【日経コラム】人材が集まる職場を創る5つの要素 

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新入社員が新たな空気を職場にもたらす季節となった。企業成長の大きなカギとなるのが人材だ。「どうすれば優秀な人材を獲得できるか」。創業以来ずっと考えてきたのがこの問いだ。優秀な人材を獲得できたら成長し、獲得できないと成長が止まる。それだけ人材採用が、企業経営にとっては重要なのである。

「どうすれば優秀な人材を獲得できるか」。この問いへの答えを導く一番良い方法は「自分だったらどういう会社を選ぶだろうか」を考えてみることだと思う。「自分だったらどうか」という視点で考えると、答えが見えてくる。

僕が企業を選ぶ要素は、次の5つ。(1)自分のやりたい仕事ができる(2)能力を成長できる(3)よい仲間がいる(4)社会に貢献していると実感できる(5)能力・実績をフェアに評価され相応の報酬を得られる――だ。グロービスではこの考えに沿って、各種制度を設けている。

(1)については、どういう仕事がしたいかを入社前に聞き、原則として希望をすべてかなえるようにしている。(2)では、徹底的に権限を委譲し能力を高めるとともに、大学院の学費補助や海外短期留学制度を用意し、能力を成長する機会を多くつくっている。

良い仲間は良い人材を呼ぶ。そう信じて良い仲間を厳選して採用するとともに、仲間が交流する社内のサークル活動を推奨したり、盛大なパーティーや社員旅行などのイベントを企画したりする。これが(3)だ。(4)では、経営理念に「ビジネスを通しての社会貢献」を掲げ、多くの人から「ありがとう」と言われる仕事に従事できるよう意識する。

(5)については、評価・報酬に納得性を高めるべく努力をしている。欲しい年俸を自己申告でき、360度評価など客観データで評価、不服があれば納得するまでコミュニケーションする。

「グロービスはどういう人材を求めているのか」という質問もよく受ける。僕は非常に明快な3つのポイントで答えている。

1つ目が明るく前向きで人間性が良い人だ。能力が高くてもチームとして仕事ができないと採用できない。2つ目は向上心が強い人だ。経験や実績がなくても、強い向上心を持っていれば継続的に努力し、ゆくゆくは大成する可能性が高いからだ。そして3つ目が論理思考ができる人だ。論理的に物事を考えられないと、複雑なことを簡素化したり、事実をもとに構造化したりできない。グロービスでは採用時に「GMAP」という独自のアセスメントテストを使って論理思考力を測っている。

そして重要なのは、ビジョンとミッションに共鳴してもらえるかどうかだ。グロービス経営大学院のビジョンは「アジアNo.1の大学院を作る」。ミッションは「創造と変革の志士を育成する」である。このビジョンとミッションに共鳴してくれる仲間を数多く集めるよう努力している。

その結果、グロービスが「職場が楽しい雰囲気」になれば、良い人材は自然と集まってくると思う。楽しければ人は集まってくるし、どんな試練があっても周囲と協力しながら前向きに乗り越えていける。グロービスの理念の中に、「Enjoyment」がある。「積極的に楽しもう」だ。

楽しい職場にするには、組織のトップが率先して楽しまなければならない。僕は「人生を楽しむことの天才」を自称している。先頭を切って楽しみ、リーダー陣にも「楽しい環境を作ってほしい」とお願いしている。

その結果かどうかはわからないが、就職・転職向け口コミサイトのヴォーカーズの2015年調査でグロービスは「社員の士気ランキング」で1位になったことがある。楽しさは、士気にも影響するものなのだ。さあて、今日も一日楽しくバリバリ仕事をするぞー。

※この記事は日経産業新聞で2017年4月14日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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