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部下に正しい「質問」を投げかけていますか?

投稿日:2017/03/25更新日:2019/04/09

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』から「質問を構造的に捉える」を紹介します。

質問は、一般的には「知らないことを知る」ために行うものという印象があります。しかし、部下の育成などを目的とするコーチングにおいては、それはむしろ少数派です。「相手に何かを気付かせる(自分は答えが分かっている)」「一緒に何かを考えるきっかけとする(自分だけではなく、相手も答えを持っているわけではない)」ということも多いものです。これらを意識した上で、適切に質問を投げかけ、相手に考えてもらうことにこそコーチングの意義や醍醐味があります。人間とは、何かをそのまま伝えられても、意外と記憶に残らないものです。質問によって考えることを促されるからこそ、記憶に残るということは少なくありません。育成のために、あるいは自分に対する信頼感を醸成するためにも、質問という行為を効果的に行いたいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇ ◇ ◇

質問を構造的に捉える

質問は、さまざまな観点で分類できる。そうした分類を知ったうえで適切に使い分ければ、組織の生産性も大いに上がっていく。以下、マネジャーとして、部下のコーチングという観点から知っておくべき類型をいくつか紹介しよう。

質問の目的

まず、コーチングのための質問は、その目的によっていくつかにタイプ分けできる。コーチングであるから、「育成」という要素、リーダーシップのPM理論で言うM(Maintenance)は当然含まれるが、P(Performance:結果を残す)の要素も含まれる。

その中でも、ビジネスの結果を出すという観点から最も重要なのが、「問題解決」と、第2章や第3章で説明した、理解や納得を促すコミュニケーションの前提となる、正しい意思決定だ。つまり、極論すればコーチングの質問の目的は図のように、
 ●現実に問題解決をする
 ●部下の育成(問題解決力)
 ●正しい意思決定を行う
 ●部下の育成(意思決定能力)
に集約できる。

通常、質問は複数の目的を併せ持つことが多いので、マネジャーは、どの目的が最も強く求められるのかを意識しながら、それに合った質問の仕方を選ぶ必要がある。なお、一般には、部下育成は長期的視点、問題解決や意思決定は短期的視点でなされることが多い。

本章ではこの考え方に従い、部下の育成を念頭に置きつつ、問題解決を促進するための質問と、より正しく意思決定する(主張の説得力を高める)ための質問の2つを軸に解説していく。

答えがあるか否か

目的による分類の別の見方ともいえるが、答えがあるか否かで質問のタイプを分類することもできる。

一般に質問は、自分が持っていない情報や答えを相手から引き出す、すなわち情報収集のために行うと考えられがちだ。しかし、部下とのコミュニケーションにおいては、それだけが目的ではない。図に、部下と上司それぞれの答えの有無でマトリックスを作ってみた。


「確認・共感」の質問は、自分と相手の理解が一致しているかどうかを確かめ、さらに一致できる部分はないかを探し、互いの心理的距離を近づけるためのものである。若手の社員や、キャリアについて悩んでいる中堅社員などに必要となることが多い。

「指導」の質問は、相手から情報を収集するというよりは、相手に考えさせる、相手が見落としている視点に気づかせる、ということを目的としたもので、これも相手が若手の場合に多用される。本章で詳述する、典型的なコーチングの質問といえよう。

「共に考える」質問では、相手から即座に回答を得ることが重要なのではない。自分も相手も現時点では答えを持っていないことについて、考えを明確化したり、論点を整理したり、根拠を確認したり、といった思考を活性化させることが目的となる。
 

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』
グロービス経営大学院  (著)
2800円(税込3024円)

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