東芝の決算発表に監査承認がないのはなぜ問題なのか? 

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東芝が再延期となっていた17年3月期の第3四半期決算を発表しました。金融商品取引法では上場会社は決算日後(16年12月末から)45日以内に四半期決算を公表する必要があるので、大幅に遅れた発表です。その際、監査法人の承認無しの異例の決算発表と報道されました。これはどれほど異例なのでしょうか。

ところで、すべての株式会社に会計監査が義務付けられるかというとそうではありません。法令で会計監査が義務付けられている会社は以下の通りです。

金融商品取引法:上場会社など(株主数が多い会社や公募債の発行会社も対象)
会社法:会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)

大規模な会社、あるいは株主、投資家などのステークホルダーの数が多いなど社会的影響力の大きな会社に義務付けられています。会計監査には、会社のステークホルダーが安心して会社と関りを持てるよう、会社の作成する決算書に一定の信頼性を付与する役割があります。ちなみに、上記法令以外によって作成する決算書には、会計監査は不要です。なお、今回の東芝の四半期決算発表は金融商品取引法の定めによるものです。

次に、監査法人の「承認」ですが、実は監査法人は会社の決算書を承認しません。会計監査の結果として「監査意見」を表明します。監査意見には4種類あります。(今回は四半期報告書なので厳密には監査の簡易版の四半期レビュー意見ですが、ここでは区別せずに監査として話を進めます。

(1)  無限定適正意見:会社の決算書は会社の財務状況をすべての重要な点において適正に表している。
(2)  限定付適正意見:会社の決算書に一部、財務状況を適切に表してない部分があるが、決算書全体に対する重要性がなく、それ以外は会社の財務状況をすべての重要な点において適正に表している。
(3)  不適正意見:会社の決算書は、会社の財務状況を全体として適正に表していない。
(4)  意見不表明:会社の決算書やその根拠データが作成保存されていない等の理由で、会計監査が十分に実施できず監査意見を表明できない。

この内、(1)と(2)は、会社の決算書は概ね正しいと監査法人が保証しており、一般に「承認」や「お墨付」と言われる監査意見と思われます。今回、東芝が金融庁に提出した四半期報告書に含まれる決算書には、 (4)の監査意見が添付されていました。監査査法人から、何の結論も入手していないわけではないのです。会社が計上したウェスチングハウス社のストーン・アンド・ウェブスター社買収に伴う6,000億円超の損失を巡り、会社は十分な調査と監査法人に対する説明をしたと主張しているのに対して、監査法人はまだ損失金額と損失を認識すべき時期について十分な資料とともに説明を会社が受けていないため、監査が終了できない、ということです。

(3)及び(4)の監査意見は、会社の決算書は正しいとは言えず、監査法人は保証できないということを意味します。また、上場会社にとっては証券取引所の上場廃止基準に抵触するという問題が生じます。その後、証券取引所は上場の是非を検討して、上場維持すべきでないとなれば、上場廃止となる可能性はあります。意見不表明の監査意見が付いた主な例はスカイマーク、カネボウ、ライブドアなどであり、これらの会社の顛末を見ればいかに異例であるか分かるのではないでしょうか。

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