310万人に学習機会を提供
約束されたキャリアや裕福な暮らし、愛する恋人までをも手放したきっかけは、休暇で訪れたネパールでの体験だった。9年ぶりの長期休暇を取得し、かねてからの夢だった3週間のヒマラヤ・トレッキングの最中、ひょんなことからネパール人男性に出会い、500人の児童を抱える学校を訪問。案内された図書館には、バックパッカーが置いていった本がたった数冊あるだけだった。
衝撃を受けたウッド氏は、すぐに仲間にメールで呼びかけ、数千冊を集めると、数カ月後に学校を再訪。「学校の校長の『次に来るときは、本をたくさん抱えて帰ってきてください』という言葉が私の人生を大きく変えた」と話す。

食い入るように本に夢中になる子供たち。一人の教師は、目を潤ませ、両手をとって感謝の気持ちを伝えてくれた。世界には、同じように本や教育を待っている子供たちが3億人以上いる。悩みぬいたウッド氏は、マイクロソフトを退職。「自分の人生をこの活動に捧げる決心をしました。1000万人の子供たちに本と教育を提供することを目標にしたんです」。
1999年末、NGO「ルーム・トゥ・リード(RTR)」を設立。2008年12月31日現在、7,040の図書館および図書室を開設し、765校の学校を建設。恩恵を受けた子供たちの数は約310万人に上る。2008年には、4時間に1カ所図書館を、1.5日に1校の学校を新設した計算になる。わずか10年の間にこれだけの規模にまで拡大できたのは、ケロッグやマイクロソフトでビジネスパーソンとして学んだ経営手腕が生かされているからだ。




