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IPOの「先」にあった組織の課題――設立9年で上場 i-plug取締役に聞くVol.2

投稿日:2023/09/05更新日:2023/10/20

経営環境をとりまく激流の中で、企業はどのようにして成長を遂げているのか。今回は設立9年でマザーズ上場を果たした、急成長のベンチャー企業「株式会社i-plug」の取締役兼、グループ会社「株式会社イー・ファルコン」の代表取締役 田中伸明氏に、グロービス マネジング・ディレクターの板倉 義彦がインタビュー。

Vol.1では、現在田中氏が経営に関わる2社の成長の仕方の違いや、事業と組織のバランスなどについて伺った。今回は、前編に続きi-plug社が急成長の裏で抱えていた組織課題とその乗り越え方、必要な能力などについて聞く。

事業フェーズが変わるタイミングに押し寄せる組織の傷み

板倉 人・組織の問題として起きていたことはどんなことですか?

田中 私たちは、スタートアップ企業なので、大手企業に比べて成長スピードが速いです。短期間で事業や組織が大きく変わり、その変化スピードについていけずに、離職が増加する時期が何度かありました。事業のフェーズが変わるタイミングなので致し方ないところもありますが…やはり社員が辞めるのは辛いですね。

板倉 かなりの人数が辞めるわけですか。

田中 そうですね。それぞれのフェーズに合った人を採用して、組織を立て直していくということをやってきたように思いますが、それだけではなかったとも思っています。

今、振り返って考えると、創業以来、会社のビジョンに強く共感してくれているキーパーソンや、各部署で主軸になってくれている重要人物たちの頑張りも大きく、彼らのおかげもあって乗り越えられてきたと思います。

板倉 事業フェーズが変わる時期に、活躍された方々は、どのように環境に適応されていったのでしょうか。

田中 これまでも苦しい時期を共にしてきた人たちなので、自ら考えて、やるべきことに取り組み、そのフェーズで担うべき役割を果たしてくれていたと思います。私たち経営陣は、本当にラッキーでした。そういう人たちがいてくれたから、なんとか耐えてくることができたのだと思います。

この上場前後もフェーズが変わるタイミングなわけですが、この規模になると、会社として戦略的な人・組織づくりに取り組んでいかないと、リスク管理の観点から考えても、過去のようには乗り越えられないと思っています。

IPOを目指すなら、N-1期までは自分たちの力で乗り越えられる

板倉 田中さんから見て、外部の力(外部の人材採用)に頼らずに対応できるのは、どのくらいの時期までですか。

田中 自分たちの力だけで何とかなったのは、設立して7〜8年目までですね。IPOを目指す企業でいえば、「直前期(N-1期)」までは、自分たちでできると思います。

それ以降は、先々の蓋然性を高めることを考えなければなりません。グロースだったら成長の確度が求められますし、事業だけでなくファイナンスや組織を伸ばしていくことも必要になるので、やらなければならない未経験領域が圧倒的に増えてきます。上場してM&Aを行うと、なおさらです。そうなると、自分たちだけだと対処しきれなくなってきます。

採用者には、「権限も合わせて役割を明確にすること」

板倉 先ほど話していた、N-1期以降に、i-plugで蓋然性を高めるために、採用プラスαとして、どんなことに取り組まれていたのでしょうか。

田中 i-plugとして、スタッフの定着と活躍に対して、何か手を打ったかというとまだまだ十分とは言えないと思っています。組織としてやるべきなのは、採用者に「権限もセットにして役割を明示すること」です。その際、もちろん評価する仕組みも必要です。

採用面談では、「あれも任せたい、これも任せたい」とは言っていますが、入社してみると、そこが明確になっていなかったりします。採用者には、その範囲を決めることから任せてしまい、失敗したこともありました。

板倉 企業が成長過程にある時は、やるべきことを決めづらい部分もある。採用者にすべて任せてしまうということは、こういったフェーズの会社ではよく起こりうると思います。

田中 その理由の1つは、任せる側が採用者に担当してもらう領域について詳しくないことがあります。成長企業ですと、対応しなければいけない領域が次から次へと広がってきます。任せる側も実務を十分経験せずに管掌しなければならないことが生じます。また、役員間の調整が適切に行えていない状態があると、役員の間にいる当事者(社員)に負担がかかってしまい、問題に発展してしまいやすいと考えています。私もそれで失敗した経験があります。

板倉 それが、起こりやすいのはどんな時ですか。やはり、フェーズが変わる時でしょうか。

田中 そうですね。フェーズが変わったタイミングで、且つ役員間の関係性が上手くいっていないと生じやすいのではないかと思っています。会社が小さく全体が良く見えていて、役員同士が相互に補完し合える関係性がある状態では問題は生じませんが、企業のフェーズが変わり、役員ごとに機能分化して変化に対処することを進めていくと、次第に役員同士の相互補完の関係が、相互に合意なく期待し合う関係性へと変わっていく局面があるように思います。

このように、役員間のコンセンサスのブレによるトラブルに、リーダーやメンバーが巻き込まれて、苦労することが起こります。 こうした状況を解消するには、まず役員同士で言いたいことが言える環境を作ることです。それができれば、役員間の認識も合わせられるようになります。

人・組織の知見を持ち、事業系を経験した人が、事業と組織を両睨みできる

板倉 先ほど話していた「事業重視か、組織重視か」の問題ですが、田中さんから見た時に、この折り合いはつけられるものですか。

田中 最近、HRBPが盛んに言われていますが、私も自社でやりましたし、グロービスでも事業と組織の両睨みでやることを学びました。しかし、意外とこれが難しいことを、やりながら実感しました。

人・組織系の仕事をやっていると、事業系の話が肌感覚でつかみにくいところがあります。反対に事業系をやっている人は、人・組織を中心には考えにくい。そういう志向性が働くと思います。結局両睨みできるというのは、かなり稀有な人材だというのが、最近の私の発見です。

例えば、i-plugのCHROは元々事業サイドにいた人間です。やはり事業サイドの経験を持つ人が、人・組織の知見を持って、現場に入るほうが、バランスよく見られると思います。

板倉 それだけ、事業と人・組織を両睨みするというのは難易度が高いということですね。

 田中 そうですね。一筋縄ではできないことですが、イー・ファルコンを成長させていく上ではそこが重要なアジェンダだと思っているので、自分自身としては、チャレンジしていきたいですね。

次回に続く

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