パネリスト:
川嶋諭 株式会社日本ビジネスプレス JBpress編集長
徳力基彦 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 代表取締役社長
藤井一 ダイヤモンド社 「週刊ダイヤモンド」副編集長
ファシリテーター:
川上慎市郎 グロービス経営大学院 教員(ファシリテーター)
メディア崩壊――。そんな見出しが躍る雑誌を見かけることが多くなった。不景気による広告収入の減少や、ネット化の中による読者の紙離れ。逆風の中歩む既存メディアは、新しいビジネスモデルを創れず苦しむ。一方でツイッターなどソーシャルメディアの登場は、新たなメディアの在り方さえ感じさせる。これからメディアはどこへ向かい、権力監視と世論形成の機能を担う大文字の「ジャーナリズム」は、ネット環境下でどのような形で花開くのか。
日経ビジネスで20年以上記者を務め、オンラインメディア「JBpress」を立ち上げた川嶋諭氏は「メディアがネット社会に対応して、質の高いコンテンツを供給していかなければ、日本人の知的レベルが落ちる」と国民の資産としてのコンテンツの価値を指摘し、「既存メディアは権力監視という機能を持つが、メディアの監視はオンラインメディアが担うべき。既存メディアからこぼれおちる情報もすくいあげる必要がある」と話した。
アルファブロガーでネットマーケティング会社の代表も務める徳力基彦氏は「日本は1日のニュースに一喜一憂する。ニュースの裏側を知ろうとしない」といびつな日本のメディア環境を指摘。「ツイッターやブログなど新たなプラットフォームが生まれ、メディアに対してカウンターの意見が言えるようになった。マスメディアとソーシャルメディアのうねりが重なり合って、より理性的で、より建設的な議論の流れが創られる可能性は高い」と既存メディアの一定の役割を認めながら、ソーシャルメディアも含めた新しいエコシステムが生まれることに期待を寄せる。
週刊ダイヤモンドの藤井一副編集長は「情報を得て、仮説を立て、検証し、取材を重ねてそれを修正し、記事を書くプロフェッショナル」とプロフェッショナルとしてのジャーナリストの価値を強調。「朝日新聞や週刊ダイヤモンドがツイッターやブログで情報発信するよりも、取材の一連のプロセスにツイッタ―やブログを利用することが一番近道」とあくまで既存メディアを中心としたジャーナリズムのあり方を主張した。
様々なパラダイムシフトが押し寄せ、歴史的転換点を迎えているメディア業界。混迷深まる中、明日の健全なジャーナリズムを担おうとするパネリストの気概に、新たな時代の胎動を感じた。
川嶋諭 株式会社日本ビジネスプレス JBpress編集長
徳力基彦 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 代表取締役社長
藤井一 ダイヤモンド社 「週刊ダイヤモンド」副編集長
ファシリテーター:
川上慎市郎 グロービス経営大学院 教員(ファシリテーター)
メディア崩壊――。そんな見出しが躍る雑誌を見かけることが多くなった。不景気による広告収入の減少や、ネット化の中による読者の紙離れ。逆風の中歩む既存メディアは、新しいビジネスモデルを創れず苦しむ。一方でツイッターなどソーシャルメディアの登場は、新たなメディアの在り方さえ感じさせる。これからメディアはどこへ向かい、権力監視と世論形成の機能を担う大文字の「ジャーナリズム」は、ネット環境下でどのような形で花開くのか。
日経ビジネスで20年以上記者を務め、オンラインメディア「JBpress」を立ち上げた川嶋諭氏は「メディアがネット社会に対応して、質の高いコンテンツを供給していかなければ、日本人の知的レベルが落ちる」と国民の資産としてのコンテンツの価値を指摘し、「既存メディアは権力監視という機能を持つが、メディアの監視はオンラインメディアが担うべき。既存メディアからこぼれおちる情報もすくいあげる必要がある」と話した。
アルファブロガーでネットマーケティング会社の代表も務める徳力基彦氏は「日本は1日のニュースに一喜一憂する。ニュースの裏側を知ろうとしない」といびつな日本のメディア環境を指摘。「ツイッターやブログなど新たなプラットフォームが生まれ、メディアに対してカウンターの意見が言えるようになった。マスメディアとソーシャルメディアのうねりが重なり合って、より理性的で、より建設的な議論の流れが創られる可能性は高い」と既存メディアの一定の役割を認めながら、ソーシャルメディアも含めた新しいエコシステムが生まれることに期待を寄せる。
週刊ダイヤモンドの藤井一副編集長は「情報を得て、仮説を立て、検証し、取材を重ねてそれを修正し、記事を書くプロフェッショナル」とプロフェッショナルとしてのジャーナリストの価値を強調。「朝日新聞や週刊ダイヤモンドがツイッターやブログで情報発信するよりも、取材の一連のプロセスにツイッタ―やブログを利用することが一番近道」とあくまで既存メディアを中心としたジャーナリズムのあり方を主張した。
様々なパラダイムシフトが押し寄せ、歴史的転換点を迎えているメディア業界。混迷深まる中、明日の健全なジャーナリズムを担おうとするパネリストの気概に、新たな時代の胎動を感じた。
新時代のメディアを志向するパネリストたち
川嶋:私はもともと「日経ビジネス」などを発行している日経BP社という会社にいました。そこで川上君と一緒に働いたことがあります。元々は「日経メカニカル」という機械系の雑誌からスタートしたんですけれども、その後、日経ビジネスの記者などを20年余りやっていました。
そのころはまだ日本のメディアも元気でした。日経ビジネスもほかの雑誌の先手を打って紙からネットへ変えようという先進的な動きがあり、幾人かで「日経ビジネスオンライン」を立ち上げました。景気の良い時期だったので、採算は初年度でほぼトントン、2年目は十分利益の出る媒体になり、成功を遂げました。
そんな折に、紙媒体に戻らなければならない状況になったのですが、「オンラインビジネスをもっとやってみたい」という気持ちが強くなったときだったので、思い切って日経ビジネスを飛び出して、2年前に日本ビジネスプレスを設立。そして1年半前に「JBpress」というウェブ媒体を立ち上げました。日経ビジネスで行っていたことに加えて、長年メディアに携わってきた中で、何か足りないものがあると感じたことを実現するのが立ち上げの趣旨です。
徳力:私はメディアのプロでも何でもないので、プロに挟まれてとても緊張しています。もともとNTTで法人営業やIRに携わっていましたが、いろいろあって勢いで会社を飛び出しました。その後、コンサルティングファームを経て、アリエル・ネットワークというソフトウェア会社に転職して、マーケティングを担当しました。マーケティングの経験もないのに、10人しかいないベンチャー企業でマーケティングを担ったので、めちゃくちゃ苦労しました。
本当にここでクビを切られたら自分の人生が終わるかもしれないというタイミングで、たまたまブログを書き始めました。ブログによっていろいろな人との出会いがあったり、仕事の考え方ががらりと変わり、何とか生き残ることができました。その関係で、ブログみたいなもの、今はソーシャルメディアという用語で括られますが、個人でもメディアを持てる時代になったことを、身をもって実感しました。
ブログを書いていたおかげで、コラム執筆の仕事が舞い込んだり、本を出せるようになりました。それまで私のイメージでは、メディアというものはメディア企業に入った人たちがやるもので、一般人でそういうことができるとしたら、社長になってから引退して著書を出すというイメージしかありませんでした。自分のような経験がほとんどない人間が、メディアに登場できることにはまって、ブログにかなり傾倒しました。
メディアの素人ながら、メディアとは何だろうということを模索していって、今はブログを使ったマーケティングを行う会社で代表を務めています。この会社にも実は、最初はブロガーの1人として手伝い、なぜか社長になったという、数奇な人生です。今日はメディアのディスカッションなので、私自身は皆さんの話を聞けることを楽しみにしています。どちらかというとメディアの素人代表、ソーシャルメディア側の利用者代表として、議論に参加できればと思っています。
藤井:私は1987年にダイヤモンド社に入社しました。11カ月だけ書店営業、取次営業を経験しましたが、それ以外は「週刊ダイヤモンド」の編集に携わっています。週刊ダイヤモンドは日経ビジネスの競合雑誌でもありますが、ちょっと違う点があります。日経ビジネスは非常に予約購読が強く、自宅に届けてもらって読む雑誌ですが、週刊ダイヤモンドはそこまで予約が強くなく、会社に届けてもらって、会社の皆さんで回覧して読む雑誌なんです。
回覧率が非常に高いので、12万部しか売れてないんですが、実質的には30万から40万人ぐらいに読まれている雑誌であろうと思っています。そこで入社以来23年間、いろいろな業種を担当してきました、中でも通信回りと金融回りが長いです。今年の1月に、ツイッター特集を担当しました。この特集の反響が大きく、今回も呼んでいただいたという経緯です。
川上:藤井さんは最近転機があったんですよね。
藤井:ちょっと事情がありまして、会社を退社することになりました。まだ転職先が決まってないので、今日この後、身の振り方についていい話があれば、是非教えていただきたいと思います(会場笑)。
川上:なぜ我々がメディアに関する話をしなければいけないか。メディアは何がどう問題なのか、問題意識についてまず伺いたいと思います。
藤井:問題はこのセッションのタイトルに象徴されていますよね。「21世紀型メディアをつくろう!メディア再生で僕たちができること」となっています。これは「メディアの本来の役割がどういうことか」ということに関わっている。簡単に言うと、メディアが、より良い社会を実現するためにどうあるべきか。それがいま問われていると思います。このテーマ設定をしなければならないということ自体が、既存のメディアがその役割を果たしておらず、一方でソーシャルメディアのような存在に、期待が集まっていることの証左でしょう。
川上:今のメディアがきちっと役割を果たせていないという問題意識ですね。この点でメディアからはちょっと離れている徳力さんに伺いたい。マーケティングサイドから見ていて、やはりそういう不安が一般の人たちにあるのでしょうか。




