という感じで。

それで笑ってもらえたらいいんです。なぜなら人間には動物の古い脳が残っているから、出会った瞬間に相手が敵か味方見分けてるんですよ。そこで味方だと思わせる必要はまだないけど、敵だと思われたら絶対に損だから。敵だと思わせないためには、ちょっと気を緩めてもらいたいわけね。それができるかどうか。

いいですか?今日は練習なので、まず2人でいきなりやってみてください。だいたい15秒ですよ。出会って15秒で決まります。長々と自己紹介なんかしてられないですからね。もし頭のなかで起承転結を自己認識しているなら、その「転」だけでいいです。サッと言う。ちょっとやってみてください。どんなキャラを切り出してもいいです。

で、今日はそれを15秒でやるじゃないですか。それで相手が「はあ?」みたいな感じでウケないなと思ったら、ちょっと違う切り口でもう1回。でも、悪いんだけど3回は止めておいて。3回ウケないと傷ついちゃう(会場笑)。この研修で傷ついて帰るのはちょっとまずい(笑)。というわけで、30秒あれば片方は終わるから2人で1分。いきましょう。3、2、1、どうぞ。「キャッチフレーズ型」「つかみ型」の自分プレゼンです。

(自分プレゼン)

はい、そこまでにしてください。じゃあ、ちょっとアンケート。相手がやった「つかみ型」の自分プレゼン、「すごくインパクトがあって今日眠れそうもない」といいう人は?…おお、いるじゃないですか。これね、練習すれば必ずうまくなりますから、ぜひ練習してください。もちろん今日のランチから練習ですよ。あるいはこのあとから。僕に絶対に名刺を出さないほうがいいです。そうじゃなくて、一発で何か言う。

で、それで相手がボーッとしてたら、すかさず名刺を出す(会場笑)。名刺っていう安牌があるんだから、とっておけばいいじゃないですか。だからまずは言ってみる。それでウケたら儲けもんでしょ。たまに「さっきのはなんだったんですか?」ってしつこい人がいるかもしれないけど、そうしたら「忘れてください」と(会場笑)。

あと、ウケたときも、そのままにしないでください。数々の人にやってみていいんだけど、どんどんブラッシュアップする。修正主義ですよ。「これが正解」だと思わないでください。それは中間報告みたいなもので、完成させる必要はないんです。どんどん進化させるべきなんで、ぜひ磨き込んでいってもらいたいと思います。

藤原流「プレゼンの極意」とは?

で、時間がないんだけど今日はすごく熱心な起業家の方もいるから、ここで少し、ちょっとしたヒントということで「プレゼンの極意」というものにも2分ほど触れてみたいと思います。

プレゼンというのは今やったことの延長なんですよ。なぜ僕は自己紹介と言わず自分プレゼンと呼ぶのか。自己紹介というのは自分の頭のなかにあることを、起承転結をはっきりさせて相手に伝える行為じゃないですか。ただ、パワポを使おうと、自分の頭のなかにあることを整理して表現するだけなら、それはプレゼンじゃないんです。多くの人がパワポできれいにやればプレゼンになると考えているんじゃないかと思いますが、それはただのExplanation(説明)に過ぎない。相手の脳のなかにどう伝わるかとは無関係です。

プレゼンは相手の頭でやるんですよ。相手の頭のなかに映写室があると思ってください。そこでどのような像を結ぶかというのがプレゼンです。では、そこでCという商品を売り込みたい場合どうするか。たとえば相手の頭のなかでは、AとBとCのうち、Cがなく、BもほとんどなくてAが好まれている状態だったとします。また、XとYとZのうちではYがいいみたいで、Xはなく、Zなんて嫌われている。つまりAとYだけという世界観の人。そういう人にCのことを伝えても通じないんです。

人間というのは知らないことを言われると恐怖する動物なんですね。では、どうしたらいいと思いますか?簡単な式で示すと「C=F(A,Y)」。その人と親和性のある要素、つまりAとYの関数でCを示せばいいんです。数学的な表現はたとえ話ですよ?この感覚。それで相手の世界観のなかにあるものを編集してしまえば、プレゼンは必ず通ります。なぜなら相手は自分の考えだと思うから。

ただ、ちょっとこの説明だけで分かった気になるでしょ?でも、それはムリ。この極意が知りたければ、この本読んでください(会場笑)。『もう、その話し方では通じません。』(KADOKAWA/中経出版)。去年の3月に出たんですが、タイトルが激し過ぎた。もう突き放したようなタイトルだったから売れませんでした(会場笑)。だから在庫が相当あるので履くのに協力してください。帰宅したらECでクリックという感じで。プレゼンの極意にはじまり、今日やることのすべてが書かれています。

では、今のお話を踏まえ、もう1つだけやってみましょう。今プレゼンした2人で、今度は片方にインタビューアをやってもらいます。インタビューゲームです。相手には徹底的に個人的な質問をしてください。2分間。この2分は無礼講なので何を聞いてもいいです。血液型でも家族構成でも離婚経験の有無でも、何を聞いてもいい。ただし、聞かれるほうには1つ特権があります。嫌だったら答えなくていい。パスでいいです。

それで何をしてもらうのか。2人の共通点を探ってもらいます。2分間で共通点を2つ以上探してもらいたいんですが、共通点には条件があります。ただ単に「メガネをかけている」なんて話は志が低過ぎ(会場笑)。そんなの誰だってあるでしょ?そうじゃなくて、その共通点が分かったとき、ちょっと嬉しくなっちゃうようなことってあるじゃない。レアなやつですよ。関係ないと思っていたら小学校が同じだったとか隣だったとか、そういう共通点ならすごいじゃないですか。

そういう、ちょっと嬉しくなっちゃう共通点を2分間で2つ以上探してください。たとえば2人とも野球好きだなんて言っても、野球好きなんて1000万人いるじゃないですか。でも、たとえば仙台に住んでもいないのに楽天の、あの弱かった時代からのファンで、「赤内銀地が大好きだ」みたいなことがもし一致したら、それはもう抱き合っちゃうでしょ(会場笑)。今日はもう帰って飲みに行くでしょ。

そういう嬉しくなっちゃう共通点。その話題で15分でも30分でも話せるネタを探してください。これ、インタビューアのインタビュー能力だけが問われるわけじゃないです。相手からも「こっちはどう?」「あっちはどう?」という助け舟が必要。これで何を見るかというと、どれほどの早さで脳がつながり、リンクするかということです。では、いきましょう。3、2、1、スタート。

(共通点探しゲーム)

はい、そこまでにしてください。じゃあ、アンケート。この短い時間で1つ以上の、ちょっと嬉しくなっちゃう共通点があったところは?…あ、ほとんど。2つ以上は?…3つ以上は?…はい、分かりました。このワークは20分ぐらいやっても疲れないと思います。それで、3つか4つ、4つか5つ、あるいは6つぐらいの共通点が出てくると、もうね、結婚していいっていう感じになると思いますよ(会場笑)。

4

何が大事かというと、1つの共通点だと点の関係、2つで線、3つで面、4つぐらいになると立体になるということです。コンピュータ用語で言うとドメインを共有するような感じになるんです。片隅からだけど、世界観を共有することになるから、仕事がすごくやりやすくなる。

僕は40歳で独立しています。で、そういうインディペンデントでやっている人は皆そうだと思うけど、いろいろな職種や文化の人と仕事をするわけじゃないですか。それで、5人でも10人でも30人でもいいんだけど、人を集めていきなりプロジェクトをスタートさせるより、今のようなことを最初にやったうえで絆や共通点を発見して、ある程度、世界観を共有してからやったほうが、1と言えば3まで分かるような状態になる。10までは分からないけど、そういう風になって絶対に仕事がしやすくなるんです。

それともう1つ。今は僕が急がせたから、皆さんは相手からプラスモードのことだけを聞いていたと思う。得意なこと、好きなこと、興味のあること、マイブーム等々。でも、マイナスモードもありますよね。どんな失敗をしたのかとか、挫折とか病気とか。

たとえば僕は、30代まではリクルートで順風満帆に営業の課長・次長・部長・本部長まで努めて、新規事業までやっていたけど、30歳のとき “切れ”ちゃった。メニエールという病気になっちゃうんです。めまい。眼の前に映っているものがぐるっと回っちゃう病気です。ある日曜日、寝返りを打ったら天井が回ったんです。そこからはじまった。

そんな僕からすれば、もしメニエールになった経験のある人がこのなかにいたとすれば…、いる?いたらちょっと手を挙げてみて?(会場挙手あり)…あ、もうね、「今飲みにいきましょうか」みたいな感じですよ(会場笑)。「もう何も言わないでいいから」みたいな。黙って1時間飲んでても大丈夫な感じです。

分かりますよね?人間はプラスのモードだけでできているわけじゃない。マイナスモードの共通点があると、皆さんも想像に難くないと思うけど、実はそっちのほうが絆は深まるんです。ただ、今の若い人たちはどちらかというとそこを見せたくない。「セルフエスティーム」というんだけど、自己肯定感が低いから自分が傷つきたくないし、人も傷つけたくない。だから突っ込んだ質問をしないんです。飲みに行っても。だから共通点が発見されない。それで「ツイッターやフェイスブックで結びついた」っていっても絆にならないんですよ。

コミュニケーションにはある種のリスクが伴います。バッと一歩踏み込んだら相手を傷つける可能性もある。でも、そこで出てきたマイナスモード同士で結びついたとき、初めて非常に深い絆になっていく。そのことを忘れないでもらいたいんです。マイナスモードも大事にしてもらって、磨きをかける。人生前半でやってきた自分の挫折や失敗や病気について、できれば少し面白おかしく話せるようにしておいたほうがいいですね。それがコミュニケーションの資産になります。そういう話も著書には書きました。

つなげる力で稼ぎをUPするには?

この「つなげる力UPのための自分プレゼン」、納得できた人だけ拍手くれる?(会場拍手)…大丈夫ですね。では、あと20分で、本来は3時間ぐらいかけてやることを突っ込もうと思います。「つなげる力で稼ぎをUPするには?」という話です。冒頭で「稼ぎをアップしたいですか?」と聞いたら全員が手を挙げました。では、稼ぎの本質って何か。どうすれば稼ぎがUPするかについて、僕に論理的な言葉で喋れる人がいたら手を挙げてみて欲しい。「稼ぎの謎」について。1~2人、手が挙がったかな。ここでは当てませんが、ほとんどの人が分からないんですよ。

これは親からも習わないし、学校でも教えてくれないわけ。それを、今から15分ぐらいでどかんと皆さんに伝えましょうという、こんなにおいしい企画、グロービス史上ありました?(会場笑)これを理解するためには日本人の「時給」問題を考えなきゃダメなんですよ。時給じゃなきゃダメ。年収が多くても、たくさん働いていたらそのぶん効率が悪いということになるでしょ?

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というわけで、ホワイトボードに書いた数直線に注目してください。まず左側。左端には有償無償のボランティアがありますけれども、日本で普通に働く場合、たとえばコンビニやファーストフード店のバイトなら高校生は時給いくらだと思います?…そうですね、800円ぐらいから。それが夜だと1000円を超えたりするような感じです。

で、同じフリーターでもプログラムができるとなると2000円ぐらいにまで上がりますよね。それでだんだん右側に行きます。それで、3000円から5000円の部分には斜線を引いていますが、ここにほとんどの人が入ってきます。サラリーマン・公務員・教員という感じ。そこからさらに右を見ると、エキスパートと言われる人たちは時給1万円ぐらいになります。たとえば大工さんでも宮大工だったり、1軒丸ごと建てられるような棟梁、あるいは庭師でもランドスケープがすべてできるような人なら時給1万円ぐらい取りますよ。

さらに、弁護士になると…、まあ今は弁護士になっても食えないんだけど、結構売れている弁護士なら時給にして3万円ぐらい取りますよね。で、マッキンゼー・アンド・カンパニーなんかのシニアコンサルタントになると、これが時給8万円ぐらいになります。8万円ぐらい課金してくるということね。

もちろん、それが堀(義人氏:グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー)さんだったり大前研一さんだったりすれば、もっと右になります。起業家やスターは別。ただ、普通に日本で働いていると800円から8万円まで、100倍の差があるわけです。この差がなぜ生まれるのかを今から考えてもらいたい。

まず皆さん自身がどの時給レベルで働いているかを考えてもらいたいんですが、自分の去年の年収を言える人は?…あ、言わなくていいですよ?(会場笑)では、その年収を何時間働いて稼いだかが言える人、つまり年間総労働時間・年間総仕事時間を言える人は?…少ないですよね。これをぜひ言えるようにしてもらいたいわけです。

目安として2000時間を考えてみてください。1日に正味8時間働いて5日間で40時間。それで年間50週ありますから2000時間です。これが基準。ただ、マネジメントをしてる人や起業しようなんていう人はそんなんじゃ足りませんよね。マネージャーなら普通は2400~3000時間ぐらい働いています。

自営業、インディペンディエントとして1人でやっている人なんて、本当に必死でやっていたら1日10時間で300日なら3000時間。あるいは1日12時間365日、身を粉にして働いている人は4000時間ですよ。一方、スウェーデンのような感じでワークライフバランスを大切にして働いているような人は、1600時間とか、そういう感じです。

ということで、自分の年収を思い浮かべていただいたうえで、割ることの2000時間でも3000時間でも、ちょっと割り算してみて?で、それが3000円から5000円のあいだに入っていると思われる人。たとえば400万の年収で2000時間働いていたら時給2000円。800万の年収で2000時間なら時給4000円。そういう感じで「3000円から5000円のあいだに入ってるかな」という人、ちょっと手を挙げてみてください。…ほとんどそうじゃないかと思います。

その時給をさらに右側へ持っていきたい。そこで皆さんに考えてもらいたいのは、「左から右へ行くには何が鍵になるんですか?」ということ。それに答えることができれば、いかなる方法で稼ぎをUPするかが見えてきます。僕はこの話を小中高でも授業でやってるの。すると、たとえば小学生は「大変さ」とか言うんですよ。でも、大変さというならファーストフード店の深夜バイトだって大変だよね。あるいは「年齢」とか「熟練度」といった答えも出るけど、右側の仕事を若いやつがやってる場合だってありますよね。

それからもう1つ消しておきたいのは「技術」。技術という人は多いんです。でも、たとえばIT系のプログラム技術の高さと庭師の技術の高さって比較できないですよね。だから技術というのは左から右の横軸ではなくて、縦軸。それで、2000円台のなかで2100円から2900円というならいいんだけど、横軸を決定する要因ではないですね。

では、横軸の鍵はなんなのか。よく見てもらって、それが何かを、先ほど組んだ3人から5人の仲間でブレストしてもらいたいと思います。ただ、もう今日だけでも2~3回ブレストをしてるじゃないですか。それで、万が一「このチームではダメだな。ロクな案は出ないな」という場合は(会場笑)、毅然と他のチームに加わってください(会場笑)。人間関係をいっとき壊してもね。では、いきましょう。3、2、1、どうぞ。

(ブレスト)

はい、そこまで。これは正解があるので言ってしまいますね。「希少性」です。英語では‘rare’。左側の仕事は、まあ、マニュアルワーク。誰がやってもいいんです。たとえばファーストフードのバイトなら、高校生になる皆さんの息子さんでも、中国の方でもインドの方でも、ある一定以上のレベルで日本語が分かる人に、いずれ取り替えられちゃいます。そういう仕事です。供給が増えていけば必ず値段が下がります。それに、経済学を理解している人なら分かると思うけど、基本的にこういう仕事は世界で一番低いところに揃っていきます。なので、時給はどんどん下がっていきます。

自分自身を「レアカード」化する

一方で、右に進んでいくと希少性が高まっていきます。かけがえのなさが高まるわけですね。「堀義人さんじゃなきゃダメだ」とか「あなたじゃなきゃダメなんだ」と言わせれば、もっと右側へ跳ねるんです。でしょ?これを、もし小学生になる皆さんのお子さんでも分かる言葉に変えて表現するとどうなりますか?これが、もののたとえの妙というやつですが、今の小中学生でも一発で分かる言葉があります。なんでしょうか。ちょっと言ってみて?…もうちょっと、…そう、「レアカード」です。

「君たち自身をレアカード化しよう」と。そう言った瞬間、小学生でも中学生でも、ポケモンや「遊戯王」のカードゲームをやっていた子はすぐ分かります。レアカードなら何十枚もの普通のカードと取り替えることができたり、中野ブロードウェイに行けば何万円で売っていたり、ヤフオク!で1万数千円がついたり。そういうことを彼らは経験上知っています。彼らの頭のなかにある言葉で伝えればプレゼンは成功するというのは、そういう意味なんですよ。小学生に「希少性」って言ったって、それを覚えろと言ったって、きついよね。でも、レアカードと言った途端、彼らは目つきが変わります。

というわけで、「情報処理力」と「情報編集力」の話に一度戻るんだけど、処理型の仕事って、ロボットやITでどんどん置き換わります。で、当然ながらそういう仕事はインドや中国がどんどん獲っていきます。そうして情報処理力側の仕事がなくなっていくから、人間の脳はなるべく情報編集力のほうに寄せたほうがいいわけ。

そこで「みんな一緒」のほうへ行くとどうなっちゃうか。時給の数直線で左側に行っちゃうんですよ。だから、本当は「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」という図と、時給の数直線は重ねたい。情報編集力を磨けば磨くほど、レアさがどんどん磨かれていきます。価値が高まるわけです。それで皆さん自身に付加価値をつけてもらって、皆さん自身をレアカード化して欲しいという話なんですね。

掛け算して「100万分の1」の人になる

ここで、コツを2つだけ教えます。これはすごく大事な話ですが、1つは「掛け算で発想してね」ということ。ここにいる皆さんは、35歳ぐらいまでの人なら、ある1つの仕事で恐らく100人に1人の存在になることができていると思うんですよ。人間はなんでも1万時間やるとそれをマスターします。その分野で100人に1人になれていると思うんですね。それが経理でも総務でも営業でも販売でも、Webデザインでもなんでも。

それで100人に1人となっているなら、その次なんですよ。1万人に1人のレアさに高めるため、もう1つ、100分の1を掛け算する必要があります。社内であれば、もしかしたら経理であれば財務だったり、広報であれば宣伝だったり、販売であれば営業だったり、そういう掛け算でも悪くはないです。隣り合う2つでもいいから、どちらもしっかり1万時間ずつやれば、絶対に1万人に1人ぐらいの人になります。

僕の例で言うと、20代は営業・プレゼンを徹底的にやりました。1万時間は絶対にやった。激しくやったから100人に1人の人にはなったと思うんですよ。で、次は27歳から37歳までマネジメントをやっているんだけど、その10年で、リクルート流のマネジメントでも恐らく100人に1人の人になってる。なので、それを掛け算して1万人に1人ぐらいの存在として、40歳で会社を辞めてインディペンディエントになりました。

このレベルになると、たぶん年収的に1000万クラスはいけるんじゃないかと思うんですが、そこから先はもう1つ、掛け算が必要です。もう1つの100分の1。僕は30代までに1万人の1人ぐらいにはなったから、次は40代で勝負に出ました。2つの地盤、つまり左足と右足の軸足を固めつつ、1歩を大きく踏み出しました。2つの武器で公教育の分野に踏み出した。僕の営業・プレゼンやマネジメントが、今までとまったく違うノンプロフィットの分野で通用するのかどうかということで勝負に出ました。

そこで9割の人は「やめとけ」と言っていましたが、実際にやってみたらどうだったかというと味方がすごく増えた。不利な勝負をすると周りは味方をしてくれます。それで成功させちゃったものだから、校長としても1万時間の訓練で100人に1人の人となりました。それで、営業・プレゼン×リクルート流マネジメント×ノンプロフィットでのマネジメントという3つの掛け算で…、自分で言うのもおかしいんだけど、100万人の1人ぐらいの存在になったわけです。

僕は、グロービスに来ているすべての人に、その100万人に1人を目指して欲しいんですよ。なぜなら100万人に1人というのは1世代に1人のユニークさだから。オリンピックのメダリストについて計算してみますと、だいたい1/100万の確率です。それがノーベル賞の受賞となると、だいたい1/1000万です。

もちろん1/1000万を狙ってもいいんですよ?タレントならビートたけしや明石家さんまは1/1000万だと思う。ただ、ここにいる人たちは皆が1/100万を狙える。ただ、今の1分野でそのまま勝負をかける場合、1万人に1人になるためには9999人を負かさなきゃなんないみたいな話になっちゃう。それより違うものを掛け合わせるのが大事ということです。

ヒントとして、たとえばアロマセラピスト。アロマをやっていた人はたくさんいたんですよ。セラピーや、癒やしをやっている人だってたくさんいました。でも、あるとき、その2つを掛け算しちゃった人がいた。それで「アロマ+セラピスト」と旗を掲げた途端、ユニークさんの山ができた。そこに本山ができて、たとえばそこで資格か何かをつくっちゃって、家元制みたいにして料金を取るようにしちゃう、と。それで旗を立てたやつが勝ちなんです。

ネイルアーティストだってそうですよね。マニキュアだったらうちの母だってやってましたよ。それをアートにまで高めて、ネイルとアートの掛け算で「ネイル+アーティスト」。これも最初に旗を挙げたやつには、ものすごいお金が入っていると思いますよ。

そんな風にして、今から皆さんには考えてもらいたい。まず1つ目の1/100はできている筈ですよ。ここに来ている人たちは絶対にそうです。もしかしたら2つ目との掛け算だってできている人がいるかもしれません。そうしたら3つ目を考えたほうがいい。その2つ目、3つ目が何かということを、今から1分半ほどかけて、先ほどと同じ仲間と議論してみてください。「あ、自分だったらこういう掛け算をすればユニークな存在になるな」と。

ここで間違いないで欲しいことがあります。1/100万になるって言っても、オリンピックで今から羽生選手に勝とうとしたって無理でしょ?あの1/100万というのは、99万9999人を負かしたうえでの頂点です。でも、ここで言っているのは、1/100万人のレアさ。ユニークさという点で世代に1人であればいいんですよ。分かりますよね。99万9999人に勝つ必要はないの、掛け算が上手ければ。3つの掛け算で絶対にそこへ行けるということです。では、ちょっと議論してみましょう。3、2、1、どうぞ。

(ブレスト)

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はい、じゃあそこまで。整理しますと、自分をレアカード化する1つのコツは掛け算ということ。もちろん、今自分がやっている仕事をそのまま突き詰める手もあります。徹底的にやっていくという手もある。企業で社長を目指すというのも当然ありますよね。でも、そうではなく、踏み替えて…、同じ会社でもいいんですが、踏み替えて、左足右足の軸を1万分の1のところに持っていく。1/100×1/100なら、それぞれ1万時間を使えば絶対に行けます。言ってしまえば、10~15年かければここまでは絶対に行けるんですよ。

で、次はどこに1歩を踏み出すか。どんと大きく踏み出せば、右足左足の軸と、そして踏み出す1歩でつくる三角形の面積がすごく広がります。この三角形の面積はそのまま希少性の大きさであり、‘credit’と呼びます。日本語では信任。信頼と共感の関数ですね。これが広ければ広いほど年収は上がります。時給が上がると言ってもいい。

たとえばその信任が2億円ぶんという人がいたとしますよね。それで5000万円しか現金化していない人は、あとの1億5000万円ぶんが自由になる。ビジネスにおける自由というのはそういうことなんです。自分の信任をどれほど現金化しているか。してない部分が自由です。

お金で「時間」「仕事」「アバター」を買う意識を身に付ける

で、もう1つのコツがお金の使い方です。ある程度の…、まあ年収にして800万以上ぐらいからですが、それぐらいからは「時間」を買うってことができないといけないの。これ、難しいのは、誰も教えてくれないということなんですよ。「そろそろ時間を買ったらどうですか?」って言ってくれないから、ほとんどの人は時間を買うのが不得意です。

でも、もし時給3000円の人がいたとしますよね。そうしたら時間を3000円で買っていいということなんですよ。1時間かけて自分で家の掃除をするのと、1時間に3000円を払ってメイドさんを雇うのはどう違うのか。まあ、1時間ということはないので2時間で6000あたりが相場ですが、それが高いと思ったら大間違い。大事なのは自分の時給と見合うかどうかです。そこで自分の時給が3000円なら2時間6000円払って任せる。そして自分は2時間を買ったほうがいいんです。

買えばどうなるか。たとえば本を読む時間が増えますよね。つまり情報編集力を高める時間が増えるわけ。なるべく買うようにして、自分のなかで情報編集力を高める時間をつくる。そうすると、よりクリエイティブになれます。分かります?この感覚はすごく大事なんですが、ほとんどの人ができていません。でも、年収が800万を超えたあたりから、絶対にこの意識を持って欲しい。

「仕事」を買うというのもあります。「どういうこと?」って思うでしょ?「たとえばスカウト会社にお金を払って、いい仕事を廻してもらうことですか?」なんて考えると思うけど、違うんです。自分を安売りするということです。ふっと新しい分野に出ていくときに。たとえば僕は47歳で公教育の分野に踏み出しましたが、そのときは年収が1/3ぐらいになりました。当時、47歳で1000万前後だったんですよ。それは僕にとって、以前の1/3以下という状態でした。

でも、僕はそれを買いに行ったわけです。自分を安売りした。だって研修を受けるようなものじゃないですか。それによって、もう1つの世界で100人に1人になれればいいわけだから。本当なら、こっちがお金を払うようなものなんですよ。払わせていただいて研修を受けるようなもの。新しい世界で自分が技術を得るためだから。そんな風に自分を安売りして、技術を取りにいくということがある。この感覚が「仕事を買う」ということです。

あと「アバター」を買うというのもあります。これは自分の分身。孫悟空の分身みたいに自分の代理で戦ってくれる人をどんどんつくることです。堀さんはそれがすごくうまいと思う。これが上手だと、インディペンデントで仕事をしていても、自分と同じミッション感覚で、たとえば僕であれば教育改革をやってくれる人が日本中に何十人といるわけですね。そのうちの1人が、たとえば、あすか会議にも来ている雄勝町の立花(貴氏:公益社団法人MORIUMIUS代表理事)君、あるいは僕が和田中の校長としてあとを任せたり、武雄市教育監として戦ってくれたりしていた代田(昭久氏:長野県飯田市教育委員会教育長)君です。

そういう自分のアバターが増えれば増えるほど、別にいちいちコントロールしなくても仕事をしてくれるわけです。実は僕自身だって、僕の背後にいる150人ぐらいのサポート(応援団)のアバターなわけです。皆がゲームのコントローラーを持っていて、僕が危ないことをやればやるほど、できそうもないことにチャレンジすればするほど、興奮して応援してくれるわけ。それが堀さんや、星野リゾートの星野(佳路氏:同社代表取締役社長)さんだったりするわけ。

そういう人たちが味方についているわけだから、僕はその人たちを喜ばせるため、もっと危ないことをしなきゃいけないじゃないですか。そこで僕が今さら「ファンドマネージャーになりました。年収2億円で六本木に住んでいて運転手も付いています。わっはっは」なんて言ってたら誰も応援しないですよ。不利なところに出てくから、できそうもないことにチャレンジするから、そういう戦いを60になっても続けるから、皆が応援してくれる。

というわけで、この世間は結構「捨てる神あれば拾う神あり」だっけ?皆さんが危ないチャレンジをして周囲を面白がらせたら、その周りの人たちが普通の倍以上、3倍以上、あるいは10倍以上応援してくれるという感覚。これを忘れないでもらいたいと思います。

こうしたお金の使い方については、先週出た新刊があります。『中くらいの幸せはお金で買える』(筑摩書房)という凄まじいタイトルの本です(会場笑)。顰蹙を買うぐらいの。つまり、小さな幸せ、日常で感じる幸せはお金で買えません。また、大きな幸せ、たとえば皆さんの「社会起業家になる」といった、それを達成したときの幸せというのもお金では買えません。

でも、中ぐらいの幸せは今お話ししたような知恵でいくらでも、お金の投資で増殖していくんです。ということで、今日ホワイトボードにはそれを3つしか書いていませんが、著書には18の方法を示しましたから参考にしてください。

最後に、もう1回言いますが、「よのなかnet」にぜひアクセスしてもらいたいと思います。本にも書きましたが、たとえば僕は腕時計1つにしたってブランドものは買っていません。ブランドものに50万とか80万とか200万とか投資するより、自分でつくっちゃったほうがいいんですよね。

というわけで、僕が今身に付けているこの時計は、僕のオリジナルの「japan」というブランドです。japanというのは小文字で書くと漆という意味なんですね。文字盤が白なんですが、この青っぽい白というのは有田焼の白磁です。もし九州出身の人がいたら、福岡から来ている人がいたら、絶対にコレ買ってくださいね(会場笑)。

これ、実は樋渡(啓祐氏:樋渡社中株式会社代表取締役、前武雄市長)君につないでもらって、400年の伝統を持つ「しん窯」という窯元で焼いてもらいました。で、12時の位置に朱の漆が乗っています。塗ったのは長野オリンピックの金メダルを塗った職人ですが、そういう、本当にジャパネスクな日本の職人技術の結晶を僕がプロデュースしてつくりました。それで第5弾まですべて売り切れちゃってますが、今身に付けているのが第7弾。第6弾はまだ半分ぐらい残っていて、それは女性用なんですが、「よのなかnet」を見てもらえたら分かります。ぜひ見てください。

そんな風にして僕との共通点を増やしていただいて、著書に書いたことも背負っていただければと思います。それで皆さん、来年は著書に書いたことを背負って、さらにこの時計を巻いていただいたうえで、またお会いしましょう。というわけで終わります。どうもありがとう(会場拍手)。ちょっと最後に聞きたいんだけど、どう?ちょっと元気になった?(会場から「なりました」の声)。それは良かった。ありがとう(会場拍手)

執筆:山本 兼司

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