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ispaceのIPOに続け!日本発ディープテック・スタートアップが世界で存在感を発揮するための方法論

投稿日:2023/08/02更新日:2023/12/12

G1ベンチャー2023
第3部分科会T「ディープテックスタートアップの戦略と未来」
(2023年6月11日/グロービス経営大学院 東京校)

革新的な技術をベースに新たな価値を創出するディープテックスタートアップ。彼らはどのようにその革新的な技術を市場に適用し、事業化するための戦略を立てているのか。産業全体に大きな変革をもたらす彼らの戦略と未来に迫る。(肩書きは2023年6月11日登壇当時のもの)

 

00:00 オープニング

-日本が世界で勝つにはディープテックしかない。

00:49 どういうモチベーションでディープテックに取り組んでいるのか。その先の世界観とは

-(清水氏)エレファンテックは電子回路基板製法の原理を変えようとしている会社。7年くらい基礎研究をやって、ようやく量産化したというステージ。自分の人生を賭けるなら、人類の基礎的な部分を一歩進められるものに没頭したい。
-(長尾氏)京都フュージョニアリングは核融合の会社。核融合はエネルギー=資源から技術に変えるもの。
-(野﨑氏)ispaceでは、宇宙船(ランダー)で月への物資輸送を行っている。宇宙と月は産業規模が大きい分野だが、今ここで日本が入らないと次の世代の日本の子どもたちが関わる場所がなくなってしまうので、作らないといけないと思っている。

05:02 ディープテックが人材戦略において世界でどのように戦っていくのか

-(野﨑氏)日本、アメリカ・デンバー、ルクセンブルクに拠点がある。一番大きな顧客はNASA。そうなると現地の人材が必要になる。どうやって日本人、日本の良さを分かってくれた中で、外国人の人としっかりとした信頼関係を作れるかが一番難しい課題。JAXAとも一緒にやっているが、予算規模が相対的に小さい。
-(清水氏)我々は技術一点突破なので、グローバル展開しているがほぼ日本人。特にグローバルで人材を獲得するということはやっていない。市場があるので、開拓する必要がない。
-(長尾氏)世界の研究機関と核融合スタートアップが顧客。海外の科学技術領域の顧客に対応が必要なので、海外の人材がいないと営業できない。
-(岡島氏)海外人材の採用、コミュニケーションなどの課題感、どのようなサポートがあればうまく進むのか。
-(野﨑氏)毎日修行を続けている状態だが、修行の場がそれほど多くない。英語が話せた上でディスカッションして説得して腹落ちしてもらうのは、日々のトレーニングしかない。
-(長尾氏)ビジネスだと商社、管理部門は外資系が多いが、技術者をどう採用するかがポイント。論文をちゃんと書いている人を学会に行ってハンティングすることと、リファラルが多い。エンジニアは日本人が6~7割。日本人はリファラルが多い。
-(野﨑氏)日本のエンジニアが、スタートアップに出てくる環境はまだ弱い。スキルセットがあったとしても、働き方などのカルチャーが違いすぎて悩ましい所。
-(清水氏)ここ2年で、日系大手メーカーのエンジニアの待遇が急激に良くなっているので、採用しづらくなっている。
-(長尾氏)発電所を作っていた人や自動車、半導体製造装置から来ている人もいる。アカデミア出身の人は、売れるものを作るという発想がないので、双方をコンビネーションさせていく必要がある。

15:31 社会実装しようとする研究者が少ない。モチベーションは変わっていくのか。

-(清水氏)ディープテック系のスタートアップは、実はビジネスサイドが非常に大事。ここが足りていない。ビジネスサイドの方がディープテックやろうって人いないし、逆に言うと大学はそれを求めてる部分がある。
-(岡島氏)今年のG1ベンチャーのテーマはGenerative AIだが、去年はWeb3とメタバース、その前はSaaSだった。毎年流行に乗っていて、これだと大きな結果が出ないと思ってしまう。先を見据えるようなマインドセットが必要があるのではないか。ispaceがIPOしたのは希望だと思う。

18:18 ディープテックの未来への希望

-(野﨑氏)エンジニアにも、ビジネスセンスを持ってほしいと思っている。ispaceがIPOをする上でもビジネスストーリーがなかったら無理だった。大学の研究との距離が大事な中で、海外はその距離が近いが、東京は文教地区が狭い。最近はデベロッパーがひとつのエリアにあり、これはいいこと。ハードルが高いが、是非製造の現場も作って欲しい。
-(長尾氏)都内は規制があるから難しい。規制改革も検討していただきたい。
-(清水氏)世界で一番スタートアップ支援をやっているのは、日本なのではないか。お互いに歩み寄っていくことが大事。政府の支援はローカル寄りになってしまい、グローバルなスタンダードを取ろうとするスタートアップをひとくくりに支援するのは難しい。新しい「グローバルスタートアップ」のような枠組みが必要。
-(野﨑氏)日本国内にこだわることは大事な事だが、海外のサプライヤーや海外の人材をうまく使っていけるような仕組みにしないと、日本がグローバルで戦うことは難しい。そこのハードルはなるべく下げて欲しい。
-(長尾氏)政府はあまり動かない、と言うのは時代遅れ。こちら側から発信することを心掛けないといけない。
-(清水氏)業界団体みたいなもので意見を出していくのがいい。スタートアップ系の協会はあるがほとんどソフトウェア。ディープテック系は少数派なので、団体を作るか発信するかが大事。 -(岡島氏)海外の投資家に話を聞くと、日本市場の課題感は大学が社会実装にポジティブではないところや、人材の流動性がないところ。

26:30 人材流動性を変えるためには

-(清水氏)グローバル・スタートアップ・キャンパス構想で、MITも必ずしもKPIを設定したり社会実装したくなる仕組みがあるわけでもないと話していた。MITが変わってきたのも、ロールモデルとエコシステム。日本でもロールモデルを作っていくことが大事。

28:06 質疑応答①「ディープテック経営者の時間配分の仕方」

-(野﨑氏)投資家と話している時間が多い。もうひとつやっているのは、社内のインターナルコミュニケーション。ispaceは2040年のビジョンをCEOが語っているが、次の3年間何をやればいいのか、は社員のモチベーションにとって大事。そこを2040年までつなげていくにはどうすればいいか、ということに時間をかけている。
-(長尾氏)人に任せないといけないが、自分の会社が可愛すぎて任せきれていない。ただ半年や四半期で、自分の中で大きなテーマを切っていくことを心掛けている。社内外含めて人に会ってばかりだと疲れるので、少なくとも2時間くらいは1人になって考える時間を取っている。
-(清水氏)カルチャービルディングに時間を割いている。10%~15%は使っている。ディープテックの場合、ユーザー数の伸びなどのわかりやすい成長が味わいにくい。カルチャーで補填しないと、リテンションやモチベーションを保つのが難しい。
-(岡島氏)スタートアップ系の本だと「売上が全てを癒す」みたいな言葉もあるが、ディープテックは癒されない。着実に進んでいるが、華々しいものがないので、カルチャーを作るのは大事で大変。

34:01 海外のチームとカルチャーをどのように共有するのか

-(野﨑氏)アメリカとヨーロッパでも全然違う。ひとつに合わせるのは無理なので、根本のところ以外は独自にやってもらっている。カルチャーの違いを楽しみ合うぐらいで良いのでは。
-(長尾氏)ミッション・ビジョンは強く整理するし、ディープテックだからチャレンジ楽しむことを話した上で、カルチャーに関してはあまり話さない。得意な人が自発的に引っ張って行ってくれるので任せる。あとはちゃんとフェイストゥフェイスで会う事。年に1回はグローバル合宿をやっている。やることはチームビルディングばかり。
-(岡島氏)チームビルディングをやることに対してメンバーから不満はないのか
-(野﨑氏)会社として必要なのでやる、ということ。開発のクオリティを上げる意味でも大事。

38:22 質疑応答②「情報伝播のテクノロジーについて」「自社の未来の技術を語るときのストーリーテリングの秘訣」

-(清水氏)情報伝播について。テクノロジー的に業界が狭いので、業界の人には知られている状態。グローバルでとなった時に、特定の技術で突破する時に伝える必要がないのが強み。自社では海外の広告、マーケティングをしなくても、ウェブサイトを置いておくだけで、ある程度来たところがあるが、今後アクセラレートしていくためにも結構悩んでいる。
-(清水氏)ストーリーテリングについて、投資家にはゴールだけ伝える。テクノロジーを語っても理解されないので、未来像だけ語る。
-(長尾氏)まずは風呂敷を広げるようにしていることと、納得感のある未来予測をしていくこと。核融合は、マイクロソフトが核融合電力を購入すると発表しているので、早いとあと5年で実現する。
-(野﨑氏)心を掴まないと乗ってこないので、プレゼンで魂を掴むページを必ず入れている。ただそれだけだと絶対に乗ってくれないので、マネタイズがどう出来るかを必ず説明して、納得感を持ってもらうようにしている。
-(清水氏)宇宙で世界がどうなるのかを投資家にどのように伝えているのか。
-(野﨑氏)一番のハードルは、人の精神的ハードル。アポロと違ってそんなにお金を使わないという常識を変えてもらう事。産業ではなく、フィールドが宇宙になることで、単純に裾野が広がるだけなので、全ての民間企業にオポチュニティがあるというのを伝える。

48:05 質疑応答③「どういう市場、投資家を選択して、勝ち切ることを目指しているか。エコシステムがどのように変わって欲しいか」「サイエンス×メイクマネーの啓蒙の仕方」

-(清水氏)エコシステムについて。東証もナスダックと同じように怪しい会社を受け入れないと、100倍1000倍のものは生まれない。
-(長尾氏)エンジニアはスタートアップに向いている。裁量権も与えられていて、失敗することもチャレンジだと打ち出している。会社の成功事例も話してアトラクトしている。

54:27 質疑応答④「国際的な標準化戦略について」

-(長尾氏)日本は海外の規制を参考にして国内規制を作っているので、海外の規制作りに入れなかったら負けを意味するぐらいのもの。学会やインナーサークルに入っていくしかない。そこで物申せる人を採用して育てていく。得た知見を共通化して、国に対してもインプットしていくこと。
-(野崎氏)アメリカ人を置いてロビングを行っている。そのときに日本の政府、JAXAとのつながりがあると話している。

58:05 最後にメッセージ

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