「Just Giving」が照らすNPOの新しい可能性(佐藤)
佐藤:沢山ご質問頂いたので、答えたい質問と難しいと思う質問の両方あります。概ね反論はありません。税額控除と所得控除が違うという話は、その通りだと思います。税額控除になったら、寄付金が増えるかもしれない。もちろんそれを狙って、そこに手をつけていきたいと思っておりますので、まったく同感です。どちらにせよ、NPO自身が頑張らないとダメだという僕の考えは変わりません。NPOを運営する者としても、寄付者に対する満足度向上は取り組んでいかねばならないと思います。
誰でも関われるNPO支援というか、支援という言葉はもはや古くて、一緒にやりましょうよという感覚のほうが実はしっくりくるんですが、企業も個人もNPOも政府もみんな、世の中の問題を解決するという点においては、共通しています。それを踏まえて、こんなかかわり方もあるということを、一つご紹介しておきます。
国内のNPO法人、3万9000のうちの6000団体ぐらいに直接会ったという話をしました。なぜそうしたかというと、NPOの評価をするため、ベストソリューションを見つけるためだったんです。ベストなものを見つければ、それを宣伝しておけばボトムが上がり、アベレージがどんどん上がっていく。そういう狙いがあったんですけど、いくつか見つかったものの、ボロボロ出てくるという感覚ではありませんでした。
国内のリサーチはもう十分やりました。チャリティの世界の先進国はアメリカとイギリスなので、世界に目を向けてみようと思ってリサーチを始めました。ベスト・アンド・ブライテストはどこにあるかと思って調べたところ、一つ見つけたのがイギリスにある「JustGiving」という団体でした。これを紹介させていただきます。
チャレンジャーは、皆さんご自身です。宮城さんがチャレンジャーだとしましょう。どのNPOを応援するかは、宮城さんご自身が決められます。どこでも結構です。ただしテロ支援組織とか、暴力団が関わっているというのはまずいので、私どもが評価した団体のみにします。ただ基準はそんなに厳しくありません。概ねOKです。
自分で選んで、1団体を決めていいです。応援の仕方は、直接寄付をするというやり方はもちろんいいんですが、寄付には限界がありますから、例えばマラソンを頑張るというように、しんどいことにチャレンジするわけです。ダイエットするということでも結構です。禁煙するということでも構いません。そういうことを宣言して、友人に伝えるんですね。「実は自分の母が倒れて、要介護者になった。そのときに大変お世話になったNPOがある。どうしてもここを応援したい。自分のお金には限界があるし、能力にも限界があるから、みんなの力を借りたいんだ。タダでは頼まない。僕はフルマラソンにチャレンジするから、ちょっと一口乗ってくれないか」と。
正直いってサポーターの友人・知人は、その介護系NPOについては、あまり興味がないかもしれません。しかし、宮城君に頼まれたら断れないという関係性はあるかもしれないんですね。それで「いいよ。頑張って」と、1口500円とか1000円とか、小口のお金が集まってくる。宮城君は、その全額をNPOに寄付する。こんな仕組みのNPOを立ち上げたわけなんです。
NPOのソリューションの一つとして、これは決定打だと思いました。僕自身も経験がありますけれども、「寄付してください」と言われてもちょっと抵抗を感じます。正直言って「うわ、嫌だな。頼まれちゃった。どうしよう」と思うわけなんですけれども、「俺、マラソン出るから、応援してくれ」といったメールが来ると、楽しみながら1口協力してやるかと、ポジティブな感じになります。地球が危ないからとか、この子が可哀想だからとか、知りたくないものを知ってしまったというような、僕自身そういう感覚になるんですね。大変なのは分かるけど、悲しい現実を見せるよりも、ハッピーな未来を見せたほうが、乗りやすいという感覚があります。
イギリスで生まれたもので、だいたい10年やっているんですが、国民が日本の半分、6000万人しかいないのに、1000万人がすでに関わっている。金額にして1ポンド160円ぐらいで計算すると、1年間で300億円ぐらい集めるインターネット会社になっているわけなんです。
面白い例として、ハイチの地震があった時に、7歳の少年が、「僕が自転車で一生懸命自宅の周りをぐるぐる走るから、募金をしてよ」と呼びかけたんですね。そうしたら、なんと1ヶ月で3000万円集まった。もちろんメディアに取り上げられたことが大きいんですけれども、そういった例が出てきています。
ということもあって、日本で「JUSTGIVINGJAPAN」を3月9日にスタートしました。始まったばかりですが、早速いろんな人がチャリティ目的でチャレンジをしています。元プロ野球選手の古田敦也さんや、元マラソン選手の有森裕子さんにも協力いただいています。古田さんは、もともとフリーターやニートの自立支援のNPOとご縁があり、そこを応援するために、人生初のトライアスロンに出るということで、毎日練習されている。
そういう仕掛けをこれから展開していきたいんです。もはや企業の人、NPOの人、政府の人といったように、分かれていない。みんなが関わる方法がある。しかも簡単に、あまり労力を掛けずに関わる方法があるということを申し添えて、最後のご挨拶にしたいと思います。
藤沢:有り難うございました。この会の参加者の方で、マラソンやトライアスロンをやっている方は非常に多いですから、今日からでも登録していただいて、寄付集めに参加していただければと思います。
佐藤:NPOが頑張らないといけないですね。自分のために走ってくださいということを、NPOが頑張って訴えていかないといけないということです。
藤沢:なるほど。最後に私が感じたことを申し上げます。NPOという言葉で議論を始めることの問題を感じました。これはとても古い器だったなと。非常に古い器で議論するので、何となく議論が分かりにくくなってしまう。細かなところに向かっていってしまう。
でも実際に皆様の話、ご意見を伺っていて思うのは、いま求められているものは確実にあるということ。官はできない、民はできないことを超えて、一人ひとりの個人が「おかしい」と思っていることに対して、行動を起こしたいし、起こせる時代がやってきたにもかかわらず、その受け皿がいまいち見えないという中で、社会起業家やNPOがある。また企業の側でも本業を通じて社会貢献している、というものもポツポツ出てきて、それがまだ点の状態で面になっていない。そこをNPOといった昔の言葉で括ろうとするから、分かりにくくなっているかもしれない。今日議論しながら、そう感じていたんですね。そしてそういうものを改めて考えたときに、あまり器の論議はあまり必要ないのかなと、若干思いました。
ただ、その器の論議を別にしたとしても、それぞれの担い手になれる人は沢山いて、非常に面白いと思ったのは、営利企業も十分、そのプレイヤーになり得ることを、いろんな観点から感じさせていただいたんです。志や共感があれば、1週間で子どもでも3000万円集められるわけです。それは企業にも、ヒントになりますよね。お客様のニーズというものの組み方を間違えていたんじゃないかと。お客さんがもっと便利に、もっと楽になったらいいと思ってサービスをしていたんだけれど、違う観点があるんじゃないかと提示を頂いたような気もします。
NPO的になかなか受益者からお金をいただけないというところで活動する人にとっては、逆に企業がやっているようなお客様に対する説明とか、評価の仕方とか、どうやってあなたのお金が使われていて、どれくらい社会的にインパクトを与えたのかという説明といったものが必要です。日本の中での知恵の交流というか、貸し借りが非常に求められていて、今日はその議論をNPOという形のほうからする機会になったのかなと思います。
議論の中で出てきていた税制の問題や、活動に対してお金を出すにあたって評価システムをどうするのかといったものの個別の議論は、やはり重要になってくるのでしょう。それはさらにG1の中で、来年はさらに分科会で細かく議論を進められればと思います。皆さん一人ひとりの中で、何ができるか、どういう関わり方ができるかということを、お考えいただければ幸いです。この辺りで失礼したいと思います。
誰でも関われるNPO支援というか、支援という言葉はもはや古くて、一緒にやりましょうよという感覚のほうが実はしっくりくるんですが、企業も個人もNPOも政府もみんな、世の中の問題を解決するという点においては、共通しています。それを踏まえて、こんなかかわり方もあるということを、一つご紹介しておきます。
国内のNPO法人、3万9000のうちの6000団体ぐらいに直接会ったという話をしました。なぜそうしたかというと、NPOの評価をするため、ベストソリューションを見つけるためだったんです。ベストなものを見つければ、それを宣伝しておけばボトムが上がり、アベレージがどんどん上がっていく。そういう狙いがあったんですけど、いくつか見つかったものの、ボロボロ出てくるという感覚ではありませんでした。
国内のリサーチはもう十分やりました。チャリティの世界の先進国はアメリカとイギリスなので、世界に目を向けてみようと思ってリサーチを始めました。ベスト・アンド・ブライテストはどこにあるかと思って調べたところ、一つ見つけたのがイギリスにある「JustGiving」という団体でした。これを紹介させていただきます。
チャレンジャーは、皆さんご自身です。宮城さんがチャレンジャーだとしましょう。どのNPOを応援するかは、宮城さんご自身が決められます。どこでも結構です。ただしテロ支援組織とか、暴力団が関わっているというのはまずいので、私どもが評価した団体のみにします。ただ基準はそんなに厳しくありません。概ねOKです。
自分で選んで、1団体を決めていいです。応援の仕方は、直接寄付をするというやり方はもちろんいいんですが、寄付には限界がありますから、例えばマラソンを頑張るというように、しんどいことにチャレンジするわけです。ダイエットするということでも結構です。禁煙するということでも構いません。そういうことを宣言して、友人に伝えるんですね。「実は自分の母が倒れて、要介護者になった。そのときに大変お世話になったNPOがある。どうしてもここを応援したい。自分のお金には限界があるし、能力にも限界があるから、みんなの力を借りたいんだ。タダでは頼まない。僕はフルマラソンにチャレンジするから、ちょっと一口乗ってくれないか」と。
正直いってサポーターの友人・知人は、その介護系NPOについては、あまり興味がないかもしれません。しかし、宮城君に頼まれたら断れないという関係性はあるかもしれないんですね。それで「いいよ。頑張って」と、1口500円とか1000円とか、小口のお金が集まってくる。宮城君は、その全額をNPOに寄付する。こんな仕組みのNPOを立ち上げたわけなんです。
NPOのソリューションの一つとして、これは決定打だと思いました。僕自身も経験がありますけれども、「寄付してください」と言われてもちょっと抵抗を感じます。正直言って「うわ、嫌だな。頼まれちゃった。どうしよう」と思うわけなんですけれども、「俺、マラソン出るから、応援してくれ」といったメールが来ると、楽しみながら1口協力してやるかと、ポジティブな感じになります。地球が危ないからとか、この子が可哀想だからとか、知りたくないものを知ってしまったというような、僕自身そういう感覚になるんですね。大変なのは分かるけど、悲しい現実を見せるよりも、ハッピーな未来を見せたほうが、乗りやすいという感覚があります。
イギリスで生まれたもので、だいたい10年やっているんですが、国民が日本の半分、6000万人しかいないのに、1000万人がすでに関わっている。金額にして1ポンド160円ぐらいで計算すると、1年間で300億円ぐらい集めるインターネット会社になっているわけなんです。
面白い例として、ハイチの地震があった時に、7歳の少年が、「僕が自転車で一生懸命自宅の周りをぐるぐる走るから、募金をしてよ」と呼びかけたんですね。そうしたら、なんと1ヶ月で3000万円集まった。もちろんメディアに取り上げられたことが大きいんですけれども、そういった例が出てきています。
ということもあって、日本で「JUSTGIVINGJAPAN」を3月9日にスタートしました。始まったばかりですが、早速いろんな人がチャリティ目的でチャレンジをしています。元プロ野球選手の古田敦也さんや、元マラソン選手の有森裕子さんにも協力いただいています。古田さんは、もともとフリーターやニートの自立支援のNPOとご縁があり、そこを応援するために、人生初のトライアスロンに出るということで、毎日練習されている。
そういう仕掛けをこれから展開していきたいんです。もはや企業の人、NPOの人、政府の人といったように、分かれていない。みんなが関わる方法がある。しかも簡単に、あまり労力を掛けずに関わる方法があるということを申し添えて、最後のご挨拶にしたいと思います。
藤沢:有り難うございました。この会の参加者の方で、マラソンやトライアスロンをやっている方は非常に多いですから、今日からでも登録していただいて、寄付集めに参加していただければと思います。
佐藤:NPOが頑張らないといけないですね。自分のために走ってくださいということを、NPOが頑張って訴えていかないといけないということです。
藤沢:なるほど。最後に私が感じたことを申し上げます。NPOという言葉で議論を始めることの問題を感じました。これはとても古い器だったなと。非常に古い器で議論するので、何となく議論が分かりにくくなってしまう。細かなところに向かっていってしまう。
でも実際に皆様の話、ご意見を伺っていて思うのは、いま求められているものは確実にあるということ。官はできない、民はできないことを超えて、一人ひとりの個人が「おかしい」と思っていることに対して、行動を起こしたいし、起こせる時代がやってきたにもかかわらず、その受け皿がいまいち見えないという中で、社会起業家やNPOがある。また企業の側でも本業を通じて社会貢献している、というものもポツポツ出てきて、それがまだ点の状態で面になっていない。そこをNPOといった昔の言葉で括ろうとするから、分かりにくくなっているかもしれない。今日議論しながら、そう感じていたんですね。そしてそういうものを改めて考えたときに、あまり器の論議はあまり必要ないのかなと、若干思いました。
ただ、その器の論議を別にしたとしても、それぞれの担い手になれる人は沢山いて、非常に面白いと思ったのは、営利企業も十分、そのプレイヤーになり得ることを、いろんな観点から感じさせていただいたんです。志や共感があれば、1週間で子どもでも3000万円集められるわけです。それは企業にも、ヒントになりますよね。お客様のニーズというものの組み方を間違えていたんじゃないかと。お客さんがもっと便利に、もっと楽になったらいいと思ってサービスをしていたんだけれど、違う観点があるんじゃないかと提示を頂いたような気もします。
NPO的になかなか受益者からお金をいただけないというところで活動する人にとっては、逆に企業がやっているようなお客様に対する説明とか、評価の仕方とか、どうやってあなたのお金が使われていて、どれくらい社会的にインパクトを与えたのかという説明といったものが必要です。日本の中での知恵の交流というか、貸し借りが非常に求められていて、今日はその議論をNPOという形のほうからする機会になったのかなと思います。
議論の中で出てきていた税制の問題や、活動に対してお金を出すにあたって評価システムをどうするのかといったものの個別の議論は、やはり重要になってくるのでしょう。それはさらにG1の中で、来年はさらに分科会で細かく議論を進められればと思います。皆さん一人ひとりの中で、何ができるか、どういう関わり方ができるかということを、お考えいただければ幸いです。この辺りで失礼したいと思います。




