
ある若手の研修で、自分の意見を率直に発言した仲間に対して「KY……」とささやく声を耳にしました。しかし私は、「KY(空気が読めない)」という言葉に象徴される、その場の空気に敏感で場を乱すことに憶病な彼らに違和感を覚えました。
私達は長年、ビジネス組織の組織力の再生に尽力してきました。組織は生命体です。生きています。ですから、段階的に成長し、成長することで力を発揮していきます。その成長の最も重要なポイントは本音で話し合える関係づくりと、お互いの特性(強み弱み)を知ることです。
「空気を読む」には二通りの意味があります。一つは組織の成長段階の初期に発生する「様子見」の段階。もう一つは、成熟した段階になって発現されるチームのビジョンを優先し、個人の思考から抜け出し、チーム思考へと変化することによって起こる「阿吽の呼吸」と言われるものです。組織の成長を促進させるためには、まさにこの「KYの壁」を越え、二段階目の阿吽の呼吸に到達することが最重要テーマなのです。
「空気なんて読むな!本音で語り合えない人間関係の上に、本当に成長できるチームや組織なんて作れない」。私は思わず、叫んでしまいました。
以前、「11歳の肖像」という新聞の特集記事の中で、日本は「何でもあるけど夢がない」という言葉が掲載されていたのが、印象的でした。
また、2008年8月27日の朝日新聞「低い自己評価■自然体験の減少も影響か」という記事には、中学生の生活意識に関する調査として、「時には、私は役立たない人間だと思うことがある」という問いに、米国32%、中国25%、日本56%という回答を得たことが紹介されていました。この結果はショックであると同時に、なぜか腑に落ち感もありました。
彼らの多くは恐らく、個性を殺し、「空気を常に読みながら」出る杭にならないように生きてきました。いじめの対象にならないように。友達の輪からはみ出さないように。




