質疑応答:自助努力を促すモデル作り
ウッド:私はこういう会場で、モチベーションがとても上がりますね。それに問題を解決したり、人脈を構築していったり、スポンサーになってもらったりということがすべてモチベーションにつながります。正常な心理状態を維持するために、ほかにも二つのことを心がけています。一つは運動です。これは絶対に妥協しません。毎日、必ずスケジュールのなかに、運動する時間を組み込んでいます。二つ目の方法は、夜の9時以降はルーム・トゥ・リードの話はしないことです。24時間365日、ルーム・トゥ・リードのことばかり考える状態はやっぱり良くない。本の話をしたり音楽を聴いて、リラックスしたいわけです。
会場:現地の人にすべてを任せているということですが、現地スタッフとの意見や考え方、方向性の食い違いは、これまで無かったのでしょうか。世界には色々な考え方をする人がいて、現地スタッフが必ずしも望む形ではないやり方をしようとしていたり、熱意を疑うようなこともあったかもしれませんが、そういう場合にどのように対処したのかお聞かせください。
ウッド:南アフリカでは立ち上げ当初、かなり早い段階で会計監査を行いました。その結果、不正が行われていたことが判明しました。そういった場合は、直ちに関係者を解任する必要があります。しかし、幸いなことにこういうケースは稀で、子供の教育を促進するという大きな目標に向かって、大変有能な方々がルーム・トゥ・リードに参加していただいています。バングラデシュでも、ネパールでも、ザンビアでも、現地スタッフの方々には、教育を広げていることが自国の貧困問題の最善の解決策だと、よくご理解いただいています。
会場:教育というのは、実際に子供たちに接する人が重要かと思いますが、発展途上国には子供たちをしっかりと教育できる先生がいるのか。あるいは子供たちは労働力なので、親が学校に通わせず働かせてしまうといった問題も発生するのではないかと思います。それらをジョンさんは、どのように解決しているのかを伺いたいです。
ウッド:素晴らしい質問有難うございます。まず学校設立のモデルについて、簡単に説明します。学校を設立する国の教育省や文部省との間に、「必ず設立した学校に教員を派遣すること」を確約するような契約を結びます。次に、学校を設立する地域の親に、無償で労働を提供してもらいます。例えば、建設にあたって土台を築いてもらったり、100ポンドの重さのセメントを山の上に運んでもらったりなど、教育に対してモチベーションを持っている地域にしか、学校を設立しません。東京チャプターに寄付していただき、ラオスに学校を設立していますが、その地域では、約3000世帯の方々にも、それぞれ100円ずつ寄付いただいているとのことです。これを“Challenge Grant”と呼んでいます。自助努力のない人に対しては、支援できないという考え方なのです。
会場:教育という分野で大きな貢献をされていますが、またゼロから新たに創り上げることになった場合に、何か関心のある領域はありますか。
ウッド:この世の中には果敢な意思決定を必要とするような、深刻な問題がたくさんあります。一例を挙げると、清潔な水の供給です。清潔な水がないということは、その地域の人々の健康被害につながるし、死亡率が非常に高まります。我々は非常にラッキーで、きれいな水があることが当たり前だと思っています。こういった深刻な課題がたくさんあるわけですが、いま私が関心を向けているのは、ルーム・トゥ・リードの活動をどんどん広げることです。子供たちに教育の機会を与えないことは、悲劇的です。6歳の子供が学校にいけないような状況は、倫理上、許し難いことです。一つ、ポジティブな動きとしては、ビル&メリンダ・ゲイツ財団という慈善基金団体がありますが、この団体が積極的に予防注射の実施を支援しています。もっともっと多くの億万長者が、こうした世の中の課題の解決に向けて、資金を拠出していただきたいと思っています。




