G1サミット2012目次ページはこちら
パネリスト:
加藤嘉一 北京大学 研究員 英フィナンシャルタイムズ中国語版 コラムニスト
近藤誠一 文化庁 長官
四方敬之 内閣総理大臣官邸 内閣副広報官
土屋聡 世界経済フォーラム(World Economic Forum) 日本代表
モデレーター:
田中慎一 フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 代表取締役社長
パネリスト:
加藤嘉一 北京大学 研究員 英フィナンシャルタイムズ中国語版 コラムニスト
近藤誠一 文化庁 長官
四方敬之 内閣総理大臣官邸 内閣副広報官
土屋聡 世界経済フォーラム(World Economic Forum) 日本代表
モデレーター:
田中慎一 フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 代表取締役社長
有事にも目的、意図、戦略のある発信ができるかが問われている(田中)
田中慎一氏
本セッションは発信力がテーマになります。それぞれの分野で素晴らしい活躍をされているパネリストにお集まりいただきました。ただし、今日は壇上からプレゼンテーションをしてから質疑応答に入るというだけの形ではなく、より参加型の形式で進めていきたく考えています。
本会場にお集まりいただいた皆さんは、なんらかの形で発信力というものにご興味がある方々と思います。ですから今日は、まず皆さんのほうから発信していただきましょう。たとえば(会場を見渡して)…、浜田(吉司・マスヤグループ本社代表取締役社長)さん、今回のテーマに関連して日頃から感じていらっしゃる課題、あるいは本セッションへの期待など、何かありますでしょうか
浜田吉司氏:今回のG1サミットでは「日本が危機的状況にあるからこそ、積極的に日本の良さを発信していこう」といったトーンを強く感じています。ですから今日はその辺をご一緒に考えていきたいと思っています。
田中:ありがとうございます。「日本の良さを発信していこう」と。そういえばコミュニケーションに関して日本人というのはどこか自己否定的な部分があります。今日の早朝、壇上の5人でセッションに向けた打ち合わせを行ったのですが、そこでもやはり「日本は少し自己否定的じゃないかな」といったご指摘がありましたね。これについて「コミュニケーション音痴なのでは?」といった指摘もこれまでは随分なされてきました。しかし私たちとしては「実際はそうじゃないんだよ」と。打ち合わせでは、むしろ日本人として持っているコミュニケーション能力を正しく認識すべきではないかといった見方もありました。今日はそういった部分についても議論出来るセッションになれば良いと思います。(会場を見渡して)田久保(善彦・グロービス経営大学院副研究科長)さんはいかがでしょう。何を期待されますか?
田久保善彦氏:今のご指摘と近いかもしれませんが、個人的には「今ほど日本の力が試されている時代はないな」と思っています。ですから私としてはこの国の力を次世代にきちんと引き継いでいくための、あるいは残していくためのひとつの柱が、きちんとコミュニケーションをして世界に何かを発信することでもあると思っています。今日はぜひそんな視点で勉強させていただければと思っておりました。
田中:ありがとうございます。「日本が試されている」。これは本セッションの大きなテーマです。危機的状況でこそ力が試される。今回の震災で日本は試されている訳です。ではその危機下でどんな発信力をつけていくべきなのか。ここについてぜひ皆さんと議論していきたいと思います。では(会場を見渡して)神保(謙・慶應義塾大学総合政策学部准教授)さんはいかがでしょうか?
神保謙氏:今回のテーマはまさに時期を得ていると感じます。私が期待したいのは世界の人々が日本をゲートウェイにしたとき、何か大きなバリューを得ることが出来るような発信力に関する議論です。中国にせよアジアにせよ、日本を通すことですごく立体的に見えてくるような、そんな発信力ですね。かつては「日本がよく分からない」と言われ、だからその分からない日本をどう説明するかという感じでした。しかしこれからはもう“攻めの発信力”といったアプローチで考えていくべきではないのかなと感じています。
田中:ありがとうございます。「立ち位置をつくる」あるいは「ポジショニングを図る」ということですね。発信力を高めるために、まずこちらから相手に向けてどういったバリューを提供出来るかという考えを持つことも大変重要になります。ですから今日の議論では、「日本が世界に対して提供出来るバリューって何なのだろう」という部分も大きなテーマになってくるかと思います。
本セッションはこのように双方向性で進めたいと思っていますので、会場の皆さんも対話にどんどん参加してください。ただし冒頭で何点か、私のほうから本セッションの方向性について少しお話をさせてください。そのあとパネリストの方々による自己紹介を含めたお話に移りたいと思います。
私からは3点。まず、「発信すること」と「発信力を持つこと」は違うという点を踏まえた議論にしていきましょう。発信は誰にでも出来ます。しかし発信力というのは意図と目的、そして戦略を持って発信する力です。発信を力に変えるため、どんな意図、どんな目的、そしてどんな戦略を立てていくかが重要になります。目的、意図、戦略のない単なる発信はむしろ危険です。自分が発信しているものは、その99%が誤解されるか曲解されるかという、そういう時代に私たちは生きているという認識をするのも重要と言えるのではないでしょうか。
続いて2点目。日本はまさに昨年の3.11で有事の事態となりました。しかし平時か有事かと考えると、現在はすでに365日が有事なんですね。では「有事って何?」というと、これは想定外の事態が発生することです。つまり我々は現在、想定外の状況でも目的と意図、そして戦略のある発信が出来るかどうかを問われているということだと考えています。
これ、平時のときは結構出来るんです。ところが有事というのは想定外ですから、まるっきり違う状況になっている。これはなにも日本の問題だけではないと思います。世界全体があらゆる想定外の事態に直面しています。そのなかでどういった形で発信力を持つかが大切ということですね。
そして3点目。皆さんはリーダーでいらっしゃいますよね。想定外の事態でも組織として発信力を持つためには、リーダーの役割が大変重要になります。リーダー自身の発信力も大切なポイントですね。ただし有事または想定外の環境では、リーダーというのは必ず“素人”になります。想定内であれば自身の経験や知見で対応出来る。しかしそれが一気に想定外になるとどうなるか。リーダーも含め全員が素人になる訳です。ではそのときに、どんなことを心掛けていなければいけないのか。さらに言えば、そのために平時はどういった準備をしていなければいけないのか。
以上のような方向性のなかで、今日はリーダーである皆さんと一緒に考えていきたいと思います。日頃からどんなことを心掛け、準備しなければいけないのか。本セッションのなかからそういった問いに対する答えを何かの形で持ち帰っていただければと思っております。
ではパネリストの皆さんからお話を伺っていきましょう。まずは発信力というものについて考えたとき、3.11ではどんなところに問題があったのか。こちらについて、自己紹介もしていただきつつそれぞれ伺っていきたいと思います。では加藤さんからお願い出来ますでしょうか。特に加藤さんには中国という視点で面白いお話を伺えるのではないかなと思っております。




