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・・・溜めるんだ

投稿日:2014/04/01更新日:2022/06/22

2月は大雪の週末が続いた。記録的な大雪だった。1週間たっても道端には雪が残っていた。それを私は、見ながら思い出していた。そうだ、故郷の札幌では、こういう雪の事を、「根雪」と呼んでいた。春が訪れるまで溶けない「根っこの雪」。

そう、消えない・・・たとえば女性の脳裏にこびりつく男性(ていうか、たとえば自分)への恨みつらみのように・・・(ブ、ブルッ)

・・・ということで、前回の「忘れる」から始めた本連載、今回は、「消えない、忘れない」という話題でいきたい。それは、前回紹介したインタビューの中でのこんな一言にドキッとさせられたことに始まる。

Aさん:ある日コップの水があふれるかのように「あー、ないない」って思うんですよね。向こう(彼氏)にしたらコップの水が溜まってるなんて露ほど思ってなくて、だけど私は日々このリミットがくるのをずっと見ていたっていう。

少し説明が必要だと思う。この会話は「別れたくなる瞬間」に話題が進んだ時に出てきた発言だ。要は、男性から見ると突然に切りだされたように思える「別れ」でも、女性の側は全く突然とは思っていない。相手の性格や行動について「嫌だな」と思うことを日々、溜めていて(しかし男性はそのことに気付かず)、蓄積が許容限度を超えると「別れる」という話だ。

これは前回の、「女は一度別れた男のことはきれいさっぱり忘れ、男は未練がましい」という類の話と、一見すると逆に見えるが、「別れた後」は「忘れる」、「別れる前」は「溜める(=忘れない)」ということと考えれば矛盾しない(としておこう)。

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「なんでその時言わないの」って男子は言うんですよね

なぜこの話を私が今回、取り上げたかというと、このインタビューを聞いている最中に、個人的な経験が「嫌〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」というほど蘇ってきたからだ。

前回にも書いたが、

女:あなた、以前に***と言ったわよね。それに、×××の時にも、○○○○したじゃない。
男:なんで、そんな昔のことまで蒸し返すんだよ。だいたい、よくそんなこと覚えていられるよな。

と言った類の思い出(言葉の響きはいいが、本人にとっては針のむしろ的な思い出)だ。

なぜ「針のむしろ」なのかというと、こういった際に相手の女性から指摘されている内容は、確かに事実として存在し、かつこちらに落ち度のあることばかりなので、此方にとっては不利な状況なのだが、悪いことにそういう時に限って(と思っているのは、当の男性陣だけかもしれない。先の方で触れる)、自分はその状況を全く覚えていないので、この不利な状況を打開できない。だから、一方的に責め立てらるれことになるからだ。

こういう経験は、何度もある(何回あったか数えていないが、何回もあったという気持ちだけは覚えている)わりには、いまだに有効な打ち手を思いついていない。そこで、今回はこの謎を解明し、あわよくば返り討ちに出来る様な打ち手を見つけて、同じ経験を共有する同志の皆さんにも貢献したいと思う(ふふんっ!)。

まずは今回も、グロービスの女性陣に集まってもらった時のインタビューの続きから関連した内容を抜き出してみたい(あ、ちなみに、今回もカッコ内は私の心の声である)。

溜田:一つ僕がビクッとしたキーワードが「溜まってく」という感覚。結構、昔のことまで覚えているのが不思議で。そういうことは溜まっていくだけなの?消えてかないの?(自分の経験も踏まえて考えると、女性の場合、決して消えていない気がする)

Eさん:2パターンの女性がいると思うんですけど、思った瞬間になんでも口に出せちゃう人と、一旦飲み込んで、言うタイミングを見計らって、我慢して、ここまで我慢出来るっていう人がいて。多分我慢しちゃうタイプだと、溜めて溜めて「まだ私、我慢出来る。この人には、もっといいところがあるはず」って。それが何かしらかのきっかけがあったりすると・・・

溜田:いやー、今、昔のことを思い出しているんですけど、まずいな〜(まずい、まずいよ、本当に、冷や汗が出てきた)

Kさん:それで大体、後になってから言うと、「なんでその時言わないの」って男子は言うんですよね(あー、そうそう、自分も言ってる)

Aさん:でも、こっちとしてはその1つひとつは言うほどのことではなかったりするんですよ。例えばお箸を持つ時にガッと持ってドンとやったりすると嫌だなと思うけど、箸の上げ下ろしについてここで言うのもどうかなとか思うわけですよ。そういうことなんですよね。でも、なんかやっぱり下品な人なんだなって思いが溜まってくわけです(え、そんなところまで見られているの?)

Kさん:そうそう。箸の上げ下げをやりなおしてほしいわけじゃなくて、つまりは下品なあなたを治して欲しい、ってだけなんですよね。

溜田:(ひ、ひどい・・・)あー、それは通じないかも知れないなー。(確かにその場で注意しても、男の側としては「箸の上げ下げを注意された。なんてつまんないことを言うんだろう」としか感じないだろうな)

Fさん:なんていうか、そう簡単に治るものじゃないって諦めちゃうんですよね。そんなふうに人を評価するのが失礼だっていう思いもあるし。(で、そのまま溜めるんだ。どうせ言うのやめるなら、ついでに忘れてくれると助かるのに・・・)

インタビューは、このあとも延々と続いたので、またいずれご紹介するが、ただこの短いやりとりの間にも、私の頭の中には過去の痛い経験が蘇っていた。

ここで冷静になってみよう。

「リミット」が来た時のために「覚えておく」

物事を覚えているというのは、エネルギーがいることだし、覚えておく以上、そこには、何らかの目的があるはずだ。もしそうでないなら、単純に女性は記憶力が良くて、男性が悪いということになってしまう。でもそれは、あまりに極論すぎるし、男性でも記憶力のいい方は沢山いる。

そういえば、最初のAさんの発言に「だけど私は日々このリミットがくるのをずっと見ていたっていう」という発言があった。この発言を素直に解釈するなら、「リミット」が来た時のために「覚えておく」と言うことになる。すなわち、目的があるので覚えておけるということではないか?

そこで、別のグループにインタビューした内容を見直してみて、関連しそうな部分を見つけた。それはこんな具合だ。

Jさん:夫婦喧嘩みたいな時に、夫の方が論理的に勝ちそうになると、私が明らかに勝っている昔の事象を持ちだして被せることをよく夫に「おまえはずるい」と言われるんですけど、必ずこのパターンなんですよね。とにかく私の場合は勝ちたいから、絶対に負けない事象を必ず見つけるんですよ。

溜田:少なくとも大事なもの(っていうのかな・・・)はちゃんととっておくということですね。負けない事象っていう切り札はとっておくと。昔の別れとか切り札にならないものは捨てていく、忘れていく、と。論理的に分析しようとすると、ですけどね。

Jさん:マネジメントの話でいうと、男性の管理職に良くしてもらったとか本当に困ったときに助けてもらったこともよく覚えてるんです。10年前とかでも。だから10年経ってもこの人はいい人だよっていうし、逆に5年前の失敗でもこいつはダメだなって思ったことを忘れずにこいつはダメだよって言ってる。だから女の方が怖いかも。

この後、上司との関係に話が展開していくのだが、それはまた別の機会に譲るとして、キーワードは「絶対に負けない事象を必ず見つける」だろう。すなわち、

・前提:いずれ別れ話になる
・目的:別れ話の時に負けたくない
・行動:別れる理由になりそうなことを「覚えておく(=溜めておく)」

という解釈だ。

関係が続いている限りは当然、「いつか戦う場面」が存在するのでいつまでも「溜めておく」し、別れ話が決着すれば(当然、“証拠”をたくさん溜めている女性側の勝ちになるはず)、「溜めている」必要が無いので、第2 回の「忘れる」という状態になる訳だ。

と、ここまでは矛盾なく考えることができる。

論理思考的にMECEに考えてやろうじゃないか

ここで仮説を整理しておこう(仮説は初回からの続き番号である)

仮説5:女性は、将来の勝負に備えて、自分が勝てる事象を「溜めておく」
仮説6:これ以上勝負する必要が無い場合は「忘れる」

そこで2つの疑問が湧く。

(1)なぜ、男性は溜めないんだろうか?
(2)何とかして、女性が溜めているものを、忘れてもらう方法はないのか?

まず(1)から考えてみる。仮説5が正しいとすると、男性が溜めない理由を考えてみる。折角だから論理思考的に、MECE(ミッシー/ミーシー、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略)に考えてみよう。すなわち見落としがないよう「もれなくダブりなく」考えるということだ。例えば

(a) 未来に勝負事が発生するのを予見しているが(材料がなくても論理構成などの力で)勝負に勝てると確信しているから
(b) 未来に勝負が発生するのを予見しているが、その類の勝負で勝つことを目的としていない
(c) そもそも、未来に勝負事が発生する事自体を予見していない

ただ、一度も女性と口論した経験がない男性は別にして、「女性が溜めている」ために反論できない状況を経験した男性にとっては、(a)の「勝てると確信」というのはあり得ない。また、(b)の「勝つことを目的としていない」というのもあり得ない。あの痛手を一度でも経験したら、そんな甘いことを考えるはずが無い。婚姻生活の長い夫婦などで「俺が食わせてやっているんだから、別れに発生するような喧嘩は仕掛けてこないだろう」とか、付き合いの短いカップルなどで「いや〜、俺にべた惚れの彼女が、別れに発生するような(以下略)」というような勘違いはなきにしもあらずかもしれないが、いずれにしても少々考えづらい。

では(c)の「予見しない」はどうだろう。こちらは私自身には比較的しっくりくる。そこから

仮説7:将来のリスクを予見し、行動することにおいて、女性の方が優れている

という仮説が出てくるが、これは、ビジネスにおいては頼もしい特徴になるのではないか?

併せて、もう一つの疑問である、(2)の「忘れてもらう方法」について考えてみよう。雪にたとえるなら「根雪が溶けることはないのか」になる。

仮説6「これ以上勝負する必要が無い場合は『忘れる』」が正しいとすると、女性が「将来の勝負に備える必要がない」という状態になれば、「忘れる」はずなのではあるが、果たしてそれは可能なのであろうか?

このあたりは、是非一度、妻に聞いてみたい。のだが、でも聞いたとしたら、

私:ね、なぜ昔のことを覚えているの?
妻:忘れることが出来ないから。
私:それって、将来の喧嘩に備えているんじゃない?
妻:あなた、何か私に言えないことしたの?
私:いや、そうじゃなくて・・・・
妻:あなた、以前にもそんなこと言ったわよね。そんな時には、○○○○してたじゃない。
私:なんで、そんな昔のことまで蒸し返すんだよ。だいたい、よくそんなこと覚えていられるよな。

やめとこう。絶対、「寝た子を起こす」ことになりそうだ。

ちなみに後日談だが、編集K女史からは、本件につき、こうバッサリやられたことを追記しておこう。

「女性のほうが将来のリスクに備える、なんて、あったり前田のクラッカーですよ。溜田さん、今さら何言っちゃってるんですか。いいですか?女性は自分が子どもを守っていく意識が強いし、そのためにはペアになるオスがどういう存在かっていうのは、すごい重要なファクターなわけですよ。だから、オスがちゃんとしてるかどうかは常にリスクファクターとして見定めてるんです。だから溜めるし忘れない。わかりましたかっ!」

は、はいっ、Kさん!

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