日本発、ハンガーマップを緑に塗り替える未来
順風満帆に見えるTABLE FOR TWOではあるが、「まだまだ苦労は尽きない」と、小暮氏は打ち明ける。「ここまで大変とは聞いていなかった」と冗談半分に、ぼやいて見せることもある。
キリスト教の寄付文化があり、社会貢献活動に係る税制も手厚い米国などと比べると、寄付に対する意識基盤、税制基盤の薄い日本において、社会貢献を目指す組織のスタートアップ時の運営にかかるカネのやりくりは、大きなボトルネックになっている。事業が、ある程度まで軌道に乗った後、組織を規模化させるための株式市場に変わる機能も存在しないため、その活動の進展は遅々とした歩みに陥りやすい。
他の追従を許さぬスピードで参加企業を増やしているTABLE FOR TWOですら、「寄付総額の1割を運営費とさせてもらっているが、今の規模では全くの赤字」(小暮氏)。運営費には、発起人の近藤氏ほかTABLE FOR TWOの理事がポケットマネーから出し合った基金を食い潰している状況だ。小暮氏は、「寄付総額が数億円の規模に達しないと、損益分岐を超えない」と言い、設立3年の2010年での単年度黒字を目指していると話す。
寄付の額をスケールアップするための試みとして、最近では社員食堂のヘルシーメニューの導入に加え、レストランチェーンを展開する三國清三氏と共同でランチボックスを開発したり、有機食材の宅配ビジネスを手掛けるオイシックスを通じたカレーやベーグルを販売する試みも始めた。このほか今後は、企業からの賛助も募り、会員企業のCSR活動を側面支援するような取り組みも進めていくという。
しかし、「ここまで大変とは聞いていなかった」という、“ぼやき”とは裏腹に、小暮氏の表情は極めて明るい。その視線の先には、TABLE FOR TWOが「日本発のフィランソロピーのモデル」として世界展開され、真っ赤に塗られたハンガーマップが少しずつ、少しずつ、緑に変わっていく未来が映っている。その未来は決して絵空事ではなく、既にYGLのメンバーによってインドにTABLE FOR TWOのフランチャイジーが開設されており、アメリカやイギリスにおける拠点開設の目処も立っているという――。
* * *
今年9月。小暮氏は支援先の一つである、ルワンダを訪れた。
トウモロコシ粉をふかした粗末な給食を貪る子供たちの笑顔。熱心に勉強机に向かう姿。元気に手を挙げ、発言する声。「栄養失調のため、咳ばかりして集中力を保てなかった子らの成績が、給食のおかげで、どんどん上がっているんです」と、校長が嬉しそうに話す。

そこには、あの日、模造紙に書き連ねた「人の命に関わる仕事がしたい」、「自分のスキルを社会のために役立てたい」という想いが、確かな現実となって存在していた。(取材・構成:グロービス 社会起業家プロジェクト)
キリスト教の寄付文化があり、社会貢献活動に係る税制も手厚い米国などと比べると、寄付に対する意識基盤、税制基盤の薄い日本において、社会貢献を目指す組織のスタートアップ時の運営にかかるカネのやりくりは、大きなボトルネックになっている。事業が、ある程度まで軌道に乗った後、組織を規模化させるための株式市場に変わる機能も存在しないため、その活動の進展は遅々とした歩みに陥りやすい。
他の追従を許さぬスピードで参加企業を増やしているTABLE FOR TWOですら、「寄付総額の1割を運営費とさせてもらっているが、今の規模では全くの赤字」(小暮氏)。運営費には、発起人の近藤氏ほかTABLE FOR TWOの理事がポケットマネーから出し合った基金を食い潰している状況だ。小暮氏は、「寄付総額が数億円の規模に達しないと、損益分岐を超えない」と言い、設立3年の2010年での単年度黒字を目指していると話す。
寄付の額をスケールアップするための試みとして、最近では社員食堂のヘルシーメニューの導入に加え、レストランチェーンを展開する三國清三氏と共同でランチボックスを開発したり、有機食材の宅配ビジネスを手掛けるオイシックスを通じたカレーやベーグルを販売する試みも始めた。このほか今後は、企業からの賛助も募り、会員企業のCSR活動を側面支援するような取り組みも進めていくという。
しかし、「ここまで大変とは聞いていなかった」という、“ぼやき”とは裏腹に、小暮氏の表情は極めて明るい。その視線の先には、TABLE FOR TWOが「日本発のフィランソロピーのモデル」として世界展開され、真っ赤に塗られたハンガーマップが少しずつ、少しずつ、緑に変わっていく未来が映っている。その未来は決して絵空事ではなく、既にYGLのメンバーによってインドにTABLE FOR TWOのフランチャイジーが開設されており、アメリカやイギリスにおける拠点開設の目処も立っているという――。
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今年9月。小暮氏は支援先の一つである、ルワンダを訪れた。
トウモロコシ粉をふかした粗末な給食を貪る子供たちの笑顔。熱心に勉強机に向かう姿。元気に手を挙げ、発言する声。「栄養失調のため、咳ばかりして集中力を保てなかった子らの成績が、給食のおかげで、どんどん上がっているんです」と、校長が嬉しそうに話す。

そこには、あの日、模造紙に書き連ねた「人の命に関わる仕事がしたい」、「自分のスキルを社会のために役立てたい」という想いが、確かな現実となって存在していた。(取材・構成:グロービス 社会起業家プロジェクト)




