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直近(平成28年4月22日)の長期金利(10年物国債)の利回りが、「−0.123%」となっています。いわゆるマイナス金利です。

マイナス金利が会社の業績に与える影響として、会社の年金債務の負担増による業績悪化が挙げられます。年金債務(会計的には退職給付債務)とは、簡単にいうと会社が従業員に将来支払う退職金支給額の「現在価値」です(※)。なぜ、支給額そのものでなく現在価値かというと、今から10年後の10百万円を目標におカネを預金するとします。いくら預金すればよいでしょうか?預金の利率を1%とすると、約9百万円{10百万円÷1.1046221…(1.01の10乗)}を「現在」用意しておけば10年後に10百万円が用意できます。つまり、現在の約9百万円と10年後の10百万円は同じ価値となります。

したがって、将来支払う退職金支給額を当期の決算書に現在の価値として反映するために、「現在価値」を使います。将来の退職金支給額が一定であれば、利子率が高い/低いほど退職給付債務は小さく/大きくなります。

退職給付会計では、退職給付債務の算定に使用する利子率(会計ルールでは割引率)として、安全性の高い長期国債などの利回りを基準とします。したがって、マイナス金利が割引率の低下を通じて会社の退職給付債務を増加させることがわかると思います。

退職給付債務に対して現時点で退職金支給にためのすでに積み立てられているおカネ(年金資産)との差額を「退職給付に係る負債」としてB/Sの(固定)負債に計上します。割引率がマイナスということは、将来の退職金支給額に対して現在準備しておくおカネの方が大きくなる(割増率…)という特殊な状況ですが、実は問題は金利がマイナスかプラスかでなく、現在会社が使用している割引率からの「引き下げ幅」です。マイナス金利の影響で多くの会社が割引率の引き下げを検討することになると思われます。

このとき、現在使用している割引率が高いほど「引き下げ幅」が大きくなり、退職給付債務の増加幅を大きくします。割引率が1%低下すると退職給付債務が10%以上増加するとする試算もあります。そして、退職給付債務の増加分は即時に(固定)負債に反映しますので純資産比率は悪化します。一方、会社の方針によって年度ごとの金額と期間に差異はありますが、会社によっては退職給付債務の増加分全てを退職給付関連費用として当期の業績に反映にされ当期純利益を圧迫します。

以上、簡単にまとめると、金利の低下(割引率の低下)⇒ 退職給付債務の増加 ⇒ 退職給付費用の増加及び退職給付に係る負債の増加 ⇒ 業績(当期純利益の減少、純資産比率の悪化)の悪化、ということです。

※正確には将来の退職金支給額ではなく、その内現時点までに発生していると見込まれる金額になります。なお、確定給付建年金制度を前提としています。

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