パネリスト:
猪子寿之 チームラボ株式会社 代表取締役社長
内海州人 キューエンタテインメント株式会社 代表取締役(CEO)
夏野剛 慶應義塾大学政策メディア研究科 特別招聘教授
ファシリテーター:
川上慎市郎 グロービス経営大学院 専任教員
猪子寿之 チームラボ株式会社 代表取締役社長
内海州人 キューエンタテインメント株式会社 代表取締役(CEO)
夏野剛 慶應義塾大学政策メディア研究科 特別招聘教授
ファシリテーター:
川上慎市郎 グロービス経営大学院 専任教員
ITベンチャーを生み出すプラットフォームでは世界で最も恵まれている(夏野)
夏野:昨年、11年間、務めたNTTドコモを離れました。その前は、実はベンチャー企業の立ち上げをしており、その会社が倒産したために仕方なくドコモに入りました(会場笑)。ベンチャーで成功していたら、iモードは生まれなかったかもしれません。どちらが良かったのか、今となってはよく分かりませんが、給料だけを考えればベンチャーの方が良かった、と、私の妻などは考えているかもしれません(笑)。
本日のテーマは、「日本発テクノロジーベンチャー創出の可能性」ということですが、まず私にとっての「ベンチャー」を改めて定義したいと思います。本日、お話しするような、技術や発想を源泉に実業を興していくベンチャーは、いわば本当のベンチャーです。それに対して、ただ金儲け、個人が財産を築く手段としてのベンチャーというのも世の中には存在します。とりわけ、iモードというプラットフォームを作った2000年代前半に、そうしたベンチャーを数多く見てきました。誤解を恐れずに言うなら詐欺まがいの会社も山ほどあったと思います。
ここでいう詐欺は法律上の違反行為ではありませんから、誰かが逮捕をされるというわけではありません。けれど私は、金儲けを一義的な目的とするような、これらベンチャーには大きな違和感を覚えます。背景には、マザーズをはじめとする新興市場の上場基準が、あまりにいい加減だったこと、それを投資家もまた、理解できていなかったという側面があります。残念なのは、その反動によって、今度は本当に優秀なベンチャーまで、上場してもまったく資金を調達できない状況が生まれてしまったことです。
金儲けを目的に次々とベンチャーが生まれたステージは終わりました。私は、ベンチャーというのは本来、ゼロから何か価値を生み出すもののことだと思います。創業期の会社でCEOをやることがベンチャーだ、などと考えるのは、もうやめたほうがいいでしょう。大企業が、従来にない新しい発想の事業を創造するのもベンチャーです。最近では、創業時から、きちんと資金がついているベンチャーも目立ちます。個人でスタートするベンチャーは逆に、ほとんどありませんね。資金調達に向かうのがベンチャーではなく、あくまでお客が対価を払って買ってくれるような技術やサービスをゼロから生み出すことこそが、ベンチャーであると私は考えます。
「日本発」というキーワードにも少し触れたいと思います。日本は、ITベンチャーを生み出すプラットフォームと意味では世界で最も恵まれた部類に入ると思います。その理由の一つは、“目利き”の多さ。市場には目の肥えたコンシューマや企業が山ほど存在します。もう一つは、インフラの充実。低価格のブロードバンド環境が整備されており、モバイル普及率も圧倒的に高い。新しい技術やサービスを普及するうえで障害になる要素は、50歳代以上のオジサンが多いというぐらいではないでしょうか(会場笑)。




