主力商品の発売中止にも関わらず低下しない株価の不思議
2003年12月、欧州から米国に広がったBSE(牛海綿状脳症)の影響により、米国産牛肉の輸入が禁止となった。牛丼大手の中で、この影響を最も強く受けたのは最大手の吉野家である。同社は、牛丼の材料となる牛肉を99%米国からの輸入に頼っていたからだ。競合の中にはオーストラリアなどに調達先を切り替えるところもあったが、吉野家では、品質やコストなどを検討した結果、そうした切り替えはほぼ不可能と判断した。その後、2004年2月にはついに吉野家の米国産牛肉の在庫が尽き、牛丼はメニューから消えた。無論、牛丼の販売中止によって吉野家の業績は大幅な赤字となった。
さて、今回、議論していくこととなる「株価」は、理論的には以下の数式で求められる。
株価=(企業価値-有利子負債)/発行済み株式数
なお、
企業価値=Σ(フリーキャッシュフローn/(1+WACC)^n)
フリーキャッシュフロー=金利・税金控除前利益X(1-税率)+減価償却費-投資-運転資本増加額
である(WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)の算式は後述する)。
この算式に基づけば、「業績の大幅な悪化→フリーキャッシュフローの減少→企業価値の低下→株価の大幅下落」となるはずである。ところが吉野家の株価はさほど低下しなかった。
当時の新聞報道などから考えると、2004年半ばまでは、吉野家もそして世間(投資家)も、米国産牛肉の輸入は早期に再開されると読んでいたふしがある。直近の収益が大幅赤字となったとしても輸入が早々に再開されれば中長期的なキャッシュフローはあまり大きな影響を受けない。そう考えれば、吉野家の企業価値は大きくは減価しないことになり、したがってこの時期に株価がさほど低下しなかったことの説明もつく。
しかし、2004年中旬を過ぎるにつれ、米国産牛肉輸入再開のめどは怪しくなっていった。こうなると吉野家の中長期的なキャッシュフローも大きな打撃をうけることになる。ところが、その後も吉野 家の株価は大きく低下する傾向を見せなかったのである。なぜ、こうした不思議なことが起こったのだろうか?
さて、今回、議論していくこととなる「株価」は、理論的には以下の数式で求められる。
株価=(企業価値-有利子負債)/発行済み株式数
なお、
企業価値=Σ(フリーキャッシュフローn/(1+WACC)^n)
フリーキャッシュフロー=金利・税金控除前利益X(1-税率)+減価償却費-投資-運転資本増加額
である(WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)の算式は後述する)。
この算式に基づけば、「業績の大幅な悪化→フリーキャッシュフローの減少→企業価値の低下→株価の大幅下落」となるはずである。ところが吉野家の株価はさほど低下しなかった。
当時の新聞報道などから考えると、2004年半ばまでは、吉野家もそして世間(投資家)も、米国産牛肉の輸入は早期に再開されると読んでいたふしがある。直近の収益が大幅赤字となったとしても輸入が早々に再開されれば中長期的なキャッシュフローはあまり大きな影響を受けない。そう考えれば、吉野家の企業価値は大きくは減価しないことになり、したがってこの時期に株価がさほど低下しなかったことの説明もつく。
しかし、2004年中旬を過ぎるにつれ、米国産牛肉輸入再開のめどは怪しくなっていった。こうなると吉野家の中長期的なキャッシュフローも大きな打撃をうけることになる。ところが、その後も吉野 家の株価は大きく低下する傾向を見せなかったのである。なぜ、こうした不思議なことが起こったのだろうか?




