パネリスト:カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏
パネリスト:株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道氏
ファシリテーター:グロービス経営大学院 松林博文氏
ちょっと気になるこだわりの店を方々で出店しつづけるSoup Stock Tokyo とカフェ・カンパニー。人気を誇る、オリジナリティ溢れる魅力的な店舗の源は何なのだろうか。
Soup Stock Tokyoの遠山氏は、意義深く想いが詰まったビジネスあれば、始める時は少し不況なぐらいでちょうどいいぐらいだと言う。求める理想が決まっていれば、たとえ最初はうまく行かなくても解決策はあとからついてくるというのだ。
一方、カフェ・カンパニーの楠本氏は、ピュアに、皆に伝えたいと思うことを自分の中に満ちあふれさせることが最も大切であり、自分の役割を心から感じることができさえすれば、儲けはともかくやり続けることが肝心だと説く。
二人の献身的な仕事術の底辺には、自分の仕事へのこだわりと熱い想いがある。どうすれば、その想いを見つけ、育て、生涯の仕事としていけるのか。二人が気さくに語る決して平坦ではなかったこれまでの道のりや常識にとらわれない発想法は、私達が自分の天職を見出すヒントに溢れている。
パネリスト:株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道氏
ファシリテーター:グロービス経営大学院 松林博文氏
ちょっと気になるこだわりの店を方々で出店しつづけるSoup Stock Tokyo とカフェ・カンパニー。人気を誇る、オリジナリティ溢れる魅力的な店舗の源は何なのだろうか。
Soup Stock Tokyoの遠山氏は、意義深く想いが詰まったビジネスあれば、始める時は少し不況なぐらいでちょうどいいぐらいだと言う。求める理想が決まっていれば、たとえ最初はうまく行かなくても解決策はあとからついてくるというのだ。
一方、カフェ・カンパニーの楠本氏は、ピュアに、皆に伝えたいと思うことを自分の中に満ちあふれさせることが最も大切であり、自分の役割を心から感じることができさえすれば、儲けはともかくやり続けることが肝心だと説く。
二人の献身的な仕事術の底辺には、自分の仕事へのこだわりと熱い想いがある。どうすれば、その想いを見つけ、育て、生涯の仕事としていけるのか。二人が気さくに語る決して平坦ではなかったこれまでの道のりや常識にとらわれない発想法は、私達が自分の天職を見出すヒントに溢れている。
日本版「サード・プレイス」をつくりたくて(楠本)
楠本修二郎氏
楠本:皆さんおはようございます。私がカフェ・カンパニーという会社を設立したのは2001年のことです。飲食店自体をはじめたのは1995年でした。渋谷と原宿のあいだに「キャットストリート」という一角があるのですが、そこにいろいろなカフェをつくって場所の力を上げて、地域の活性化をしようとしていたのがそもそものはじまりです。他にも当時、東急東横線高架下の渋谷3丁目地区の地域活性化プランとしてカフェを提案していました。そうこうしているうちに、「実際にやってみろ」ということになりまして、自分で運営をしているうちに現在の事業を手掛けるまでになりました。カフェ・カンパニーという社名の“カフェCAFE”は、ここでは「Community Access For Everyone」を指します。単なるコーヒーショップではなく、人が集まるところ、つまり “格好良い街の食堂”をつくろうとしたのが原点になっています。
弊社のカフェ直営店事業というのは、“コミュニティ”を企画・運営すること、つまり地域コミュニティをつくっていく仕事です。ですからカフェ事業を中心にしながらも、音楽事業や土地開発のコンサルティング、プロデュース事業も手掛けています。オフィスやマンションを設計して、そこをカフェ化、つまりコミュニティ化しているのです。最近では他社さんとのコラボレーションによるカフェも増えてきました。

「街の風景をつくって感性豊かなライフスタイルを創造し、みずみずしい情緒感あふれる地域社会を実現していく」。弊社の経営理念は、いわば“カフェのある風景”をつくろうというものです。僕がこの会社を創業した1997〜1998年頃は、どちらかといえばインターネット上のコミュニティが増えていた時期でした。でも僕はへそ曲がりなので、「現実の場所が“ワイヤレス”でいいのだろうか?」という気持ちを持ちつづけていました。ネット上のコミュニティが普及すればするほど、リアルな場所としてのコミュニティが必要になってくるだろうと考えていたのです。それこそがカフェであり、そこは“ワイヤレス”ではなく“ワイアード”なのだと。こうしてリアルな“つながり”を形成するような事業を展開していくことになりました。
自分自身で読むのは恥ずかしいのですが(笑)、「しあわせな人生の真ん中にCAFE がある。」というコンセプトを掲げて取り組んでいます。一生続ける仕事ですから、なにかこう、「自分という人間はこうだ」と自然に思えるようなものにしたかった。つまり、あえて「自分が、自分が」と言うまでもなく、自分自身がおのずと滲みでていると感じられるようなことを仕事にしたかったのです。そう思ってつくったのが、このコンセプトです。
弊社ではまた「サード・プレイス」という言葉をキーワードにしています。レイ・オールデンバーグという社会学者が提唱した考え方で、家でもない職場でもない「第3の場所」という意味です。たとえばロンドンではパブ、パリではカフェ、イタリアではバールといったように、成熟した社会は「サード・プレイス」を必要とします。スターバックスの創業者・ハワード・シュルツが、「アメリカにはサード・プレイスがないから“アメリカ版サード・プレイスをつくる”」と言ってスターバックスを創業したのは有名な話です。
その日本版と大きく構えるまではいきませんが、僕も日本らしいサード・プレイスをつくりたかった。ただ、自分としては「家でもなく職場でもない」ではなく、「家でもあり職場でもある」場所をつくりたいと思いました。
「カフェは縁側なんです」。これは、日本版サード・プレイスを考えた時の自分なりの答えであり解釈です。僕は昭和39年生まれですから、どうしてもサザエさんの風景、タラちゃんがいてサザエさんがいて、という昭和的縁側の風景のような、人と人との出合い、交流の場を思い浮かべてしまうのです(笑)。つまり、真正面で向かい合って名刺交換しながら挨拶するのとは異なる、もっと自然発生的なあいまいな出会いの場をつくりたいと思ったのです。
事業を行うにあたっては、「感性」を大切にしています。社員にはいつも「世界の流れを感じ取ろう。ライフスタイルを“想像”して“創造”しよう」と言っています。空想できなければ、本当の創造はできないからです。具体的に細かいところをイメージできるかどうか、その「感性」が非常に重要だということです。日頃から街や人に目を凝らしているか、商品や設計、BGMなどの細かい部分にまで気がついているか。それがお客様の気持ちを感じ取る仕事にもつながります。たとえばお客様に手をあげさせることなくオーダーをとる、そんなことにも通じるのです。
もちろん事業ですから、「感性」とともに「科学」が両輪のひとつになっていることが重要です。ここでいう「科学」とは、言い替えればフレームワークのことです。つまり経営理念を具体的な戦略に展開する力、現状を分析する力、日や週単位でのアクションを計画的に立案する力、そういったもの、つまり感性を育てていくためのしくみです。




