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独フォルクスワーゲンが陥った「ゲーミング・ザ・システム」

投稿日:2015/10/01更新日:2019/04/09

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2015年9月、大きなニュースが飛び込んできました。トヨタと並んで自動車業界のリーディングカンパニーである独フォルクスワーゲン社(以下VW)が、米国におけるディーゼル車の排ガス検査で特殊なソフトを用い不正をはたらいていたというものです。このニュースについては既に様々なところで解説されているので、今回は、少し視点を変え、人は「ゲーミング・ザ・システム」に流れやすいという話をします。

ゲーミング・ザ・システム(ゲーミング・ザ・ルールズということもあります)とは、ある仕組みやルールの裏をかいたり悪用したりするという意味です。単純な例は、大学の授業における「代返」です。本来は実際にクラスに行かないと出席したことにはならないはずなのに、友達に代返を頼んだという方は少なくないでしょう。これは、出席を「名前を読んだら返事をする」という方法で確認するという仕組みの裏をかいたやり方と言えます。

人は往々にしてこのゲーミング・ザ・システムに流れます。よくある動機は、単に楽をしたいということです。上記の代返はその例です。

もう1つの動機は、仕事などでプレッシャーが厳しくなった時に、正攻法で行くと手間暇がかかるために、それをうまく回避しようとするというものです。今回の北米におけるディーゼル車の検査では、予め検査用に走行パターンが決められていました。VWはこの仕組みの裏をかき、その走行パターンの時だけ排ガスが出ないようなソフトを用いていたのです。北米は戦略的にもディーゼル車にとっては魅力的な市場です。社内、あるいは株主からどのようなプレッシャーがあったかは現時点では正確なところは不明ですが、過度な業績向上圧力がこのような不正を招いたと推定されます。

ちなみに、一般にゲーミング・ザ・システムは良い意味には使われませんが、良い方向に仕組みの裏をかく例も存在します。その典型が発泡酒や第三のビールで、ビール各社は酒税法の裏をかいて消費者に支持される商品を提供しました。

どんな仕組みやルールにも必ず欠点や抜け道はあるものです。その裏をかく誘惑に人間はなかなか勝てません。特に強いプレッシャーがかかっているときに、ある仕組みやルールを目の前にしてどういう行動をとるかは、まさに人間性や組織の価値観が問われる場面と言えそうです。

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