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東京五輪ではプラスαのサービスを!顧客満足度を上げる「おもてなし」

投稿日:2015/04/20更新日:2019/08/15

※2013/9/24にNumberWebに掲載された内容をGLOBIS知見録の読者向けに再掲載したものです。

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2020年東京でのオリンピック開催を決めたIOC総会での招致最終プレゼン。佐藤真海さんから始まったプレゼンテーションは、その後多くのプレゼンターに引き継がれていったが、なかでもオリンピックを日本・東京で開催する意義を、ホストする我々日本人の心として伝えてくれた滝川クリステルさんのプレゼンが印象に残ったという読者も多いことであろう。

滝川さんのメッセージに込められた「おもてなし」。オリンピック開催地選考最終プレゼンテーションの1つのキーワードであった。2020年東京でオリンピックを開催するに当たり、我々が伝える「おもてなし」を、サービスマネジメントの観点から考えてみたい。

2020年、東京に集まるオリンピックの観客が出会うであろう「おもてなし」。選手の限界に挑む姿以外にも、おもてなしの心に出会ったときに感動を受けることも多いのではなかろうか。

期待以上のサービスに人々は感動を覚える

読者がスポーツ観戦に行った時、どのような体験に感動を覚えるだろうか。

試合の内容はもちろんのこと、そこで行われているイベントや人と人との触れ合い、施設や食事の充実など多岐にわたるだろう。例えば、チケットを購入して試合を見る場合。プレミアシートを購入しているときに、シートが良かったからといって大きな感動はしない。しかし、レギュラーシートチケットを購入した時に、座ったシートの座り心地などが良かった場合には感動に値する。つまり、感動とは、自分が支払った代価(ここではチケット代金)に対して当然受け取れると期待しているサービス(本質サービス)が提供された時ではなく、支払った代価に対して当然受けられるとは思っていないが、あればあるにこしたことはない期待サービス(表層サービス)を受けたときに起こる。

このように感動を覚えるのは、おそらく自分の期待以上のことが起こった時や予期していないものに遭遇した時である。

例えば、東京オリンピック開催の際に多くの人が利用するであろうタクシー。タクシーの本質機能は、安全に目的地まで適正料金で運んでくれること。タクシー料金はこのサービスに対して支払うので、この本質サービス部分が欠けると顧客は不満を覚える。従ってサービス提供者がだれであっても確実にこの価値を提供できるようにトレーニング、マニュアル化などして対応をすることが重要である。タクシーの表層機能は、感じのいい挨拶、綺麗な車内などである。これらは、なくてもよいのだが、提供されれば感動を覚えるものである。(事例参考:『顧客満足型マーケティングの構図』)

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臨機応変なサービスこそが「おもてなし」だ

実は、本質機能はその属性が欠けると不満を引き起こす。そしてたとえその属性を強化したとしても、不満を起こさない状態にはできるが満足度の向上につながるものではない。一方、表層機能は少し異なる。表層機能はその属性を強化すれば、顧客の満足度を上げることができる。しかも表層機能の場合には、その機能のうち1つが卓越していれば、他の属性が悪くても全体の満足度を担保できる「代償作用」がある(ちなみに本質機能にその代表作用はない)。

そして表層サービスの中には、顧客の状況に合わせて臨機応変に対応していく必要のある部分も含まれる。そのため、スタッフ1人1人のスキル・能力・モチベーションに左右されてしまうところもある。だからこそこの感動の源泉である表層サービスの提供時こそ、我々の「おもてなし」文化というのが活かされるのかもしれない。

「おもてなし」の心で表層サービスの強化を

本質機能の部分を確実に提供し、さらに表層サービスをどこまで提供することができるのかが、2020年東京オリンピックで我々が誇るおもてなしのポテンシャルなのではないかと思う。

そして2020年東京に集まる観客を魅了するためにも、まずは、本質サービス(本質機能)に当たるものは何で、表層サービス(表層機能)に当たるものは何かを明確に定義した上で、それぞれをどのように提供するのかの仕組みづくりが必要なのかもしれない。

おもてなしは、特に表層サービスを作りだすときに肝要なものである。人間同士が触れ合う度合が高いシーンにおいては、やはり「おもてなし」の心が光るのかもしれない。

2020年、東京で世界中の人が「おもてなし」の心を受ける日が来るのが待ち遠しい。

<今回のポイント>

◆顧客に提供しているサービス・機能には、本質サービス(機能)と表層サービス(機能)がある

◆本質サービスは1つでも欠けると顧客の不満を引き起こすが、表層サービスは、あれば満足度を上げる要素になり得る

◆自社が提供するサービスの内、本質機能と表層機能を明確に定義し、それぞれを提供する仕組みを構築する必要がある

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